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クリスマス恒例-Perugino「キリストの洗礼」-を鑑賞する

いつからかは把握していないが、年末が近づくと毎年のように町の中心地Duomoとスカラ座の間辺りにあるPalazzo Marino(マリーノ宮殿)でキリスト関連の絵画の展示が無料で行われる。原画の展示は1、2点で、その他はそれに付随する作品のスクリーンへの投影ではあるが、一度友達に誘われて気乗りしないまま行って以来ハマってしまい、それ以降は、その友達が他の州へ引っ越したこともあり、一人で行くようにしている。

2023年12月5日から2024年1月14日まで、偉大な芸術家ペルジーノの没後500年を記念し、「キリストの洗礼」がPalazzo Marinoで展示される。
また、2023年12月11日から2024年1月5日まで、他の8つの市町村の図書館にもそれぞれ重要な作品が展示される。

ミラノ市の展示案内を抜粋・意訳
Palazzo Marinoの前の様子。
でかでかと宣伝されていて間違えようがない
中に入ると20~25人ずつのグループに分けられて順に通される

ペルジーノPerugino, 1448年頃 - 1523年)は、ルネサンス期のイタリアのウンブリア派を代表する画家。本名はピエトロ・ヴァンヌッチ(Pietro Vannucci)。「ペルジーノ」は「ペルージャ人」の意味。 フィレンツェのヴェロッキオの工房にて油彩を習得。
ペルジーノの事績のうち重要なことは、Botticelli、Ghirlandaioらとともに、バチカン、システィーナ礼拝堂の壁画装飾を担当したことである。ペルジーノは、この壁画制作にあたり棟梁的な役目を果たしたとみなされており、若きラファエロの師でもあった。イタリア中から発注を受け「神のごとき画家」と賞賛されるも、宗教改革以降に多くの祭壇画が散逸してしまった。

Wikipediaより抜粋
今回展示された唯一の原画「キリストの洗礼」
少しズームしてみた。
洗礼者ヨハネが器でヨルダン川の水をすくい、イエスの頭に水をかけて洗礼を行っている。
一方のイエスは胸の前で両手を合わせながら、洗礼を受けるために静かに頭を垂れている。
更にヨハネにフォーカスする。
ラクダの毛衣を身にまとっていることがよくわかる。
精霊の姿をとって降臨した鳩と静かに瞑想する天使たち

鑑賞はものの15分程度だが、非常に厳かな気分になれてよいものである。
週末は大変混みあうので、早朝に行かれるか、可能な方は平日に行かれるのが長時間の列に並ばずに見られてよいのでは、と思う。

さて、ここでまた1本、キリスト教関連の映画を紹介しよう。
日本が舞台になっているのでご覧になられた方も多いかもしれないが、Martin Scorsese監督の「沈黙」(2016年)がよいかな、と思う。

ポスター: 「沈黙」

日常的に滅多にアメリカ映画は観ないが、原作が大学時代に愛読した遠藤周作の作品だったので、観ない理由はないだろう、と思い、この長編を映画館で堪能した。
遠藤周作の作品は、主にキリスト教関連と、多重人格関連に二分されるが、私は後者の愛読者であったため、恥ずかしながら沈黙は読んではいない。
しかし、学生時代には、私だけでないと信じたいが、「1549年にポルトガル人のフランシスコ・ザビエルが日本にキリスト教をもたらし、布教活動を行う」以上、的な教えられ方しかしておらず、「フラン・・・シ・・・・・・ザビエル!!!」という、まさにカルタとり的な覚え方しかしていなかったので、非常に興味深く映画を観ることになった。

もしまだご覧になられていない方がいらっしゃれば、年末年始の少しまとまった時間がある際の候補に入れていただければ、と思う。

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