【時短系料理人11】

「ママ、パパをこわがらせてやろうよ」
 僕は言った。
 
 僕たちは、パパにスープにされて、助手席の容器の中で揺れているんだ。

 ――パパが運転する車が、高速道路を走っているという状況は、変わらない。異常なことだけど、車は何事も無かったように、首都高を走り続けている。

『そうね』
 ママも、パパに殺されてスープにされて、後部座席の容器で揺れている。

 ママは、相当に怒っている。
 パパを許さないと言っている。

『怖がらせるって、どうするの。坊ちゃん』
 ママは、乗り気みたいだ。

「うん。ママ、次のインターチェンジ超えたら、幽霊みたいに、路肩に立っていたらどう?パパ、驚くと思う。僕、パパを怖がらせて、青くなっている所を見たいんだ」

『オーケー。ちょっと試してみるね。上手くいくかわからないけど』
 ママは、約束してくれた。





  

 

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