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太宰とエレカシ宮本さんのことを考えた15年前のブログ記事

15年前に自分がエレカシ・ファン・ブログに書いた記事を掘り出したので、ここに貼り付けてみます。宮本さんは太宰が好きなので、読んでみようとしたらしい。
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おととい、電車の中で太宰治を読んでみた。太宰治は苦手な作家だった。

 中学生くらいのとき家にあった「斜陽」を読んだのが最初だと思うが、そのときは、特になんの感慨も覚えなかった。高校生のとき、「人間失格」を読んで、これは自分のことを書いているんじゃなかろうかと思った記憶があるが、最近読み直したが、そんな感慨は浮かばなかった。その後、自殺した人の作品は読みたくないと思ったのか、あんまり読まずに来た。晩年の短編集と、「津軽」と、あと新潮文庫を数冊読んだくらいだ。「津軽」の最後のところは、何度読んでも泣いてしまうのだが。

 今まで、太宰治は「珍奇男」的な印象が強くて、読むときにとても抵抗を覚えていたのだった。その抵抗の詳細については、書くと長いので割愛する。それが、この間の、サンボマスターの山口隆さんの番組での宮本さんの話を聞いて、ちょっと太宰でも読んでみるかと、少し長距離の電車に乗るついでに、荷風全集の一冊とともに、ツレの新潮文庫を一冊持って乗り込んだのだった。(ツレは、太宰が好きである。)本当は宮本さんが言及した「二十世紀旗手」か「如是我聞」がよかったのだが、そしてその二冊は、以前から読もうと思っていたのだが、なぜか以前から家のどこを探しても見つからないので、「グッド・バイ」にした。これは、以前斜め読みにして、苦手だなと思っていた本だった。

 で、その電車の中で読んで、さっきまた読んで読み終わったのだが、これがおもしろかった。この本の最後にある、未完の小説「グッド・バイ」が一番おもしろかったかもしれない。読みながらかなり笑っていたのだが、太宰はこんな小説を書いている途中に自殺してしまったのだ。(心中というより、やっぱり自殺だろう。)

 宮本さんにはまったく関係ないが、同じく自殺した作家である鷺沢萠さんが自殺前に書いていた小説「ウェルカム・ホーム!」も、軽くて暖かい、影を感じさせないタッチだったことを思い出した。鷺沢萠さんは35歳で自殺した。宮本さんの30代後半(男性)危機説は、鷺沢萠さんにもあてはまっていたのだろうか。

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