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バーテンダーがお酒をやめた理由


さてさて、今回は私の個人的な話です。

つい先月末まで私は東京で8年間ほどバーテンダーをしておりました。

そんな私がお酒をやめて4か月ほど経ちました。

バーテンダーをしていた男がなぜ酒をやめることにしたのか?

その理由について語っていきたいと思います。


お酒が大好きだった

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そもそもなぜバーテンダーという仕事をしていたかと言うと、
単純にお酒が好きだったからです。

僕はビール、日本酒、ワイン、ウイスキー、焼酎、スピリッツ、
何でも飲みました。

毎日晩酌をしていましたし、人と会うとき、映画などの娯楽を楽しむ時、
美味しいご飯のお供にと、お酒は無くてはならない存在でした。

カクテルを作ることでお酒と関わる仕事がしたい。

そんな軽い興味からはじまっていったんです。

仕事で飲むこともありましたが、
基本的にはプライベートでお酒を飲むことが多かったですね。

しかし、大好きなお酒には負の側面がありました。


酒癖が最悪だった

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ただただ酒癖が本当に悪かったんです。

ある程度まではいいんですけど、あるレベルを超えると人が変わります。

態度が悪くなり、すぐキレました。
酒癖が原因で縁が切れた友人、先輩、同僚 その数知れず、、、

酒に酔って喧嘩をふっかけたこともあれば、 ボコボコにされたこともあります。

タクシーを蹴飛ばし、運ちゃんと喧嘩。飲食店のトイレのドアを壊す。

繁華街の道端で寝て、朝方目を覚ますこともしばしば。

財布はしょっちゅうなくしてました。

イヤホンやアクセサリーその他高額なものまでなくす始末。

挙句の果てには線路に降り立ち東京メトロの始発を止めてしまうようなこともありました。

普通に犯罪です。

その当時付き合っていたパートナーたちにも迷惑をかけまくっていましたし、その度に愛想を尽かされつつも理解をしてくれて?いました。

もともと飲める訳じゃなく、アルコールが合わない体質だったんです。
酒を飲むと斑点が出て顔が赤くなります

でもそれを我慢してしばらく飲むと斑点は引いていつのまにか気持ちよくなります。

そしてそれ以降は飲めば飲むほど顔が白くなり、酔いが深くなっていきます。

そしてある一定のラインを超えると記憶が飛びます。
記憶が飛ぶと同時に人格が変わります。

このレベルになると潰れる寝る、そういったことはあまりありませんでした。
何か問題を起こすまで飲み続けるんです。

そして次の日、目が覚めると記憶がない。

財布も現金もない。携帯は割れている。激しい自己嫌悪。
一緒に飲んでいた人に謝罪の連絡から1日が始まります。

吐きそうなほどの自己否定から昨晩の自分の話は聞けませんでした。

とにかく謝る。


こんなことを18歳から25歳ぐらいまでやってましたね。
その間たくさんの人との関係を壊しました。

さすがに反省し、
ここ3年ぐらいはかなりお酒との付き合い方を気をつけていました。

飲み方はかなり気をつけていて、
記憶がなくなるまで飲むと言ったことはかなり少なくなっていました。

それでも0になったわけではなく年に数回は人に迷惑をかけていたのです。



酒癖が、いや酒が私の人生の最後の課題であり、最大のウィークポイントであると自覚はしていました。

でもカクテルを作りお客様に楽しんでいただく。
そういうバーテンダーという仕事をしている。

これを自分への言い訳にしてダラダラと飲み続けていたのです。

タバコは止められました。

でも酒だけはどうしても やめられませんでした。


減酒は意味がなかった

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お酒に悩む人は量を減らすことを考えます。
これを「減酒」と言いますね。

そうして自分がお酒をコントロールしたという気分になるのです。
しかしこれは根本的解決にはなりません。

機会飲酒という言葉をご存知でしょうか?

これはなにかというと人との飲み会や、
付き合いの時にだけお酒を飲むことです。
つまりは晩酌などで習慣的にお酒を飲まないことですね。

例えば習慣的に飲酒をしていた人が、
機会飲酒だけにしようと決めたとします。

するとどういうことが起きるかと言うと。

そもそも飲みたいがために、
お酒が飲める「機会」を増やしてしまうのです。

そしてお酒が飲める機会を増やしていくとどうなるか。
また飲酒量をコントロールできなくなるのです。

僕もそうして減酒に挑んでは、失敗を繰り返しました。


もう大切な人を傷つけるのが嫌になった

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お酒が原因で離婚をしたり、財産を失ったりする人もいますね。
自分だけはそうはならないって思ってたからやめられなかったんだと思います。


半年ほど前、酷く酔っ払ってしまった日がありました。

当時付き合っているパートナーに電話でひどい言葉をぶつけてしまったのです。

次の日、案の定何も覚えていない私は、記憶がないことに気付きパートナーに謝りました(記憶がない時はろくなことをしていないので謝らなければならないということは学習していた)

パートナーはひどく悲しんだ声で昨日の私の発言や様子を伝えてくれました。

その内容たるや、ひどいものでした。

普段の自分なら絶対に言わないような言動や態度です。

人格が変わる、と言いましたが本当にそういう感覚です。
自分がやっていないことで自分が謝っている気分です。

「俺は楽しく飲んでいただけなのになんで謝らなければいけないんだ」

今までどっかにそういう気持ちがあったんだと思います。
だから人格が変わったときの話を聞かされるのが耐えられなかった。

いままで付き合っていた彼女たちにも散々迷惑をかけてきました。
その度に申し訳なく思いましたし、自己嫌悪してきたんですが、でもバーテンダーだから飲まない訳にはいかないと自分に言い訳してきたんです。

でもそのときだけは、自分がやってしまった、という感覚がとても強かったんです。

きっとバーテンダー業をコロナ禍で休業していたときだったので、仕事でのお酒と離れていたのにも関わらず、という思いもあったのかもしれません。

もう大切な人を悲しませてる事実には変わりがなくて。

その事実が辛くて。ひたすら辛くて。

酒癖以外の自分は好きなんです。

でも酒癖のせいで好きになれない。


もういいよ俺。終わりにしよう。

決意しました。



ある本との出会いでお酒をやめられた

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それから私はお酒をどうしたらやめればいいのか分からずに悩んでいました。

そしてこの本に出会ったのです。

この本を読むことでお酒をやめることができました。

拡大解釈かもしれませんが、
大切なことは「価値観を入れ替えること」だと気づかされました。

禁煙も、禁酒も我慢では絶対に続きません。

本当はいいものだと思っているのに
精神力だけで我慢するっていうことは人間限界があるんです。

「いいものなのになんで我慢しなきゃいけないんだ」
「社会的体裁があるから飲まないだけだ」

こんなことを考えながら一生続けていけると思いますか?

そんな精神的葛藤を繰り返しているうちに
負けて飲んでしまうのが関の山でしょう。


ではどうすればいいのでしょう?


「お酒がいいものである」
「タバコがいいものである」

その思ってしまう根本の価値観を入れ替えるのです。


徹底的にいいものであるという価値観を壊す、
というよりかは入れ替えてしまう。

僕もお酒が大好きだったので相当大変でした。

しかしその入れ替えさえ完了してしまえば、
飲まないでいるのがとても楽になります。

なぜなら我慢しているのじゃなくて、
飲まないことがベストだと心から信じているからです。


全員がお酒をやめるべきという訳じゃない

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禁酒セラピーの中では、

健常者も含め全ての人はアルコール中毒者と、
先天的にはなんら変わりはないと述べています。

クソまずいと思ってビールを飲み始めたときから、
皆が同じ食虫植物の中にいるんだと。

底に達してしまう速さ(食虫植物の斜面を滑り落ちる速度)
の違いが個々人の環境や体質によって変わるだけなのです。

そしてその食虫植物の最終到達点で溺れているのが
アルコール中毒者です。


私は、早かったんです。

飲み始めてからすぐに斜面を滑り落ちていきました。

このまま飲み続けていたら本気で人生を滅ぼしていたと思います。

家族を持ったとしても深く傷つけてしまっていたでしょう。

しかし、全員がお酒をやめるべきなのではありません。

全員が全員好きなペースで、お酒を飲み続けても
かならず食虫植物の底に達する訳ではないからです。

誰にも迷惑をかけず、お酒をほどよく「嗜む」事ができる人が存在するのもまた事実です。

ほどよく飲めるのであれば、嗜好品であることは否定できません。

一方で「アルコール中毒」という診断をされなくても、
人生を台無しにするほどコントロールを失っている人も多くいるのです。


コレを読んでいる方の中にも年々コントロールを失ってきている人、
迷惑をかけつつも飲み続けている人もいると思います。

「わたしはアルコール中毒者とは違うんだ」

それが最後の拠り所になってるんだと思います。
でも繰り返し言います。

「中毒者」も「嗜む人」も同じ食虫植物の中にいるのです。

その延長線上には破滅が待っています。
自分の落下スピードに少しでも不安のある方は本を読んでください。

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アルコールを飲まなくても飲み会は楽しいです。

嫌な付き合いは「酒をやめたから」といって断ることができます。

現状にくすぶっている方はブレイクスルーとして試してみるのもいいかもしれません。

「お酒をやめてよかったこと」はまた別の機会に書いてみたいと思います。


私はお酒やめて心から幸せです。

祝い事には一杯だけビールを飲んだりすることもあります。

しかしその他大部分の私の人生にはお酒が必要ないことがわかりました。


バーテンダーは不向きだったかもしれませんね笑


ところでこの記事で「私自身がお酒をやめたこと」を、
“禁酒”と表現していないことにお気づきでしょうか?

なぜなら飲むことを“禁じている”のではなく、
心から“飲まないことを選択している”からです。


長々と最後まで読んでいただきありがとうございました。


この記事が、あなたがやめるやめないに関わらず
お酒との付き合い方を見直すきっかけになれば嬉しいです。


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