北峯あきらめ

身の回りで感じた面白いことを中心に、クスッと笑えるようなエッセイを書けたらいいなぁ。

北峯あきらめ

身の回りで感じた面白いことを中心に、クスッと笑えるようなエッセイを書けたらいいなぁ。

最近の記事

イチローの思い出

2019年の春、東京ドームであった試合の後、イチローが現役を引退した。 私はイチローが大好きで、その凱旋試合を観に行っている。私を含めた誰も気が付いていた。ピークを過ぎたイチローはこれで引退だと。だからこそ応援にも熱が入った。 試合は日本での開催だがメジャーリーグ公式戦の位置付けで、アナウンスも英語で行われた。幸いにも親切なメジャーリーグは日本語のアナウンスも付けてくれたので、英語が苦手な私でも試合を十二分に楽しめた。だいたい英語は難しい。waterがワーラーになるのだか

    • ばあちゃんが燃えた日

      沖縄にはウチカビという儀式がある。先祖があの世(グソー)で金に困らないようにと、墓前や仏壇前で紙幣を模した紙を燃やすというものだ。だいたい旧盆のウークイ(※1)や親族が集まるシーミー(※2)などでウチカビは催される。 ウチカビは親族一同が一人ひとり紙を焼くまで続く。そしてまるで鍋奉行のように、その一族の長老がウチカビを焼く順番を差配するのだ。紙にはそういった薬品が塗られているのかどうかは定かではないが、数枚焼いただけで結構な火力が生じる。 我が家では大正生まれの頑固者の祖

      • 注射嫌い

        私は注射が嫌いだ。まぁ積極的に好む人がいるとも思えないが、大人なな皆さん、すました顔で予防接種を受けたり採血されたりしている。 私は違う。注射を受けるときには毎回、まるで試合に臨む柔道選手のように顔に自らビンタをし気合を入れなきゃいけない。もちろん受けなくても良い注射は、できる限り避けている。 痛いのが嫌なのではない。注射針が皮膚を貫き体内に金属が入ってくるあの感覚が大嫌いなのだ。毎年の健康診断での採血時も、担当の看護師さんに「ちょっと待ってくださいね、気合い入れますので

        • ファーストクラスの話

          この駄文を読んでくださる物好きな方の中に、飛行機のファーストクラスに乗ったことある方はいるだろうか。自慢じゃないが私は何度かある。と言っても国外線でではない。通常運賃に1万円ほど追加して乗れる国内線のファーストクラスに乗ったことがあるのだ。 初めてファーストクラスに乗ったのは、空港が大混雑していた時のことだった。私の住む沖縄に高校野球の強豪校が100人単位で練習に来ていたらしい。バットや道具を持っての荷物検査に時間がかかり、搭乗手続きに長蛇の列ができていた。 混雑を解消し

        イチローの思い出

          さくらももこごっこ

          私はさくらももこの書く文章を敬愛している。 なのでたまに、さくらももこごっこをしている。さくらももこが書くような文章に、いかに寄せてものを書けるかという遊びだ。ただ悲しいことに、そのごっこ遊びに付き合う人は誰もいない。 せっかくnoteを始めたので、これを機に、私がこれまでに生み出したさくらももこを真似て書いた馬鹿な文の一例を世間様に公表したいと思う。 タイトルは「虫の話」とでもしておこう。 虫の話 一体全体どういうわけか、私は虫に好かれる。 虫に好かれたってなんの得

          さくらももこごっこ

          三流知人

          これまでの人生を振り返れば、人との繋がりの深さというものは、どれだけ多くの思い出を共有してきたかで区別できるのかもしれない。 例えば毎日顔を合わせていたとしても、多くの場合、飲み屋の顔なじみなんてものは些細な付き合いだろう。苦楽をともにした学生時代の部活の友人などは、一生モノの友になるーー。 先日、友人の結婚式にいった。この友人とは職場で出会った。同じような繋がりを持つ仕事仲間4人で参加した。 結婚式ではわれわれ4人が余興を任されていた。当日まで熱心に準備をし、会場には

          とても痛かった話

          バチンッーー。 ふいに右手の薬指に強い衝撃を受けた。 やがて衝撃は痛みに変わる。その"震源地"に目をやると、2つの穴が並んで空いていた。 「ヘビか」。そう理解するのに時間はかからなかった。 似たような痛みを味わったことがある。数年前、仕事で北関東の某山林の、道なき道を歩いていたときのことだった。突然、右手の親指を銃で撃たれた。 いや、実際に撃たれたわけではない。だが何かに指を吹き飛ばされたような強い衝撃が、私の指に走ったのだった。眼の前を大きなハチが飛んでいった。恐ら

          とても痛かった話