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着物あとさき|青木玉

着ることもないのに、
着物の本を手にとるのはなぜだろう。

56歳。
自分はいつ着物を着ただろうか。
成人式か。
結婚式もドレスで済ませた。

浴衣が一枚あるきりで、
それももう何年も着ていない。


着物のまつわるいろんなことに興味があるのは、
昔、幸田文の『きもの』と言う本を
手に取ったのがきっかけか。


着物と帯の合わせ方、着ごこち、
帯留めの意匠。

そしてなんといっても生地の奥深さ。

種類もさまざまだが、
ほどかれ、染め直し、張り替え、伸し、
色を抜き、また新しいものに生まれ変わる
懐の深さ。

着物を普段着にできたら、
いいだろうとは思うものの、
自分の生活様式には
合わないのが残念と思う人も多いだろう。

普段着としての着物は少なくなり、
『晴れ着』としての和装が残った。



青木玉の、漢字の多い、
謙虚で大人の言い回しが好きだ。


その一行一行を気の済むまで
味わいかみしめる。
滋味のある、
こちらに、深く染み込んでくるようなことば。

いつまでもそのページにたたずんでいたくなる、
心洗われる美しい日本語と、きもの。



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