【小説】#ランボーなロッキー(ショートショート)

30歳のロッキー・バルボアは、ボクシングの試合を終えた。
ファイトマネーは、わずか40ドル。

彼は、ベトナム帰還兵である。ボクシングを辞めて、銃や護身術などのビジネスで一儲けしようかと企んでいる。
趣味は銃のコレクション。

ロッキーは、この銃が使いたくてたまらなかった。

次の試合は2週間後。
ロッキーは生活の為、高利貸しの取立屋をしている。
銃をチラつかせれば、仕事はスムーズだった。

彼は、エイドリアンと一夜を共にしたい。
だが、最近ではジムのトレーナーや、エイドリアンにも冷たくされて、彼らを銃で撃ち殺す妄想に囚われている。
世の中は灰色だ。

棚からぼた餅が、舞い込んでくる。
アメリカ建国200周年記念のタイトルマッチ。
相手のボクサーが負傷してしまい、代わりの対戦相手が見つからない。無名のボクサーに、出場権を与えるというアイディア。

「建国記念タイトルマッチに出ろ」
ロッキーはジムのトレーナーに、命令される。
だが、臆病になってしまうロッキー。

「リングの上では、銃を使用できないから」
「当たり前だろ」

だが、あるエキシビションマッチで、ロッキーは圧勝する。
ロッキーは日頃の鬱憤を晴らすように相手を潰したのだった。
(これなら、例の記念マッチもいけるかも)
ロッキーは考え直し、トレーナーのもとでトレーニングを積むことにする。

朝4時起き、生卵を5個飲み干し、ランニングを欠かさず行う。
ロッキーに成果が現れ始める。

壮絶なトレーニングを経て、ロッキーは試合に臨むことになった。

試合。
ロッキーを憎むようなパンチの連打。
ロッキーは立ち上がる。力が拮抗していてロッキーに勝利の光が見え始める。

次の瞬間、全てが崩壊した。
『ドゴッ』
ロッキーの顔面にアッパーカットがヒット。ベトナム戦争時の拷問がフラッシュバックする。

「ぐああああ」
ロッキーは、リングから逃走。
そのまま、控室に置いてあった銃を手に取って、選手や警察官を巻き込む銃撃戦を始めてしまう。

試合会場に籠城するロッキー。
「捕まえろ」
州兵まで出動する騒ぎの中、ロッキーはベトナム仕込みの戦闘スキルで次々と州兵を倒していく。

『落ち着け』
ジムのトレーナーが、スピーカーで説得を試みている。
ロッキーは、トレーナーを嫌っているので、事態が変わるはずはない。

「やはり、俺は銃で生きていくべきかな」

ロッキーは、廊下へ飛び出していた。
『ダダダダ』
銃を撃ち続けながら、新しい仕事を見つけねばと思っていた。

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