朝食の謎
盆でも正月でもない何気ない朝。その繰り返したはずのアパートでの目覚めはいつになくとても静かで、だが奇妙なことが起きていた。
そう起床に合わせ丁度食べ頃になるよう設定したはずの米が硬く、中々しゃもじが入らないのだ。
「ああ、困った。お腹が空いているのに、何だよこれは…!」
いつもは確り水分がとびふっくらとしているのに今日に限ってがちがち。どう見ても不味そうで、かといって地震等でコンセントが抜けた訳でも、蓋を開くのが早過ぎた訳でもなくブレーカーを見ても、何の異常もない。頭にはサスペンス劇場の曲が響く。
「食べる…がその前に、調べるか」
嫌がらせの様な不気味、そして奇妙にインターネットも使って調べる私。釜、熱、保温、寿命…。だが五分後には、何が起きたか全て分かっていた。
「コンセントが繋がったまま、電源オフ…!まさかこれはっ」
そう要するに炊飯器はもう使用後十年が経ち壊れていたのだが、調べによると熱に耐えつづけるのがその宿命らしく、それが出来なくなった時が…終わりだというのだ。ただし食欲はあるので、茶碗によそい食べ始める私。
しばらく味わってからもう一度見に行くとそこにはただの鉄の塊となった白い炊飯器がある。
何度かパッキンを買い替えた事もあったが、もうすっかり黄ばんで家電の中でも古参だったそれ。その死を悼むよう今朝だけは、車のエンジン音も、芝刈り機の音もない。
「でも……食えない程じゃあないぞ。限界だったのに、よく食べられるまでにしてくれたなっ」
今迄ありがとう。謎が解け、食欲が満たされ、炊飯器の死に様と炊きあがった米に私は一人そう、呟いていた。
さあ、どうだったでしょう炊飯器、最後の戦い。最終回、炊飯器死す。今ではもっと玄米を炊いてみるとか、まぜご飯を作ってみるとか、してやれば良かったと思っています。日常にもこういった謎や感動はありますが、やはり作り込んだ物語には及びません。という事で活劇≪残酷でない暗黒街≫、喜劇≪おふざけの時≫をよろしくお願い致します。二作はいずれも無料で、後者に限っては台詞も多く、読書家でなくても読みやすくなっています。たまには文章だけで…笑ってみませんか。もしも笑えたならスキを下さい。一読、お待ちしております。
以下はビデオゲームやマフィア映画が好きな人におすすめで、略称はざんくら、となっております。主人公達と一緒に悪いゲーマーと戦って下さい。
以下はとにかく笑いたい方におすすめで、文章が苦手な人にも読んでもらうため台詞は多め。略称はおふときです。よろしくお願いします。
紹介にあるとおりただ娯楽だった時代の小説を目指しますので、今のところ読者を楽しませる作品のみを書くつもりです。それでよければ応援よろしくお願い致します。