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なかったらなかったで【高度不妊治療#3】

個性や多様性は認めてほしいけど、「違う」のは不安。
いやぁ、人間ってホントワガママですよねぇ(水野先生R.I.P)。私もまさに今、その心境なんですよねぇ。現在妊娠6週目、本来ならつわりを代表とする各種症状が発現するところ、ヤンキー妊婦の私は、体調にほとんど変わりがないのである。妊婦にとってつわりは深刻で、中にはご飯が食べられなくて入院したり激ヤセしたりする人もいるし、何より吐き気って辛い。つわりがないのは本来は麗しいことだ。かくいう私は、つわりもねぇ、眠気もねぇ、便もそれほど溜まってねぇ、の幾三妊婦なのだ。オラこんな妊婦嫌だーとはならないが、でも…でも…ほんまに、おる?ええの?これ、合ってる?
なんもない不安が高じて、セルフ妊娠初期症状を捏造しはじめているから聖飢魔IIだ。10万60歳の閣下に比べれば、吾輩はまだ7週目の若輩者ではあるが、これはね、判定日までに妊娠超初期症状のくだりでやるやつなんよ。

振り返れば、今回の私の不妊治療はうまくいきすぎてる。カイジもドン引きの確率に次ぐ確率のこのシビアな不妊治療というグランドラインで、手足が伸びるわけでもトナカイになれるわけでも何でもないわたしが、当たりのクジばかり引きすぎてる気がする。誤算があったとすれば、原因と思しきハゲ薬を止めたことによって、夫が薄毛になったことぐらいだ。ハゲ薬を止めた途端、ハゲの無限列車に乗車したらしい。毛根を燃やせ。言うてる場合か。夫にとってこれは悲劇だが、それはともかく、もうそろそろ、「じゃない方」を引くフェーズにきてる気がするのだ。

今週は、心拍確認のため、クリニックを受診したが、奇人院長に、「心拍はあるけどはっきりは確認できてないけど今日でクリニックは卒業」と愛だけど恋じゃないみたいな思わせぶりなことを言われて、何とも煮え切らない気持ちでクリニックを後にした。そら、クリニックは治療成績を上げたいわけですから、妊娠で終診したいよね。わかるよ。わかる。資本主義社会だもの。けどな、こちとら命かかっとんねや。いくら奇人と言えども、不誠実にも程がある。言えねえけど。
半べそかきながら、私の心の中の聖者達を総動員して、他の通院中の妊活戦士達へのメッセージをしたためた。(アンケート的にお願いされた)
「妊娠は、奇跡の連続なんだと身をもって実感しました。不妊治療は、お金も時間もかかりますが、失ったものばかりではなかったと思います。皆さん全員の願いが叶うよう、心からお祈り申し上げます。」
ヤコブー!ヨハネー!パウロー!ラミレスー!自身も不安でいっぱいな中、よくお祈り申し上げたよう。あとで打ち上げでピザーラ食べようね。

こんな状態なので、周囲に妊娠を伝えることは心情的に益々困難を極め、周囲からはただの金髪暇野郎(泰葉©)と思われている私は、良かれと思って誘ってくれる友人らからのアクティブな予定を交わすことに苦慮している。具体的には、キャンプ、フェス、USJなど。どれも、何となく受け流していると、なぜかほぼすべての予定がグランピングに着地した。活動欲求と妊婦(仮)としての最低限の安全性を両立できるのがグランピングだったのだ。ありがとうっ。今までちょっとだけバカにしててごめん。

あと、ナマモノ回避もなかなかにムズい。先日、関東の同期が大阪に遊びに来てくれたので、吉本新喜劇鑑賞前にドライカレーが名物の自由軒へアテンドしたところ、注文の時点でほぼ全ての商品に生卵が鎮座していることに気付き、消去法的にオムライスを注文せざるをえなくなり、たいそう不審がられた。また別の日は、とんかつならガッシガシに火が入ってるだろうと高を括って入店したところ、精肉店直営につき肉質に自信アリのまさかのレア仕上げによりほとんど食べられず、DJみそ汁とMCごはんfeat.野沢菜の超貧乏飯になってしまった。みんな、レア〇〇、とろ〜り〇〇、新鮮生〇〇にもってかれすぎてるかんね。火と筋は通さなあかんやろ、人として。あぁ、食べたいな、卵かけごはん。寿司。

次の受診は新しい病院で。今感じてるもろもろが、どうか杞憂に終わりますように。


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