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日中トラベルサミット2022レポート|基調講演セッション「Afterコロナ日中旅行市場復活のチャンスと挑戦」

新たな「地域共創」の場づくりを目指す一般社団法⼈⽇中ツーリズムビジネス協会(東京都新宿区 代表理事 王璇、以下CJTC)は、第5回目となる『日中トラベルサミット2022』を開催しました。2023年2月21日(火)前夜祭と称し中国の旅行会社との商談会、商談会参加者や登壇者、関係者が集う交流会を実施し、2023年2月22日(水)にオンラインフォーラムを開催しました。

基調講演セッションでは、「Afterコロナ日中旅行市場復活のチャンスと挑戦」をテーマに、基調講演セッションを行い、モデレーターの一般社団法人日中ツーリズムビジネス協会 理事 王 璇(Wang Xuan)氏を始め、以下4名が登壇しました。

<モデレーター>
一般社団法人日中ツーリズムビジネス協会 理事 王 璇(Wang Xuan)氏

<パネラー>
JNTO北京事務所 所長 茶谷 晋太郎氏
中国駐東京観光代表処 首席代表 欧陽 安氏
日本攻略ロングセラー「自遊日本」著者 史诗氏

◆各登壇者による取り組みの紹介
まず最初に、各登壇者より現在進めている取り組みについて、ご紹介いただきました。

中国駐東京観光代表処の取り組み
中国駐東京観光代表処首席代表・欧陽安氏より「中国駐東京観光代表処の取り組み」について、ご紹介いただきました。
中国駐東京観光代表処の主な取り組みとしては、日本との観光交流の促進です。東日本を中心に各観光管理機関や観光業界との友好交流を実施するほか、マスコミへの取材協力や中国旅行への誘致活動、日本の観光業界の招請によるツアー開発、また旅行業界のリサーチまで行っています。

新型コロナウイルス拡大前は、毎年ツーリズムEXPOへの出展を行い、日本の各地に赴き海外渡航促進キャンペーンを実施し、日本の旅行業界関係者との現地視察ツアーなどを年間3~4回実施していました。また、中国の各省から来るPR団による各省の観光説明会なども多く実施していました。
新型コロナウイルス拡大後はオフラインの活動は減ってしまったものの、様々な工夫を行いながら、青少年交流に携わる中日交流活動などを行い、オンライン型のイベントを多く開催するなどの活動を行いました。

2022年度は、25のイベントを開催しました。今年(2023年)に入ってからは、水際対策の緩和に伴って、オフラインのイベントも開催していきたいということです。
 
 
中国におけるJNTOの取り組み
JNTO北京事務所所長・茶谷晋太郎氏より「中国におけるJNTOの取り組み」について、ご紹介いただきました。
日本政府観光局(JNTO)では、海外における訪日観光プロモーションを実施しています。世界25か所で展開しており、中国に関しては、訪日市場で約3割を占める重要な市場であることも踏まえ、北京・上海・広州・成都の4事務所で取り組み、3本の柱としてサステナブルツーリズムや高付加価値旅行、アドベンチャーツーリズムなどを踏まえた業務を分担しています。
具体的には、BtoBでは中国の旅行会社向けに訪日旅行商品造成支援や、日本の観光関係者に向けた中国市場の情報提供、コンサルティング、BtoCではSNSでの観光情報発信やイベントへの出展などを行っています。

コロナ期間はSNSに力を入れており、主なターゲットである20~40代を念頭に、自然・食・文化をテーマに、中国で広く使用されているプラットフォームを用いて情報発信を行っています。特に、Weiboに関しては、JNTOに加盟している団体様の記事を転載するなど、広く周知を行っています。

また、中国系メディアとのタイアップなども実施しています。例えば、日本にいらっしゃる中国人インフルエンサーの方にご協力をいただき、日本の観光地からライブ配信などを行い、訪日観光の認知度向上や興味関心の醸成を行っているということです。
 
消費者目線での訪日観光
日本攻略ロングセラー「自遊日本」著者・史诗氏より「消費者目線での訪日観光」の取り組みについて、ご紹介いただきました。 
史诗氏は大学時代から日本研究をしており、その後出版社を経てフリーライターとして活動されています。自身も日本に数十回来日され、著書「自遊日本」は10万部以上のロングセラーとなっています。

現在は、日本の航空会社や鉄道会社、観光局などとも連携し、日本各地の旅行観光ルートを設計デザインし、その紹介を執筆などの活動を行っています。
コロナ期間中はガイドブックもあまり売れ行きが良くない状況が続いていたものの、最近は販売数が増えてきている状況にあるとのことです。

コロナ期間中は、観光客の目線で観光業界を見られているということを踏まえ、日本の各地の文化財を紹介する書籍を翻訳されたり、エッセイ集の刊行も予定されているということで、これからは日本への関心はさらに熱くなっていくのではないかとお話しされています。
 
 
◆コロナ禍を経て、今感じている日本と中国の市場の変化
茶谷氏
現状は、航空便がまだ大幅な減便状況が続いているということで、それに伴って価格が高いということが訪日において阻害要因となっています。一方で、中国国内の状況は、ゼロコロナ政策が廃止されたことで、大型連休である春節で大幅に旅行者数や消費額が戻っているということを踏まえると、旅行に対するニーズは非常に強いと感じています。
従来型の団体旅行も人気ではありますが、近場のレジャー、日本でいうマイクロツーリズムのような傾向が中国にもあると感じている一方、旅行会社の体制としては縮小されているというアンケート結果もあります。
今後は、航空便回復に伴い、中国からのアウトバウンドも回復していくのではないかと見込んでおり、旅行会社も急速に体制の立て直しを図っています。

 
欧陽氏
2023年の春節期間の国内観光客は約2億人に達し、コロナ前に比べ88.6%まで回復しました。3年ぶりにアウトバウンドが緩和され、タイ、インドネシア、フィリピン、ハンガリー、ケニアなどの20か国が海外旅行先として回復しています。
中国国内旅行では、同じ省や隣接する省など近距離の観光が目立ち、特に団体旅行はいまだ慎重なところがあります。
また、日本の国内旅行の現状は、まん延防止法の解除を機に、徐々に回復してきており、日本人国内旅行消費額は、ほぼ2019年度と同等に回復してきています。これからは、中国からの旅客に対する水際措置を緩和することで、さらに日本における中国人観光客が増えると思っています。

 
史诗氏
旅行者の変化としては、見学より様々な体験への変化や、中国国内で食の多様化を受けて定番の日本食よりも多様化の味などへ向かうのではないかと思います。

日本の観光資源は豊富ではありますが、外国人にとっては言葉の壁などもあり、多くの情報を得ることができないという課題もあります。それらの観光資源を、日本の自治体や会社がどのようにアピールできるかが課題であると思っています。


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