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アニマル会議でわかったこと

今日も、火曜日の午後二時に、アニマル平和祈念公園の『なかよし広場』では、いつものアニマル会議が行われています。

 そこで、ねこ議長は、黒板に何かを書きながらいいました。

「今日のお題は、こちらです。みんなでみんなのよいところを知ること。すばらしい内容は、忘れないようにメモっておきましょうね。」

すると、つぶらな瞳をしたネズミがいいました。

「なんて、素敵なお題でしょう。みんなのよいところを知るのは、よいことですね。」すると、ねこ議長はうれしそうな顔で、こういいました。

「もちろんです。みんなのよいところを知ることは、自分が知らなかった、自分のよいところに気づくチャンスでもあります。すると、自信にもつながるでしょう。」

「それは、いいね。さんせい!」

「わたしに、よいところなんてあるのかしら?ぜひ、知りたいわ。」

 5匹のアニマルたちは、興奮した様子で口々にさけび、わくわくした表情で、ねこ議長を見つめています。

ねこ議長は、こほんと、せきばらいをすると、さっそく仕切りだしました。

「では、一番手はライオンさんね。ライオンさんは、自分のどこが好きですか?」

それを聞いたライオンは、ちょっと困った顔をしていいました。

「うーん。自分じゃよくわからないよ。あえていうなら、強くて頼もしいところかな…。でも僕はね、できればアルパカさんになりたいな。僕は、いつも強く見えすぎて孤独だけど、みんなで群れて生きられるアルパカさんは、なんだか楽しそう。強く見えないほうが守ってあげたくなるしね。」

それを聞いたアルパカは、いいました。

「あら、うれしいわ。でも、わたしは、じつはカメさんに憧れているの。だって、ゆっくりマイペースに生きているでしょう?もし、何かトラブルが起きたときは、こうらの中に首や手足をすっと隠せるのもいいわね。」

すると、カメは、照れながらいいました。

「僕に憧れてくれるアニマルがいるなんて、うれしいよ。でも僕はね、キリンさんになりたいんだ。だって、背が高くてすごくスタイルがいいだろう?高いところから見る景色は、きっと最高だろうなって、いつも思う。それに、体の模様もおしゃれだしね。」

キリンは、さらに背伸びした様子でこういいました。

「あら、でもわたしはね、ネズミさんになりたいのよ。だってネズミさんは、小さくてかわいらしいでしょう。それに、動きだってすばしっこいし、木の穴や壁の隙間にも入れるのよね?

それを聞いたネズミは、いいました。

「あ、うん。ほめてくれて、ありがとう。でも僕は、やっぱりねこ議長に憧れちゃうな。べつに、議長だからって、お世辞をいっているわけじゃないよ。ねこ議長は、人間たちにも大人気だし、世の中には、ねこグッズもたくさんあるだろう。まるで、動物界のスターみたいだよね。」

それを聞いたねこ議長は、ちょっと胸をはった様子で、こういいました。

「たしかに…今は大人気さ。でも、いつまで続くかはわからない。それに、だれかとずっと一緒にいたり、注目されつづけたりするのは、僕にとっては、すごく疲れることなんだよ。僕にだって、それなりの自由は必要さ。そういう意味では、やっぱりライオンさんになりたいな。べつに、孤高でもいいのさ。百獣の王って、存在じたいが、かっこいいしね。」


5匹のアニマルたちは、それぞれのよいところを話し合っているとき、一生懸命にノートにメモっていました。

それを見たねこ議長は、とても満足そうな微笑みをうかべながら、最後にこうまとめました。

「みんなには、それぞれよいところがあるということがわかったよね?
それに気づけたなら、今日の会議は大成功だよ!」

「今までは、きっとそれぞれが、ないものねだりをしていたのかもしれないわね。自分の嫌いなところが、じつはほかのアニマルから見たら、憧れだったなんてね。これからは、個性として受けとめたいわ。」キリンは、ちょっとすました顔でいいました。

「僕はね、みんなにのろまとか思われているんじゃないかって、いつも不安だった。でも僕の短所が、じつは長所だったんだね。」

カメは、うれしそうにいいました。

「僕のコンプレックスをかっこいいと言ってくれたねこ議長には、大感謝だよ。僕は、みんなを守るために、この強さをうまく生かしたいな…。」ライオンは、いいました。

「わたしも、べつに弱くてもいいことがわかった。おかげさまで、なんだか気持ちがラクになったわ。ありがとう。みなさん。」

アルパカは、いいました。

「僕も、アルパカさんと同じ意見だよ!これからは、自分らしく生きていきたいと思う。」

ネズミは、いいました。


ねこ議長をふくみ、全員が意見を言い終えたとき、さいごにねこ議長は、こんな意見でしめました。

「みなさん。これからは、ありのままの自分を受け入れて、楽しく生きていきましょう。自分にないものは、みんなでおぎない合えばいい。そうやって、みんなで支え合って生きていけたら、きっと幸せだよね。これからもアニマル会議では、いろいろなことを学んでいきましょう。」

「もちろんだよ!」

「僕たちは、ずっと大切な仲間さ。」

「ありのままの自分を大事にしようね。」

「そうさ。自分らしく生きればいいのさ。」

「みんなのよいところは、リスペクトし合おう。」

「やっぱり、アニマル会議は、永遠さ!」


ライオンも、ネズミも、カメも、アルパカも、キリンもねこ議長も、嬉しそうにうなずき、手をつないで踊りだしました。

そして、ハグ&キスをして、これまでいじょうにお互いの絆を強めたのでした。


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