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    2015年、谷崎潤一郎没後50年のメモリアルイヤーに合わせ、論文風のものを2本書きました。

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    あの鈍くて粘っこい痛み、腹わたがじわじわ燃え腐っていくような熱。絶食、入院、手術、そして〝憩室炎のある人生〟は続く。いわゆる闘病記ではなく、病を通して病について考えるための記事。全5話。

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最近の記事

『うんこかん字ドリル』をめぐって

 学校で話題になったらしく、娘から『うんこかん字ドリル』を買ってほしいとせがまれた。『うんこかん字ドリル』とは、数カ月前に発売されるや爆発的に売れた「全例文に『うんこ』を使った、まったく新しい漢字ドリル」で、「子どもが夢中になって勉強する!新学習指導要領対応」とのこと。  買わないぞ! だって、あれがうんこのたのしさのすべてだと思い込んでしまったら、子どもがかわいそうじゃないか。最初から「うんこ」と書かれたドリルの、どこにどんな魅力があるというのか。あらかじめ落書きが印刷さ

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    • 清新であること、残酷であること、美しくあること――「あなたの人生の物語」

      【マガジン「読み返したくなる短篇」バックナンバー】  ほんの1カ月前まで、最近ほとんど小説読んでないなと思ってたけど、ここ3週間くらいで長い間積読になってたぶ厚い本(どちらも500頁超えでSF)を2冊、ペロッと読んだ。ひとつは「あなたの人生の物語」を含むテッド・チャンの同名短編集で、もうひとつは飛浩隆の『グラン・ヴァカンス』。いずれもとてつもなくよくて、後者の巻末ノートの一節が胸に響いた。 清新であること、残酷であること、美しくあることだけは心がけたつもりだ。飛にとってS

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      • 彼らはついに再び冒険の旅に出た――『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』

         ドラえもん映画を見てワクワクしたのは、いったい何作ぶりだろう。新体制になってからの作品をぜんぶみたわけではないけれど、思い出せるかぎり2006年以降一度たりともこんなことはなかった。もちろん『大魔境』とか『鉄人兵団』とか『日本誕生』とかリメイクものはおもしろいし、かつての名作が現代に生まれ変わるのは嬉しい。でも、なにしろ元が超いいんだからちゃんとつくってりゃそりゃおもしろくなるよ、とつい思ってしまう。せっかく新体制で技術的にもいろいろ向上してる今、オリジナルの物語ですごいや

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        • ちゃんとは覚えてないんだけど後でまた読み返したくなる――ケリー・リンク「いくつかのゾンビ不測事態対応策」

          【マガジン「読み返したくなる短篇小説」バックナンバー】  ケリー・リンクの短篇小説のどれかを読み返したくなって本棚へと歩いているとき、私はおもにその小説のなかの会話の場面を読み返したいと思っている。「妖精のハンドバッグ」なら主人公の女の子とそのおばあちゃんが言葉遊びみたいなボードゲームをしながら交わす会話を読み返したいし、「いくつかのゾンビ不測事態対応策」なら見ず知らずの他人のホームパーティーに紛れ込んだ男がキッチンかどこかにいた女の子と交わす会話を読み返したい、という具合

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          髪の毛の匂いを嗅ぎ合う歌について娘と話し合ったりした大晦日

           昨年の大晦日はものすごく久しぶりに「紅白」をまともに見た、3分の2くらいまでだけど。なぜか見たかというと、娘(8歳)が星野源が大好きで「星野源が出るまでずっと見る」と言い張ったからで、なぜ3分の2くらいまでかというと、ちょうどその頃に星野源が歌い終わって舞台を去ったから。以下はその際に娘と交わした会話。 娘「いやー2016年の終わりに星野源が見られて本当よかったー」 私「そんなにいいかなあ」 娘「え、何いってんの好きじゃないの?信じられない」 私「いや、君が2歳くらいのと

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          〝彼女〟のいない特殊部隊はもはや信用ならない

           『ローグ・ワン』や『この世界の片隅に』が巷を沸かせるなか、今日劇場公開された『バイオハザード:ファイナル』。「ファイナル」すなわちシリーズ最終作、もう金輪際続編は作られないらしいのでほっとした。2作目から5作目がとてつもなくつまらなすぎて、一刻も早い幕引きをずっと心から願っていた。「つまらない」と言い切るからには私はしっかりこれまでのシリーズ全作を見たわけで、「つまらないなら見るのをやめればいいだろバーカ」とか「わざわざつまらない映画のつまらなさをブログで書くなバーカ」とか

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          「いつまで続けるつもりか」と「いつまでも続けてほしい」両方

          ※ なぜかノートが消えてしまったので、メモをコピペして以下再アップ。ちなみに今、Hule でシーズン7を鑑賞中です。見終わったらあらためてレビューしようかと。 2016.11  Amazon プライムビデオでの『ザ・ウォーキング・デッド』シーズン6 配信がとんでもなく忙しい時期に開始されてしまい、苦しい。深夜、仕事に一応とりあえずの区切りがついたときなど、あれを見るべきか見ざるべきかで相当悩む。見たら見たで睡眠時間が2時間とかになってつらいし、我慢したらしたで続きが気になり

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          ビビアン・スー曰く「誰もみんな、君のようならいい」

           私がいわゆる〝多感な時期〟を過ごしていた1990年代のJポップ。なかでも街で、コンビニで、テレビで、ラジオでひっきりなしに流れるものだから覚えてしまったけれども、そう熱心に聴いていたわけではないからちゃんとは覚えていない曲たち。時を経てそういうのを聴くのは、なんかいい。といっても、そこで歌われている劇的な恋とか苦境とか運命とかにはちっとも感情を移せない。ただ当時は気づけず聞き流していた妙なフレーズとか、予想外に素晴らしい言葉とかを探し歩くのが楽しいのである(見つかるのはたい

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          カレーのこととなると、つい。

           むかしよくいったカレー屋を久しぶりに訪れたら、ほとんど何も変わってなかった。よくある話かもしれないが、これは相当すごいことだと思った。連れがいるならまだしも、一人飯で飲食店内にスマホの「カショイ」音を響かせるのは気恥ずかしくて嫌だけど、それでも撮ってしまった。なつかしすぎて。この店のこのカレーを記録しておきたくてつい。  高校生のとき、私はこの店で「カレー」を発見した。振り返ってみればそうだ。もちろん小さい頃から家のカレーや給食のカレーが好きだったし、外食でカレーを食

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          約1年前に「年末っぽい映画」について書いたブログのことを思い出し、読み返してみたら、今年もバタバタ師走の真っ只中でほぼ同じことを考えていると気づいた。ので再アップ。 「思い浮かべてばかりの映画」 https://note.mu/claris_ishinabe/n/ncb236bfe1690

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          物体を並べて文字列を作り、空白を想う

           先月末、下北沢ケージで開催された「TOKYO BOOK PARK vol.1」で活版印刷を体験。これが感動的だったので、いまさらながらざっと体験記を書いておこうと思います。  「TOKYO BOOK PARK vol.1」は、代々木八幡の古本屋リズム&ブックスさんの呼びかけで立ち上がったブックフェスの企画。10月末に第一回が開催され、もちろん我がクラリスブックスも本をたくさん売りました。古本屋だけでなく、雑貨やレコードなどのお店もブースを出していて楽しく、ぜひ恒例のイベン

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          あれからずっと、デニス・ネドリーの復活を待ち望んでいる

           前回のブログ「全力の『ジュラシックパーク』ごっこ」であげた全4作の名場面のなかで、私の息子がもっとも気に入っているのが1作目『ジュラシックパーク』中盤の「デブのネドリーがディロフォサウルスの毒をくらう場面」。私自身が子どもの頃好きだったシーンでもある。というか私はこのデニス・ネドリーそのものが好きだ。『ジュラシックパーク』について語り始めたからには、彼に触れないわけにはいかないだろう。 ▲ ウェイン・ナイト演じるデニス・ネドリー ◆ 映画を動かすために一番がんばった男

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          全力の『ジュラシックパーク』ごっこ

          ◆ 巨匠への愛と敬意と感謝を込めて  さいきん、幼い息子が頻繁に恐竜ごっこ、というか『ジュラシックパーク』シリーズごっこに興じ、周囲を巻き込みたがる。残念ながら彼の母と姉は恐竜に興味がなく、ティラノサウルスの腕の小ささをあざ嗤い「パラサウロロフス」も「コンプソグナトゥス」も覚えられない体たらくなので、どうしても父がごっこ遊びに参加することになってしまう。 ▲ パラサウロロフス(左)とコンプソグナトゥス(右)  思えば私がはじめて自分の意思でレンタルビデオ屋へ行って借りた

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          忘れられない奇妙な味――柴田錬三郎「さかだち」

          【マガジン「読み返したくなる短篇小説」バックナンバー】  私がこの短篇を初めて読んだのは、吉行淳之介が編纂したアンソロジー『奇妙な味の小説』(1970、立風書房)でだった。柴錬さんの小説は後にも先にもこれ一篇しか読んだことがなく、正直これからもたぶん読まないと思う。そういう作家の作品と思わず知らず出会えることが、アンソロジーの楽しいところだ。とりわけこの『奇妙な味の小説』は以前も触れたとおり、私にとって発見と喜びがとても多かった一冊で、古本屋で買い求めてからもう15年くらい

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          『シン・ゴジラ』

           前情報がすくなすぎて、胸の内には期待もワクワク感も大して育ってなかった。「まあ見とこう」というほどの気持ちで仕事の合間に映画館へ飛び込み、結果ボコボコに打ちのめされた。  たぶん生まれて初めて、映画のエンドロールを見て泣いた。映画の余韻に浸ってではなく、エンドロールそのものに泣かされた。巨大なスクリーンを上から下へ流れていった人・団体・機関・施設・作品その他いろいろの名前の羅列は、まさにこの映画が成し遂げた偉業を簡潔に、そして堂々と要約した超名文だった。 「これはもう一回映

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          すべての「考えること」はピギー・スニードを含む――ジョン・アーヴィング「ピギー・スニードを救う話」

          【マガジン「読み返したくなる短篇小説」バックナンバー】  性根がねじ曲がってるせいかもしれないが、目の前で「救う」と「書く」が組み合わさると、とたんにキナ臭いもやもやがあたりに立ち込めるようで逃げ出したくなる。もちろん「ピギー・スニードを救う話」は別だ。これほどまで明快に軽やかに「救えないこと」を突きつけてくれる「救う話」を、私は知らない。  ピギー・スニードは「頭の弱いゴミ収集人」であり、ブタを育て、ブタを殺し、ブタとともに豚舎で暮らす養豚農家である。そのずんぐりむっく

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