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仕事で配信しているメルマガが4周年を迎えた話

部署内のメンバーへ配信しているメルマガが、配信4周年を迎えていた。あたかも記念号のように送ったが、送信ボタンを押す直前になってから気づいたのはここだけの話。

不定期の金曜日発信。毎週のように配信していた時期もあれば、数ヶ月空く時期もあった。法務部ではないのだが、事例を交えた実務を法的観点から考察するのがテーマで、分量はだいたい5,000字ほど。読みやすいようもっとコンパクトに書こうと思っていても、業務ではない自主的な取組みということもあって、毎回好き勝手書いている。

配信を始めたのは、今の部署に来て2年が経った頃だった。部署異動でさながら転職したかのような気分の中、右も左もわからないなりに仕事をしていたら、少しずつ自分のやりたい仕事を任せてもらえるようになった。モチベーションが高まったからと言えばそうなのだが、一番の理由は、前の部署での経験を何とかして還元したいと思ったからだった。

いわゆる現場と本部という括り方をすれば、今の部署は本部で、前の部署は現場だった。新人配属から曲がりなりに体感してきた現場のリアルを伝えたいのと同時に、自分が誇りにしてきた仕事が何も役立たない悔しさと葛藤もあった。苦楽を共にし、引き続き第一線で奮闘する前の部署の仲間の思いを届けたかったのかもしれない。いずれにせよ、随分と青くさい動機だった。

組織運営にあたってマクロな視点は欠かせない。今もなかなか実践できていないが、そう実感するのは日常茶飯事だ。その反動なのか、性分なのか、ミクロな視点を大切にしたいと思い続けている。同じ仕事をして6年以上が経た今も変わらない、自分の核になるような想いがそこにある。

当時の上司に仁義を切って送った初回配信には、たくさんの人が反応をくれた。「こういうこと、できると思ってもなかなかできないと思います。ぜひ続けてみてください」「実例に強くない身にはすごくうれしい内容です」。そんなひと言たちが、今もぼくの書くエネルギーになっている。


配信を始めてからしばらくして、ぼくも一緒に書かせてくださいと言ってきてくれた先輩がいた。ぼくがこの部署で働ける基礎をつくってくれた、逆立ちしても一生敵わない、ずっと尊敬している先輩だ。

一緒に書いてくれるのが、志を共にしてくれたのが、うれしかった。直近はご無沙汰だったし、この春からは海外赴任をされたのでもう書かれてはいない。数年間、切磋琢磨する仲間として、憧れる目標として、書き続ける力をくださったことに心から感謝している。

noteと同じなのだ。いつだって「書く」は「読む」に支えられているし、書くのを一緒に楽しめる仲間がいるから書きたくなる。今でこそ書き手は一人になってしまったけれど、先輩と一緒に配信してきた時間が、これからも伴走し続けてくれる。

仕事が忙しくて書けないときもあれば、忙しいからこそ時間を振り絞って書き、何かを確かめようとするときもあった。思い返せば、週末に書いて配信当日の金曜に細部を仕上げるルーティンが回っているときほど、仕事は充実していた気がする。気力のバロメータ、なのかもしれない。

先週の金曜日も、何とかして書ききった。日中は相変わらずバタバタしていて、配信できたのは19時過ぎ。もう業務を終えていた人も多かったし、いつも以上に読まれない時間帯なのを承知で送信ボタンを押した。

別の仕事で社内向けのバナーを作ったのがきっかけで、メルマガのバナーもあったらいいかもと思い、今更ながら、今回の配信からメールの冒頭に載せてみることにした。このnoteのヘッダー画像にそっくりのデザインで、通勤電車の中でCanvaで作ったもの。4周年は配信直前に思い出した話なのに、何だかそれを記念するバナーみたいになってしまった。それでも、送ってすぐ何人かの同僚が声を掛けてくれて、救われた気持ちになった。


夜遅く、フロアの通路で隣の部署の後輩とすれ違った。今回の配信をもう読んでくれたみたいで、「バナーいいですね!」と声を掛けてくれた。

彼はその後、丁寧にこんなメールを返してくれた。

配信4周年おめでとうございます!私のように毎号最後まで読んでいるサイレント・非アクティブな購読者(ファン)も相当数いると思います。今後も陰ながら愛読&応援させていただきます。

応援の言葉に合わせて、彼は今回の配信テーマについて自身が考えたことをたくさん書き添えてくれていた。うれしかった。こうやって仕事への思いや考えを交わすことが、メルマガを始めたきっかけの一つでもあったからだ。

4年前は社内のIT環境が今ほど十分でなかったこともあり、配信するにはメールを送るくらいしか方法がなかった。新しいアプリに切り替えたら、noteの「スキ」みたいにリアクションをもらえたりするのかもしれない。

そう思いつつも、書くには毎回事前のリサーチが必要だし、何だかんだ書きやすいからメールのままになっている。どれくらいの人に届いているのか不安になるときもあるが、彼のように、サイレントで楽しみながら読んでくれている人はきっといる。

noteも前ほどは読まれなくなったけれど、書く意味も、書きたい気持ちも変わっていないのは、noteもメルマガも同じ。どちらも、大切なのは誰かに届いていると信じられるかどうかなのだろう。

こないだ飲み会に向かう道すがら、久々にゆっくり話した先輩から、同僚の何人かがぼくのnoteに登場したいと言ってくれていると教えてもらった。まさかそんなと思いつつも、読んでもらえているのが素直にうれしかった。

ここで書き始めて数年。自分の中でゆるやかに整理がついてきたのか、少しずつ仕事の話も書くようになった。PV数やリアクションの数には表れない「届いている」を胸に、noteもメルマガも細く長く書き続けていきたい。



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