スキャンダル報道が及ぼした思わぬ影響
ご訪問ありがとうございます。
先日大きな波紋を呼んだ、国民民主党の玉木雄一郎代表のスキャンダル。
私自身あまり関心はなかったのですが、連日の報道でどうしても目に留まってしまいます。また私の周囲でも少し興味深い波及効果(?)があったので、今回はそれについてお話しようと思います。
※最近時事ネタが多いではありますが、それだけ社会とメンタルヘルスは切り離せないものなのだと考えています。
高齢者の嫉妬妄想
スキャンダル記事が週刊誌ですっぱ抜かれたのが11月11日。衆議院選挙が終わったタイミングというのもなんだか政略的なものを感じさせますよね。
ちょうど今日で1週間が経つのですが、その間高齢者で嫉妬妄想を膨らませて落ち着かなくなった患者さんが2人続いたのです。
70代と80代、一人は認知症(男性)、もう一人も軽度の物忘れのある方(女性)で、二人とも
「妻が妊娠している」
「夫が不倫相手を妊娠させてしまった」
と言うのです。
年齢や状況を鑑みるとあり得ないこと(妄想)なのですが、実は高齢者の嫉妬妄想というのはしばしば見かけます。理由としては、認知機能の低下や社会的な孤立など、さまざまな要因が考えられています。
他には被害妄想や物とられ妄想もよく見られます。物忘れにより自分で失くしたものが見つからないと、覚えている部分だけを繋いで妄想的なストーリーを作ってしまうのです(作話)。
報道が個人に及ぼす影響
ということで、高齢者の嫉妬妄想は「よくある話」ではあるのですが、普段割と落ち着いていた2人がこのタイミングで「妊娠している」とまで嫉妬妄想を膨らませ、
居ても立っても居られず不穏状態になる(一人は入院になってしまいました)というのは、冒頭のスキャンダルの影響を勘ぐってしまいます。
報道と精神疾患と言えば、有名人の自殺報道で一時的に自殺者が増えてしまうというウェルテル効果が有名です。
その逆で、自殺を踏みとどまった話が報道されると自殺者が減ると言うパパゲーノ効果と呼ばれるものもあります。
果たしてスキャンダルに対する日本の過熱した報道に意味はあるのでしょうか?
謝罪や社会的制裁を受けている様子を報道することが不倫の抑止効果にでも繋がるのでしょうか?
報道内容を見ていてもそうは思えず、ただただ視聴者の好奇心をあおるのみで、むしろ今回ご紹介したケースのような(特に脳機能が低下した高齢者の)猜疑心をあおるような結果にもなりうると思っています。
高齢者だけでなく私たちにとっても、情報に操作されず、偏向報道を意識し、過剰な情報の波に飲まれず、自身に必要な情報だけを選択していく必要がある、と思わされました。
最後までお読みいただきありがとうございました。