精神科医はぐりん

精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 精神科専門医/精神保健指定医 /産…

精神科医はぐりん

精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 精神科専門医/精神保健指定医 /産業医/現代ビジネス執筆

マガジン

  • 発達特性とライフハック

    ASD、ADHDといった発達障害や発達特性(いわゆるグレーゾーン)を持つ方の「生きづらさ」と、「生きやすく」なるためのヒントを書いてます、

  • カサンドラ症候群

    夫婦やパートナー間を悩ます、現代病でもあるカサンドラ症候群、についてかいています。

  • メンタルヘルス全般

    対人関係、毒親問題、フェミニズム、共依存、箱庭療法、食い尽くし系、その他諸々について書いています。

  • 愛着障害

    愛着障害について、書いています。

  • ヨガ

    某大手ヨガ教室に通っています。精神科医の視点からヨガについて書きました。

最近の記事

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自己紹介(R6.5月.更新)

※2023年9月記載→2024年5月更新 はじめまして。精神科医のはぐりんと言います。 このブログでは、 ・精神科医のリアルな日常とホンネ ・読んでいただいた方の日常に 「少し」お役立てできるような情報 をお届けしています。 私がnoteを始めた当初(2023年9月)のきっかけですが、日々精神科病院で勤務している中で、 以前に比べれば敷居は低くはなったものの、まだまだ精神科への受診や治療へのハードルが高く、 一般の方々に精神科のことが広まっていないと感じている

    • 「薬漬け」への葛藤~それでも薬漬けは減ると断言できる理由〜

      今日は精神科における「薬漬け」の問題について触れてみたいと思います。 少し長くはなりますが、最後までお読みいただけたら嬉しいです。 はじめに~薬漬けとは?精神科医の葛藤と3つの要因 「薬漬け」とは、精神科に通院するうちに徐々に薬が増えていき、それが年単位の長期間に渡り、 気づけば薬を止めることができなくなってしまった状態、を揶揄した言葉です。 精神科が敬遠される理由の一つで、また事実残念ながらそういった患者さんは少なくありません。 この薬漬けの問題に関して、どうい

      • お盆の心因反応について考えてみる

        今回はお盆に関して、個人的に感じていることを書いてみたい思います。 お盆になると体調がすぐれない 季節と精神症状との関連は幾つか知られていますが(冬季うつ病、低気圧/台風などの影響)、 実際に不調を訴える方が多いなと実感するのは、 お盆の時期が一番かもしれません。 ただお盆は、地域や家庭によって捉え方が様々ですから、かなり影響を受けやすい人/地域と、 そうでない人/地域と、個人差/地域差が大きいかもしれません。 つい先日来院された方、 表情をこわばらせ、いつもより

        • 精神科医に求められるのは?~specialist or all rounder~

          ご訪問ありがとうございます。 今日は私たち精神科医の話をしてみたいと思います。 大学病院の教授とA教授 突然ですが「大学病院の教授」と聞いてどういったイメージをお持ちでしょうか? 教授と聞くと、権力の象徴でいつも威張っていて、良い印象をお持ちの方は少ないかもしれません。 私もこれまでに何人もの教授を見てきましたが、 私はアウトローなほうの医者なので、 どの教授もあまり好きにはなれませんでした。 ただその中でも、某大学病院精神科のA教授だけは例外でした。 A教授の

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        自己紹介(R6.5月.更新)

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        • 発達特性とライフハック
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          6本
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          5本

        記事

          警察付き添い=即入院なのか

          ご訪問ありがとうございます。 今回は精神科における入院について、 主に強制入院に至るまでの経緯について書いてみたいと思います。 強制入院に関しては厳しいご意見もあるかとは思いますが、偽らざるホンネをお伝えしていこうと思います。 少し長くはなりますが、よろしければ最後までお読みいただければと思います。 任意入院と強制入院 精神科病院への入院には様々な入院形態があります。その中でも最も波風が立たないのが、任意入院という入院形態です。 これは、本人自身が入院に同意するケ

          警察付き添い=即入院なのか

          失感情症って多分こういうこと〜ASDとの関連も〜

          ご訪問ありがとうございます。 今回は「失感情症」について書いてみたいと思います。 私自身もよく分かっていないのかもしれませんが、 その分読者の皆さまと同じ目線に立ってお伝えできればと思います。 失感情症〜アレキシサイミアとは〜 失感情症、別名「アレキシサイミア」のほうが馴染みがあるかもしれません。 実に10人に1人はこの失感情症と呼ばれる状態とも言われており、決して他人事ではありません。 まず失感情症を分かりにくくしているのが、 その名称にあります。文字通りに解釈

          失感情症って多分こういうこと〜ASDとの関連も〜

          精神科医が自殺について思うこと

          今回は、重たい話になります。今現在調子を崩されている方、精神的に不安定な方、悩みごとを抱えていて眠れない方、 折角ご訪問いただき申し訳ないのですが、 ここから先はお読みにならず、 そっと画面を閉じていただければと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 精神科医が患者さんの自殺について思うこと 先日、長年通院されていたアルコール依存症の方が自殺で亡くなられた。 こうして思い返しているくらいだからショックと言えばショックなのだが、一方で「そうだろうな

          精神科医が自殺について思うこと

          白衣のいらない先生たち

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。 ご訪問ありがとうございます。 精神科病院に勤務していると、決まってどこの病院にも「私服の精神科医」がいます。 私が勤務している病院にも2人ほど、少数派ではありますが確かにいます。 これまでに私が勤務してきた病院にも、 何人か私服の精神科医は確かに存在しました。 私服の精神科医と聞いて、読者の皆さまはどういった印象をお持ちになるでしょうか? おそらく大抵の方は、白衣と違って緊張感を抱きにくく、親しみやすいと思われるかと思います。

          白衣のいらない先生たち

          自分の親が認知症になってしまったら

          ご訪問ありがとうございます。 今回は認知症について書いてみたいと思います。 はじめに〜認知症を巡る現状〜 認知症高齢者の数は、2025年には実に約700万人、65歳以上のおよそ5人に1人に達すると言われています。 認知症にはいくつかのタイプがあります。脳の病理所見、つまり脳に溜まる変性物質の違いや、 脳の病変部位によって症状の出方が変わるため、 それに基づき分類しています。 最も多い認知症〜アルツハイマー型認知症とは〜 認知症の中で一番多いのが、 アルツハイマー

          自分の親が認知症になってしまったら

          ADHDとコンサータ~実際の声をご紹介〜

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。 ご訪問ありがとうございます。 コンサータというお薬をご存知でしょうか? ASDやADHDの当事者の方はご存知、もしくは聞いたことがあるかと思います。ADHDの3種類ある薬のうちの1つです。 その中でもコンサータは特殊な薬に該当します。 というのも、第一種向精神薬という部類に分類されており、 厳格な流通管理が義務付けられているからです。 中枢神経刺激薬という部類の薬で、依存性や乱用のリスクがあるのです。 具体的にどういった方法で管

          ADHDとコンサータ~実際の声をご紹介〜

          心理士とアサーティブネス〜相手を安心させるたった一言

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。 ご訪問ありがとうございます。 今回は心理士について書いていこうと思います。 ※普段は「心理士さん」「心理士の先生」と呼んでおりますが、記事中では敬称略とさせてください。 心理士の現状 ほとんどの精神科病院や大学病院には、心理士が 何人か常勤しています。 病院だけではなく、町のクリニックや小児科、学校にも心理士が在籍していたりします。 心理士によっては、単独で開業(カウンセリングや心理療法)されている方もいます。 心理士を巡って

          心理士とアサーティブネス〜相手を安心させるたった一言

          ADHD連鎖と毒親連鎖

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。 ご訪問ありがとうございます。 今回は「ADHD連鎖」と「毒親連鎖」というテーマで書いていきたいと思います。 精神疾患を抱える方の妊娠/出産事情 精神疾患を抱える方の妊娠出産に関しては、 どうしても慎重にならざるを得ません。 その理由は、大きくは2つあると思っていて、 1つは「今の薬をそのまま飲んでいて胎児に影響は出ないのだろうか?」という薬の問題、 もう1つは「この患者さんは子供を育てることができるのだろうか?」という養育能力

          ADHD連鎖と毒親連鎖

          F1の無線が拾った「知らなかった」では済まされないNGワード

          今日は雑談になります。 よければお付き合いいただければと思います。 近年のF1人気 自動車レースの最高峰、F1をご存知でしょうか? 私が子供のころは、地上波放送されていて、 今よりも馴染みがありましたが、 2012年から有料放送のみとなり、 日本では話題に上ることも少なくなりました。 しかし近年では、年々世界的にF1の人気が上昇しており、それは日本においても例外ではありません。 特に今年は話題に上ることが多く、  なぜなら世界でたった20人しかいないF1ドライバ

          F1の無線が拾った「知らなかった」では済まされないNGワード

          夫婦間のカサンドラ症候群について〜本当に発達障害が原因なのか

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。 ご訪問いただきありがとうございます。 今回は久しぶりにカサンドラ症候群について書いてみたいと思います。 カサンドラ症候群とは カサンドラ症候群とは、 「自身のパートナーや家族がASD(自閉スペクトラム症)で、情緒的交流やコミュニケーション、関係構築がうまくいかずストレスを溜め込み、心身の不調をきたしてしまうこと」 を言います。 特に、夫が「ASD」「アスペルガー症候群」で、妻の方に身体的・精神的な不調が出てくるパターンが巷では

          夫婦間のカサンドラ症候群について〜本当に発達障害が原因なのか

          「酒をやめたい」とお酒を飲みながら来院~chatGPTにも聞いてみた

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。 ご訪問ありがとうございます。 断酒に向けて 今回はアルコールに関して、断酒治療(※)に入る前の段階について、実際のエピソードを交えてお伝えしていこうと思います。 各都道府県にはアルコール専門病棟を抱えている病院がいくつか存在していて、 入院治療(ARP:Alcohol Rehavilitation program)などの専門的な治療はそこで行っています。 ただ専門病院以外の病院にも当然アルコール関連の患者さんは来院されます。全員

          「酒をやめたい」とお酒を飲みながら来院~chatGPTにも聞いてみた

          「認知症」と「高齢者の発達障害」

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。 ご訪問ありがとうございます。 今回は「認知症」と「高齢者の発達障害」、 一見するとあまり関連がなさそうな2つに関して 書いていこうと思います。 やや暴論になるかもしれませんが、ご容赦いただければと思います。 認知症が原因で入院になる方 認知症が原因で入院になる方がいます。 認知症の入院者数に関して、統計的には意外にもH26→H29年は7.7万人と横ばいですが、 高齢化社会の影響もあり、体感的には増えている印象があります。 物

          「認知症」と「高齢者の発達障害」