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ヤンキーは絶滅してしまったのか
こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。
今回は、先日学校健診に行ってきた際の話。
毎年春先に行っているのですが、中学生150名くらいを一気に見ます。
色々な子がいて、それこそ最近は国籍やジェンダーの面でも多様で、何人か気になる子がいたのですが、ひと際気になった子を一人紹介したいと思います。
その子は入室するなり、気怠そうに茶髪をかき上げ、椅子にドカッと座りました。
こちらが何を聞いても「大丈夫‥」と不機嫌そうに答えるのみ(ため口だったのはこの子だけ)。姿勢も悪く、体幹もやや歪んで見えます。
以下は、全員の健診が終わった後の、
養護教諭の先生(60くらいの女性)との会話。
養護教諭「誰か気になる子はいましたか?」
私「さっきの子。不良と言うか、いわゆるヤンキーですか?」
養「あらやだ先生!ヤンキーなんて言葉、久しぶりに聞いたわ。今どきヤンキーなんていませんよ、今の子はそんな体力ありません。もうほとんどゲームとSNS、それと不登校ですね。」
私「へー、そうなんですね(そんなに驚くほどヤンキーって絶滅種なんだ)。」
養「さっきの子は、むしろ発達(障害)を心配しています。以前から気にしているんですけど、なんとか(特別支援学級ではなく)普通学級で見ています」
なるほど、不機嫌そうに見えたのも、ため口だったのも合点がいきました。体幹が弱く姿勢を保持するのが苦手で気怠そうに見えたのも、それが原因なのかもしれません。
それと養護教諭の先生との話の中でもう一つ気になったのが、「今どきヤンキーなんていない」、
試しに「令和 ヤンキー」でググってみると確かに次に「いない」と出てくる。
そのまま検索してみると、今年の2月のヤフーニュースに興味深い記事がありました。「なぜ令和に街からヤンキーが消えたのか?」現役教師の告白。イマドキ高校生たちの「服装以上に深い闇」(FORZA STYLE) - Yahoo!ニュース
それによると、どうやら本当に(いわゆる昔で言う)ヤンキーは「ほぼ絶滅」してしまったようだ。
理由が現役教師の視点から色々と書かれているが、
そもそもヤンキー自体が今の子から見て「ダサい」、また何かを主張する必要性もなくその分SNSや非行に走っている、今の親は結構いろいろなことを許してくれるのでそもそも反発する必要性がない、etc
他には、今の子は反抗せずに議論することで要求が通ると分かっている、とも書いてある。
「ヤンキーが居なくなって寂しい。もっと自己主張する子がいてもいいのでは」とは、私個人は微塵も思わない。
むしろこの記事を読む限りでは、今の若者は建設的で合理的にも見える。タバコも臭くてダサくて体に悪いから嫌なのだそう。
打算的で面白味に欠けるとも言えるが、現代の若者にとってヤンキーになることはまさに「無駄なこと」なのだろう。
養護教諭の先生が言っていた「ゲームとSNS、それと不登校」という言葉が端的に現状を言い当てているように聞こえる。現代の若者に、ヤンキーに費やす時間とエネルギーはないのだ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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