見出し画像

JAMES LEE BYARSのパフォーマンス・アートを鑑賞する

平日の会社帰り、JAMES LEE BYARSというインスタレーションや彫刻を専門とするアメリカのアーティストのパフォーマンスを鑑賞しに行った。
場所はミラノの郊外の現代美術のみを展示する会場で、私の家から割と近くにあり無料なので、本心を言えば、あまり面白いと思えるインスタレーションはやらないけれど、作品が変わる度に訪れている場所だ。
パフォーマンスは2月8~10日の3日間のみのため、この展示がつまらない、という前情報はあったけれど、パフォーマンス付きなら、と予約したのだった。

JAMES LEE BYARS(1932-1997年)は、1960年代から今日に至るまで、最も著名なアメリカ人アーティストの一人であり、コンセプチュアル・アートとパフォーマンス・アートの分野で全世代に影響を与えてきた。美術から心理学、哲学に至る幅広い経歴を持つBYARSは、常に日本文化に魅了され、それは生涯を通じて彼の芸術活動に影響を与えてきた。BYARSのアートは、東洋の風習や文明に由来するモチーフやシンボルを、西洋の芸術や哲学に関する深い知識と融合させ、現実とその物理的・精神的要素に関するユニークで個人的なビジョンを提示している。
(中略)
イタリアでの最後の展覧会から30年以上を経たこの回顧展では、1974年から1997年に制作され、世界各地の美術館に収蔵されている大規模な作品の中から、滅多に展示されることのないイタリア初公開の作品を紹介する。 大理石、ベルベット、シルク、金箔、クリスタルといった貴重で洗練された素材が、プリズムの球体や柱といったミニマルで典型的な幾何学と調和し、バロック様式のオブジェと組み合わされ、形と内容の間の象徴的で美的な相互参照の戯れとなっている。

展示のイタリア語の説明を抜粋・意訳

だだっ広い展示会場に着き、鑑賞はものの10分で終わってしまったけれど、「常に日本文化に魅了され」という部分に心をそそられ、パフォーマンスにも期待してしまった。

それでは、幾つか写真を紹介しよう。

入り口を入ったところの作品
The Golden Tower(1990年)
金箔に覆われた約21メートルの柱で、バベルの塔のように宗教建築の原型を彷彿とさせる、という説明がある
パフォーマーという名の、ただ歩いて立ち止まるだけの人たちがいる図
てっきりコンテンポラリーダンス的な要素があるのかと期待していたけれど、全然違った(苦笑)
The Door of Innocence(1986-89年 手前)とThe Figure of Question is in the Room(1986年 奥)
奥の作品の上方にはQとRという文字が彫られている。QuestionのQとRoomのRだそうだ。
Byarsは、Questionマークが、あらゆる声明に新たな命を吹き込み、現実を肯定する領域から芸術や詩の領域へと移行させられると信じているそうだ
斜めから写すとこのような感じ
The Rose Table of Perfect(1989年)
3333本の薔薇が使用された球体のオブジェクト。
Byarsにとっては、球体と円が大きな美のかたちなのだそうだ
The Spinning Oracle of Delfi(1986年)
16世紀のテラコッタをベースにした作品
The Giant Angel with the Human Head(1983年)
The Hole for Speech(1974-81年)
パフォーマーが前にいるのでわかりづらいかもしれないが、中央に小さな穴が開いていて、そこからスピーチする仕組みになっている
The Moon Books(1988-89年)
金箔が貼られた丸テーブルに16の星 -新月、上弦の月、満月、下弦の月- が配置されている。
西洋では通常、月の満ち欠けは8つの段階に分けられるそうだが、Byarsはそれを、アジアの幾つかの国の伝統で起こるように2倍にしたそうだ。
パフォーマンスが始まる前のパフォーマー。この体勢の方がよりパフォーマンスっぽかった
The Diamond Floor(1995年)
Leonardo da Vinciの「Uomo vitruviano(ウィトルウィウス的人体図)」から発想を得た作品で、人体を5つの点に減らす、という意味合いがあるそうだ。この"Five Points Make a Man"という表現は、彼の各種作品のテーマになっているらしい
近景
参考: Leonardo da Vinciの「Uomo vitruviano(ウィトルウィウス的人体図)」
各種手紙類①
各種手紙類②
各種手紙類③
よく見ると刺繍で凄く可愛い
Red Angel of Marseille(1993年)
ガラス職人と一緒に作った作品で、1000個の赤いガラス玉を使った作品。
ルビー色の天使の擬人像であり、開花中の木を表現してもいるそうだ
近景

パフォーマンスはイマイチだった、というよりなくても良かったけれど、説明を読むとなかなか奥深い作品もあるな、と思った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?