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「渡来と継承」

古きを温め、新たな事にトライするまち中野

コラム:Clafters 伊藤那岐


今年度から始まった活動「Clap」。
記念すべき第1回は中野駅周辺を開拓していった。
「中野」と聞くと自分自身、普段は小田急線を主に使用していることもあり、正直なところ思いつくものはサンプラザ中野くらいであった。しかし訪れてみると、そこには少しレトロで、しかし現代の多様な文化を受け入れ共存している街の存在に気づかされた。

散策していくにあたり、今回は記念すべき第1回目と言うこともあり、プロローグ的な形で、まずはこの芸術祭の舞台となる中央線を見渡せる歩道橋へとやってきた。この日はあいにくの雨であったが、この先の活動の可能性の広がりを予感させてくれるようなどこまでも続く線路を見渡すことが出来た。

駅西側、歩道橋から見下ろす中央線

歩道橋を降りると、この駅南西側エリアには昨年度、中央線芸術祭2021で開催されたパフォーマンスプログラムの会場「テルプシコール」がある。テルプシコールの前を通り過ぎ、昨年度のパフォーマンスプログラムを少し頭の中に思い浮かべながら、丁度お昼時であった為、このあたりで腹ごしらえしたいと思っていた。すると、高架下沿いに何やらおしゃれな外装のお店が。調べてみると、中野エリアでも屈指の名カレー店だそう。実際、この日もすでに店の前には行列が出来ていた。しかし、そのような名店であれば是非とも頂きたいと、降りしきる雨の中 15分程度店外で待ち、店の中へと入った。

高架下にお店を構える「トリコ」さん。絶品 でした。

店の中に入ると、ペンキで塗られた壁にメニューが手書きされているという、とてもおしゃれな雰囲気に目を奪われた。このお店では粘度あるこってりとした日本式のカレーを提供しており、この日はお得な日替りランチセットを注文した。

この日の日替りメニューは、ミンチ肉とチーズ、そしてお店自慢の鶏胸肉がのったカレーであった。ご飯は白米・玄米の2種類から選ぶことが出来、更に辛さや量も大盛り(男性はプラス200円)・ふつう・小盛りから選ぶことが出来た。これにサラダもついて値段はたったの900円!他店なら、軽く1200円はするボリュームである。

できあがっていざ実食。一口入れると、ふんだんに使われたスパイス、そして濃厚なルーに心奪われた。間違いなくこれまでに食べたことのない味であった。更に、濃厚なルーを溶かしながら食べる為に勧められた「魅惑のスープ」をかけてみると、こちらも仰天!鶏胸肉から出たダシをふんだんに使ったスープと濃厚なルーとの相性は最高だった。もし、このノートを閲覧していただいた方が今後中野エリアを訪れる機会があれば、ぜひこの「トリコ」さんを訪れてみて欲しい。ごちそうさまでした!!

昼食を終え、2つの大学の所在するエリアからセントラルパーク(中野四季の森公園)を通り過ぎ、駅の北側から更に北側にある新井薬師付近の通りを散策していった。前述したとおり、自分自身中野エリアは余り訪れていなかったこともあり、周りのもの一つ一つ確かめながら歩いていたところ、途中、民家とおぼしきガレージにてレトロな外車を発見した。思えば先ほど紹介した「トリコ」さんのお店の前にもレトロなカブの様なバイクがあった。また、道にも何台か80年代の様な外車が走行しており、どこか懐かしい時代を思い出させる場所なのかと感じた。

外車とガレージ

しかし、その後中心部にある商店街を通ると、タイやベトナムといった異国情緒あふれる飲食店がずらりと並んでいた。その中でも自分自身特に驚いたのが第三商店街入り口付近に所在しているハラール専門店である。イスラム教を信仰している方々に対し、禁忌とされている豚肉などを除いた食品、食材を提供するお店のことで、自分自身、大学の学食などで取り入れられている事は承知していたが、専門店を目にすることは初めてであった為、非常に新鮮だった。

ハラール専門店

この度、中野エリアを2時間程度散策し、駅から少し離れたエリアでは落ち着き、古き良き昔の雰囲気を味わいつつも、中心部は賑わい、また新たな異国の文化などを積極的に受け入れているという街の姿を味わうことが出来た。今後、駅前は更なる開発が進み、市役所も新たに移転される計画であるという。「温故知新」というわけでもなく古きを温めつつ、新たな文化も積極的に受け入れ、今後益々発展していく中野の姿を、是非皆さんもその目に焼き付けて欲しいと思う。


Center line art festival Tokyo 中央線芸術祭【ClafT】は街と人とアートを繋ぐ回遊型アートフェスティバルとして2021年にスタートしました。
フェスティバルを通して「人・地域・世代を繋ぐ、芸術・文化の創造と発信のプラットフォーム」 として、東京の中心から西へ向けて文化領域を拡大してゆくとともに、都市から自然への文化のグラデーション化を図り、緩やかに繋げてゆくことを目指しています。

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