【怖い話】掘り起こされた○○は……
《「怖い話」が苦手なフォロワーさまがおられるので、間違えて読んでしまわないようタイトルに [怖い話]と入れています。また今回の話は実話をベースとしており、「愛玩動物の死」に関する描写があります。いずれも苦手な方は、今回の話は読まない方がよいと思います。》
今回は出だしから若干不快感を与えかねない描写が出て来るので、いったん私の自画像ヲ挟みます。
引き返される方は、今の内に『ヲ出口』からどうぞ。
(本編)
「なあ、トモヒコ(仮名)ん家で飼ってたネコ、死んじゃってさー。あの木の下に一緒に埋めたんだ。ネコの死体……見たくない?」
私が小学校高学年のときの話である。
クラスの友人4人と一緒に近所の公園で遊んでいた。
ボール遊びにも飽きたところで、友人の1人であるユウキ(仮名)が唐突に、クラスメートのトモヒコが飼ってたネコについて話し始めた。
私もトモヒコとは同じクラスだったが、あまり仲良くはなく、一緒に遊んだこともなかった。
私はユウキとはたまに遊ぶ仲だったが、ユウキはトモヒコとも仲が良かったようで、たまに遊んでいたようだった。
ユウキの話によると、どうやら最近、トモヒコが飼っていたネコが死んだらしい。
そして、仲良しだったユウキがトモヒコに付き添い、ちょうど私たちが遊んでいた公園にあった「1本の木の下」にネコの死体を埋めたらしい。
私は一瞬、「ネコの死体?」とゾッとしたが、クラスメートたちに怖がっていると思われるのも癪だったし、ユウキの話にも半信半疑であった。
何日か前に埋めたネコの死体を掘り起こしたところで、今さら出てくるものなのか?
それよりも、ユウキの奴、オレらを怖がらせようとして出まかせを言っているのでは?
私はユウキの言うことを話半分に聞きながら、敢えて反対はしなかった。
ボール遊びにも飽きがきたタイミングだったし、どうせ他に面白そうなことも思い付かなかった。
その場に居合わせたほかのクラスメートたちが、いったいどのような心境だったかは定かでないが、我々5人は意気投合し、さながら映画『スタンド・バイ・ミー』の如く、ネコの死体を埋めたという木の下に向かった。
ユウキの先導のもと、我々は柔らかそうな土がこんもりと盛り上がった木の下に辿り着いた。
「この辺だったと思うわ。みんなで掘ってみるべ!」
ユウキの号令で、我々は一斉に足元の土を手で掘り返した。
ジャリジャリ……ジャリジャリ……
土はスコップが無くても、手で何とか堀ることのできる柔らかさだった。
土を掘り返す私の心には、またもや先ほどの疑惑が浮かんだ。
ユウキの奴……やっぱり嘘を吐いていたんじゃないか……。
こんなところを掘って……ネコの死体なんか……出るとも思えないよな……。
それでも、私はクラスメートと一緒に暫く土を掘り続けた。
ジャリジャリ……ジャリジャリ……
……それは……そこに「在った」。
「ホラ、これ見てみぃ!」
ユウキが手にしていたのは……土まみれになった……ネコの前脚だった……。
あの日、私はユウキが手にしたネコの前脚を見てギョッとした。
クラスメートの手前、多少見栄を張り、露骨に怖がることはしなかったが、とても素手でその「前脚」を触る気にはならなかった。
ちょうど空も暗くなってきた頃だったので、ユウキはネコの前脚を元の場所に埋め、我々は土を元に戻し、ほどなくして我々は解散した。
※※※※※
数年後、私は中学生になった。
ある夜、私は夢を見た。
夢の中で、私は大好きな刑事ドラマの主人公さながら、犯人を追う刑事となっていた。
相棒とは途中ではぐれ、私は単独で逃げる男を追い続けた。
男は公園の中に逃げ込んだ。
逃げる男……追う私……。
2人の距離が縮まる……。
?!
公園の中で男はピタッと立ち止まり、悠然と私に向き直った。
スゥ~ッ………
私もつられて立ち止まる。
ちょうど男と向き合う恰好である。
あたりを見回すと、そこは私の自宅付近の公園……
そうか……小学生の頃、クラスメートたちと「ネコの前脚」を掘り起こしたあの公園か……。
そして今、男と向き合っているのは……正に「あの木の下」ではないか。
私は夢の中で、不思議と明確に小学生の日の出来事を思い出した。
男は私の方を見ながら、無言で指を上空に向けた……。
つられて空を見上げる私……。
?!
何とそこには!
……そこには……真っ暗な空を背景に……何十……いや何百という木の枝から……数え切れないほどの……人の手が……ダラ~ンとぶら下がっていた……。
それは……ネコに例えると……「前脚」に相当する体のパーツであることは……すでに各位がお察しのとおりである……。
(完)
~補足~
※ 本記事は実話をベースにしています。
実際に起こったエピソードの再現にこだわり、敢えて残酷な描写を編集していません。
ときに子供は、本記事に描かれるような冒険心を自制することができない生き物であると感じる一方、既に成人となった筆者は当然のことながら、本記事に描かれるような行為を推奨する立場ではありません。
※※※※※
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