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受け継がれるポケモン 荒廃した世界に取り残された主人公たち

定期的に行われるゲーム機の充電。


ニンテンドーDSに3DS、PSVita、PSPGO、Switchなどなど。

今回は4ヶ月ぶりぐらいの実施となった。

この作業は嫌いじゃない。

そんな中、歴代のポケモンたちを発見。

最近古いポケモンの中古市場がなぜな高騰している。

売れるようなモノはないかなとお宝をサルベージする。

少しでもお小遣いを稼がなくては。


大人になってからはダウンロード派だけど、当時はそんな選択肢はないので、カセットだ。

カセット?ソフト?カートリッジ?

僕は断然カセット派。

そして恐ろしく久しぶりに過去のポケモンたちを起動していく。

ファイアーレッド、ソウルシルバー、ダイヤモンドにプラチナ、ブラック2にホワイト2、XにY、アルファサファイアにサン・ムーンと本当にポケモンには楽しませてもらった。

トレーナーカードには冒険を始めた日というのが記録されている。
古いモノでは2006年とあるが初めてそのカセットで遊んだ時のワクワク感は、なんとなく憶えている。


しかし、そのワクワクした世界は荒廃していた。


ポケモンは過去作のモンスターを新作に送る事ができる事も大きな売りとなっている。

一緒に冒険したポケモンを引き継ぐ事ができるのだ。

ハードの限界でどうしてもまたぐ事ができない世代もあり、その時は皆悲しんだ。

さて、久しぶりに主が帰還した世界はどれもポケモンセンターから始まっていた。

確認するのはもちろん手持ちのポケモンとトレーナーカード。

しかし、その手持ちポケモンが悲しい事になっていた。


序盤でゲットできるコラッタ的ポジションのポケモンやポッポ的ポジションのポケモンが6匹、低レベルの状態で悲しい顔をしていた。

冒険をともにした屈強なポケモンたちは次の世代へ送り込まれたのだ。


そして元の世界は最弱ポケモンに占拠され、どうすることもできない荒廃した世界へと変貌した。

主人公のなんとも悲しい佇まいが印象的だ。


ポケモンセンターのPCを起動し、ボックスにアクセスする。

そこにも最弱ポケモンたちが押し込められていた。

あと何が産まれてくるのか不明なタマゴが多数。

厳選を途中で断念したに違いない。

産まれる事も許されずPCに保管されている。

なんと世紀末な光景か。


ポケモンセンターの軽やかな音楽が胸を締め付ける。

僕はそっと電源を消した。

どの世代のポケモンを起動してもその世界は荒廃していた。

新世代のポケモンが出るたびに最弱ポケモンを乱獲しては交換していく。

まるで悪徳密輸業者みたいだ。


きっと古い世代の主人公も「頼む。こいつだけは連れていかないでくれ!」と懇願したに違いない。

新世代の主人公はそんな要求には応じずに最弱ポケモンを送り込んでくる。


これほど不条理な事があるだろうか。



マフィアも真っ青なやり口である。

そして最後にSwitchを起動する。

そこには歴代の主人公が親だったポケモンたちが。

過去作のポケモンリーグを勝ち抜き手に入れたリボンとともにそこにいた。

心なしかそのポケモンたちは誇らしげな顔をしている様に感じた。

過去の主人公たちには申し訳ないとは思うが、主人公はポケモンなのだ。

新シリーズでも一緒に冒険ができる。

それが最高じゃないか。


親は違うけれどみんな同じソウルを持ってバトルに挑む。


これほど胸熱な展開があるだろうか。



それぞれのポケモンに歴史があり、使いなれたワザを繰り出す。

僕のポケモンたちはまだまだ現役だ。

最新作は購入していないけれど、彼らに新たな活躍の場を提供する為に買ってもいいかもしれない。

プレイする時間はないが。

ソフトの値段が高騰していてもこれは売ることはできない。

荒廃した世界の主人公たちが消去されてしまう。

それは思い出を捨てるに等しい。

目先の小銭に惑わされてはいけない。


そのうちデータが破損するかもしれない。

それは自然の摂理として受け入れよう。

それまでは荒廃した世界で、最弱ポケモンと一緒にポケモンセンターに立ち、新たなフィールドでバトルしているポケモンたちに思いを馳せていてくれ。

ポケモンたちは君のことを忘れてはいないぞ。
親の名前とIDを刻み込んでいるからな。

そしてプレイヤーの僕は苦労して時間を掛けたけど、たいして強くないポケモンたちを愛おしく思う。

将来、息子がポケモンに興味をもったらそれぞれのポケモンがどんな冒険をしてきたのか語ってあげよう。

ではまた。

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