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いざ参る 武士はひくことはできぬ

憂鬱な日々に終止符を打つ。


先日投稿した記事で触れたXデーがついに訪れた。

「親子体操教室」だ。


朝から続く大雨が僕の心を表しているようだ。


大雨ごときでは「親子体操教室」を休もうか、とは言い出せない。

子どもも元気いっぱいで行く気で準備している。

もう行くしかない。

ママ達のテリトリーへ。


僕は覚悟を決めた。

決闘にのぞむ武士はこんな心境だったのではないか。

そう僕は武士として参戦するのだ。


油断すれば滅多斬りにされるかもしれない。

いざ参る。


とはいうものの内心ドキドキしながら体育館へ。

靴を履き替え、始まる時間を待つ。

息子は元気に走り回っている。

のんきなもんだ。

僕も走ってエントランスに逃げたい。


あ、時間だ。

あらためて周囲をチラッと確認する。

はい、ママオンリー。

スーパーアウェイ。


パパは心をそっと閉ざした。

子どもとの親子体操に集中だ!


周りを気にしてなんになる?

重要なのは子どもとの楽しい時間だろ?

体操、組体操など親子で取り組むプログラムが続く。

僕は子どもと向き合ってプログラムをこなしていく。

いいぞ、これなら楽しく乗り切れるかもしれない。

「はーい、じゃあ次はチームになってくださーい」


と先生の無慈悲な声が体育館にこだまする。

いつからチーム体操になったの?

親子体操だよね?

親子ふたりで楽しめるヤツにしておくれよ。


そして見知らぬ親子と横並びに。

僕はあくまでも親子体操だという姿勢を崩さずに息子と向き合っていた。

しかし、僕のささやかな抵抗はあっけなく打ち砕かれる。

家族同士が協力してやる競技がはじまる。

息子のために頑張るんだ!

笑顔を絶やすな!

おまえならできる!


そう自分を鼓舞する。

今、思い返して書いているが、その時の記憶がどうも曖昧だ。

子どもとの貴重な思い出の1ページなのに記憶が曖昧。

おのれママたち。


僕の思い出をかえせ。

そうしてママたちはなんにもすることなく、僕の思い出を曖昧なものにしてしまった。

ママたちに罪はない。


悪いのは僕の人見知り、コミュニケーション能力の欠如だ。

ママに話しかけられる場面があったがなんと返答したのか記憶がない。

爽やかに返答できていればいいのだが。



そんな親子体操は今日でおしまいらしい。

最後に手作りメダルをもらいご満悦の息子。

よかったな。


パパも戦が終わってホッとしているよ。

先生が最後に「みんなは4月から幼稚園にいくのかなー?」と呼びかけていた。

なるほど、ママたちは専業主婦で、子どもたちは保育園にはいっていないらしい。

そらパパおらんわ。

パパ仕事中やん。


うちは保育園をお休みして参加していた。

親子体操の中でも異質な存在だったらしい。

さぁ魔法の言葉を唱えよう

「ヨソハヨソウチハウチ」


誰かとなにかを比較するのはやめよう。

意味のないことだから。

なにはともあれ、「親子体操教室」という戦争を生き抜いた僕はひとつ成長した。

と思いたい。

しかし、もう行きたくない。

憂鬱な日々を送りたくない。

笑顔で毎日を暮らすにはそれしかない。

幸せに暮らすなら厄災には近づかないこと。

これ鉄則。


でも今回の「親子体操教室」は、僕の身体に流れる武士の血を感じることが出来たので、よかった側面もある。

たぶん先祖は農民だけど。

ではまた。

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