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第13回 情報リテラシー論『画像認識技術の発展と画像流出問題』

デジタルネイチャー

情報技術が発達した現代では、音楽や論文などをAIが瞬時に自動生成出来るようになってきました。それができるようになったのは、人々が様々なウェブサービスに毎日多くの画像や楽曲、記事などの投稿をしてきた事により、AIが、『情報を収集する段階』を終え、次の『創出する段階』へと進んだからであると考えられます。
また、インターネット検索において、AIの画像認識機能の向上により、キーワードや画像を認識して、関連する画像をAIが瞬時にインターネット上から探し出す事が出来るようになりました。これは、Pinterestのズームイン検索Pinterestレンズ、Googleレンズにおける機能です。
メディアアーティストの落合陽一氏は、こういったAIの描く芸術作品やAIによる高度な画像認識機能など、バーチャルが自然と見分けがつかなくなる世界像を『デジタルネイチャー』と提唱し、近い未来に実現すると考えられています。
現在、世界最高峰のAI技術における、楽曲制作や絵画制作の技術、画像認識技術などは人間の能力よりも優秀と言っても過言ではないため、芸術などの世界はこれから非常に厳しい世界になっていくと考えられます。
AIの発展を止めるためには、全員が一斉にSNSを止める事で実現は可能ですが、それは現実的に難しいと考えます。
絵画や音楽などの芸術作品においては、描写力以外で人間にしか出せない感性や考え方などを自ら見つけ出して作品として表現していく事が求められていくのではないかと考えます。

各プラットフォーム等のAI技術

技術の発展により、各プラットフォーム等においても、AI技術による様々な機能が増えてきています。

1.Pinterest

ズームイン検索

Pinterest上の写真を表示し、その写真の中で詳しく知りたい・検索したい部分を範囲設定すると、その部分に類似する画像を検索できるようになっています。この機能はPinterestがGoogleよりも先にサービスとして提供しており
のちのGoogleレンズなどのモデルになったものであると考えられています。

Pinterestレンズ

Pinterestレンズでは、Pinterestアプリ内のカメラを起動させ、そこで撮影された写真から画像認識をして関連画像をPinterestのサーバ上から検索できます。Pinterestでは、ネット上で人気の(より多くPINされた)画像が検索結果上位にヒットする傾向にあります。シンプルな画像よりインパクトのある画像を求めている場合は、Pinterestを利用してみると良いかも知れません。

2.Google

Googleは、非常に大規模なプラットフォームであり、Pinterestのズームインやレンズ機能など、外部における高度な技術を模倣し取り入れる事により、AI技術による様々なサービスを増やし続けています。

Googleレンズ

Googleレンズは、Pinterestの画像認識機能を模倣した機能であり、近年、画像検索をする際によく見られるようになってきました。Googleの特性としては、シンプルで模範的なわかりやすい画像が検索結果の上位にヒットする傾向にあると言われています。シンプルでわかりやすい画像を探したい場合は、Googleを利用してみると良いかもしれません。

カメラを使ったGoogleレンズ

Google検索アプリの検索欄Googleレンズのアイコンが加わりました。そのアイコンを押すとカメラが起動され、カメラでかざした被写体から画像認識をし、そこから関連した画像をGoogleレンズのように、ウェブ上から探し出す事が出来るようになりました。

Googleフォトのキーワード検索

Googleフォトにおいては、保存している写真をキーワードで検索する事ができるようになっています。Googleフォト内の検索欄においてキーワードを入れて検索すると、AIがそのキーワードに関連する写真を自ら認識して、Googleフォト内にある写真から関連する写真を探し出す事ができるようになっています。
例えば、『犬』というキーワードで検索した際に、『犬』の情報がある写真を見つけ出せるようになっているという事です。自分もGoogleフォトで、『ドーナツ』というワードで検索して試してみました。すると、過去に撮った、『ドーナツ』の情報が入っている写真をすぐに見つけ出す事ができました。

AutoDraw

これは、指定されたホワイトボードに線画を書いた際、それをAIが認識して、『あなたが書きたいのはこれではないですか』といったようにいくつか候補をあげ、線画を補正してくれるサービスです。ゲーム感覚で書いてみると楽しいかもしれません。

Quick,Draw!

Quick,Draw!では、ある特定のモノを20秒以内に描くように要求されるお題が出題されます。そこで描いた絵がAIにより正確に認識される事ができたら、次もまた違ったお題で同じように絵を描いていくオンラインゲームです。
このゲームで使われているニュートラルネットワークというAIは、我々が絵を描く度に、それらの絵を情報として学習し、その後に描かれる絵などの認識機能の向上のために役立たせています。我々がゲームをやればやるほど、AIも成長していくというわけです。

Giga Manga

Giga Mangaでは、漫画キャラクターを描く際に、Magic Modeというツールを使うと、ユーザーが描いた線からAIが予測をして、キャラクターの描写を手助けしてくれるようになっています。
AIが予想して描くキャラクターは、主に人の顔をしたキャラクターではありますが、漫画キャラクターの情報なども既にAIの中に取り入れられている状態である事がこのサービスから分かると思います。
したがって、これから先、人以外のロボや怪物など、複雑な体の構造をしたキャラクターもAIによって描けるようになってしまうのではないかという事も予想されます。

3.画像認識技術による様々なサービス

画像認識による切り抜きや部分削除

AIの画像認識機能を利用した画像編集サービスなども様々あります。remove.bg「人物の切り抜き機能」Cleanup.pictures「写真内のオブジェクト等をなぞって消す機能」など、画像内の人やモノをしっかりと認識して、自然な写真に修正できるようになっています。AdobeのPhotoshopなどで、手書きで一つ一つ修正していって編集していたのを、AIが一瞬で出来るようになっていくのかなと感じました。

Instagramのハッシュタグ検索

Instagramで目的の画像を探し出す場合、ハッシュタグ検索がよく利用されています。この検索方法により検索結果の上位には、主にSNSで話題になっている画像が表示される傾向にあります。話題の洋食屋さんなど、トレンドを調べたいときには便利なのではないかと思います。

Amazon、カメラでかざして商品検索

Amazonアプリ検索欄にカメラのアイコンが追加され、そこを押すとカメラが起動します。目的の商品にカメラをかざしスキャンをして検索するため、シャッター音などがなる心配がありません。人がいる場所でも音など気にせずにできるため、外出中に興味のあるモノを見つけたらそれを調べたりしてAmazonでの買い物を楽しむことが出来るなと思いました。

HTMLが無くても画像から文字を認識できるサービス

「紙の文章を撮影した写真」から3秒で文字を認識し、それらをデジタルの文章として書き起こすLINEの『文字起こし ばりぐっどくん』や、ウェブ上の画像内の文字をテキストのように選択・コピーできる『Project Naptha(Chromeの拡張機能)』など、人の目で認識できるような文字であれば、テキスト以外の画像であってもAIの機能により文字として読み取る事ができるようになりました。

動画内のモノを認識『Clarifai』

Clarifaiというサービスを利用すると、動画に出てくる様々なモノがキーワード化されタグ付けされます。そうする事により、我々ユーザーがあるキーワードで検索した際に、そのキーワードに関連するモノが動画内のどの部分に見られるかなどの情報折れ線グラフとして表示してくれます。この機能を様々な動画のプラットフォームに取り入れていく事で検索の幅も広がっていくのではないかと感じました。

車の事故を未然に防ぐAIカメラ

AIの画像認識機能により、プロフィールの画像(2Dの顔)から3Dの顔を創り出す事ができたりと、顔の認識においてもAI技術の発展が見られる中、そのAIによる顔認識の技術を利用した、事故を未然に防ぐためのカメラ『iPeeler(株式会社Makuake)』が開発されました。
このカメラは、運転手がよそ見をしたりあくびをしたりすると、それを認識し、ブザーを鳴らし警告して、事故を未然に防ぐよう努めてくれます
また、このカメラは現在、2万円ほどで売られています。2万円で事故を未然に防ぐ事ができると考えると、安い買い物であると考えられるため、一度試しに購入してみると良いかもしれません。

絵心を気にせず漫画が描ける「Comicaroid」

「Comicaroid」では、既にキャラクターが作られてあり、それらのキャラクターの表情やポーズを変える事で漫画を描く事が出来ます。背景も、自分が撮影した写真をそのままスクリーントーン風に加工する事で出来るため、絵を描かなくてもストーリーを作る事が出来れば漫画が描けるというわけです。これは、とても可能性に満ちたツールであると感じました。

画像の流出問題とその対策

Googleの画像検索結果ページには、様々なプラットフォームやウェブサイトに掲載されている画像が、小さく加工されたサムネイル画像として表示されています。こういった画像は、すぐに保存することができ、誰かが、本来のプラットフォーム・ウェブサイト以外の場所に複製を投稿したりする事が簡単にできてしまうため、問題になっています。
こういった問題の対策として、著作権などの希少性を価値として尊重するNFT(Non-Fungible Token)というデータを利用する仕組みがあります。しかし、この仕組みは法整備がまだしっかりとなされていないため、様々な不正取引が行われている問題があるのも事実です。金融規制の管轄外であることが課題点であると考えられいるため、金融規制により安全性を保てるようになる事を望んでいます。

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