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【量産型オオタニサン?】100年に1人の逸材から100人に1人の逸材へ

二刀流の伝説、ベーブルースの活躍からおよそ100年経った現在、100年に1人の逸材として賞賛・絶賛を浴びる大谷選手。
国内・メジャー・WBCでの活躍をして――

・ユニコーン
・アンドロイド
・野球星人

などなど、あまりの規格外ぶりに人類かを疑うジョークが飛び交います。
投打だけではなく走も優れていますから、野球を知らない方に分かるように例えると――

・得点王のゴールキーパー
・アルセウス
・エンペラータイムのクラピカ(リスクなし)

といった感じでしょうか。
最強と言って差支えない性能ですが、加えて人格までもが聖人クラス。
本当に途轍もなく素晴らしい人間なのです。
ゆえに大谷選手は唯一無二であり、今後二度とこのような選手を見ることは無いだろうとまで言われてます。

しかし、これらはあくまで、今までの歴史と常識から考え得る推察であり、この先の未来に大谷選手レベルの人間が続々と現れる可能性があります。
しかしそれは大谷選手を見倣ってだとか、最近の選手レベルが上がっているだとかの流れや風潮ではなく、自然発生的要因を超越した部分にあります。

デザイナーベビーの誕生


現在、iPS細胞を使った精子や卵子などの配偶子作製が研究されています。
生命倫理の課題はあるものの、『異性婚の不妊治療改善を目的とした配偶子作製は許容できるか』というアンケートでは、7割を超える人が許容できると回答しています。
遺伝性疾患を防ぐための利用に関しては、57%の人がiPS細胞による配偶子作製を許容します。
またこの技術を利用すれば男性でも卵子を、女性でも精子を生み出すことが可能です。
つまり同性カップルでも子供を儲けることができますが、その場合の許容は30%弱と異性に比べて低い数値にはなります。
しかし同性でも遺伝的に血の繋がった子供を儲けることができる可能性自体は示されているのです。

これらは一見すれば、不妊治療にとって明るい技術に思えますが、一歩間違えると神が司る、生命の神秘の領域に足を踏み入れることになります。

・病気に強い子供を作る
・頑強な肉体を持つ子供を作る
・容姿に優れた子供を作る
・優れた才能を持つ子供を作る
・性格の良い子供を作る

これらは遺伝子を操作するゲノム編集技術を使えば可能な事柄です。
そしてこれらの技術を使って生まれた子供を『デザイナーベビー』と呼ぶのです。
つまり100年に1人の才能さえも、意図的に作れてしまうということ。
無論、育つ環境による個体差は生じるので、必ずしも成功する人間になるとは限りませんが、容姿の他にも能力や性格、そして努力できる才能さえも遺伝子によって決まります。

超恵まれた肉体と能力に加えて、たゆまぬ努力を行う人間性をも技術的には作れてしまうということです。

この話を聞いて、ひどい拒絶感に襲われる方もいるでしょう。
実際にデザイナーベビーを生むことは国際ルールで禁止されています。今はまだ十分な安全性が確立されていないからです。
そして仮に安全性が確立されたとしても、倫理的に多くの反対の声が上がる為、デザイナーベビーは法的に許されず、今後も普及することはないでしょう――

……ほんとにそうでしょうか?

2018年に中国では、この国際ルールを破りデザイナーベビーを生み出した
『賀建奎』という科学者がいます。
賀建奎は受精卵の遺伝子を改変し、3人のデザイナーベビーを生み出しました。
そこには子供に父親のエイズを感染させない為という理由がありましたが、当然多くの批判の的になりました。
この件は科学者の賀建奎が公表したことで明るみとなり、中国当局の調査で事実と判明されました。

ここから先は推測の域を出ませんが、この世には明るみに出ていないデザイナーベビーもいるかもしれないという可能性は拭えません。
とはいえ隠れて生み出したとしても、国際ルール上はNGであり、ゆえに明るみに出すこともできず、仮に公に出れば世界の人々の猛反発を受けるこの技術。
どうあがいたところで広まりようがないようにも思えます。

しかしこの世に蔓延するものは、決して人々の意に沿ったものだけとは限りません。人類の利になるものだけが栄える訳ではないのです。
それはまるでウィルスのように、殺人ウィルスは人の利益になりませんが、しかし人から人へ、世界中に蔓延します。
これを文化的なものに当てはめたのがミーム学ですが、人類に利しないにも関わらず栄えた例として軍事力があります。

同等の軍事力を持つA国とB国
A国が新たに巡航ミサイルを開発しました。B国もすぐに巡航ミサイルを開発します。
B国が潜水艦を作りました。A国も急いで潜水艦を作ります。
A国は核兵器を製造しました。B国も慌てて核兵器を製造します……

結果として、A国とB国のパワーバランスは当初と何も変わっておりません。
互いに軍事開発費を国民の為に使った方が、よほど豊かな国になれたはず。
しかし例え人々の利にならなくとも、軍事力というウィルスは構わず勢力を拡大し、いまや世界中に蔓延し更なる猛威を振るいます。

この例だけで見れば、軍事力の拡大はA国が巡航ミサイルを開発したことがきっかけであり、その後の開発競争は螺旋のごとく続きます。
一度はじまれば国際ルールや倫理を取り決めたところで、軍事力の蔓延を止めることはできません。

これと同じことがデザイナーベビーでも起こり得る訳です。
つまり初めのきっかけをどこかの国が侵した場合。

稀代の天才、アインシュタインやジョン・フォン・ノイマンよりも賢く、シモ・ヘイヘやルーデルを優に上回る軍人で、リンカーンやチャーチルよりも指導力に優れるリーダーを意図的に生み出せる。

最高の人間がトップに立つ国は最強の人間で構成される軍隊を持ち、更に最新の科学を独走し続ける科学者を幾人も抱えている。
そのような国と対抗するには、こちらも天才を生むしかありません。例えそれが倫理に反していたとしても、選択せざる負えないのです。

そうして国家間の開発競争が進む内に、デザイナーベビーの技術が一般にまで落とし込まれても不思議ではありません。
タイトルの100人に1人は、およそ上位1%の富裕層の子供を想定したものですが、技術が洗練されれば準富裕、アッパーマス、更にはマス層にまで浸透してもおかしくはありません。

となれば100年に1人の才能は今後一切出ないことでしょう。
あるとすれば研究が進むことによる定期的なアップデートです。
つまり100年も待つことなく、新型のデザイナーベビーが次から次へと量産されていくのです。

いやはや、なんと恐ろしい世界。
まるでSF小説の設定のようですね。
しかし現実は人間のスペックアップよりAIの発達に投資した方がてっとり早いかなぁと思ったりなんだったり……

最後に一つ言えるのは、完璧人間たちだけで行うスポーツにはドラマがなく、観戦してもあまり面白くなさそうだなぁ、ということでしょうかね。


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