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日本の食器(2)

10年前くらいから食器、焼き物に興味が出て、窯元を訪ねたり、作家の陶器作品を見たり購入したり、博物館での鑑賞も楽しんだりしているけれど、陶器についての基礎知識もなかった。このたび検定のため、所有の食器を確認しながら総花的に勉強。     

焼き物の特徴

■器の各部の呼び方


 ・口、口縁
 ・銅
 ・腰
  ・見込
 ・高台(こうだい)
 ・高台脇、畳付
 ・高台内
 ・首
 ・肩

■焼締陶(やきしめとう)と陶器と磁器


焼締陶=釉薬をかけずに高温で焼き、硬くしまっている焼き物
素地は不透明。焼成時に自然釉が発生し、ビードロ釉、灰釉がかかるなどして、炎の当たり方によって窯変が起こる。

■陶器と磁器の違い


陶器
・原料:陶土(粘土)で土色
・見込みと胴:色・釉薬の流れはさまざま
 ※見込み:茶碗の内部の底あたりのこと
・高台:土の色が見える
・見た目:柔らかく暖かい
・その他:釉薬や土の産地の違いにより風合いが異なる。
     叩くと木琴のような音。
磁器
・原料:陶石(石の一種)
・見込みと胴:透明釉など均一でなめらか
・高台:生地の白さで一目瞭然
・見た目:絵柄の色に透明感がある
・その他:薄く上絵は鮮やかな色合いで細やか。
     叩くと金属製の音。

■代表的な装飾技法


〇粉引(こひき)
ベースに「赤土」の粘土を使い、その上に白い泥をかけ白化粧を施した上から釉薬をかける。ぽってりとした厚みと、やわらかな表情。(粘土+白化粧+釉薬の3層構造)


〇刷毛目(はけめ)
白泥(化粧土)をかけてすぐ、乾かないうちに
ロクロを回転させながら刷毛を当ててつけた模様。

〇三島手(みしまで)朝鮮半島から伝わった象嵌の技法で、半乾きの素地に印花、象嵌(ぞうがん)などの印判を当てて彫り模様を入れ、そこに化粧土を塗り込んで文様を出す。この象嵌模様が三島大社(静岡県三島市)から出されていた暦(こよみ)の文字に似ていたことから、三島手と名付けられたと言われている。


〇櫛目(くしめ)
櫛型の道具を使って装飾する技法

〇布目(ぬのめ)作品の表面に残った布の跡(模様)。もともとは装飾技法としてではなく、型で作った作品についた布の痕跡がはじまりといわれている。織部焼の型づくり作品に特徴的な模様

〇線刻(せんこく)全体に白泥をかけた後、模様を線で削りとったもの

〇搔落(かきおとし)全体に白泥をかけた後で模様以外の部分を削り、異なる色を出して模様にする技法

■釉薬と絵付け


釉薬:・白磁(はくじ)
   ・青磁(せいじ)
   ・辰砂(しんしゃ)
   ・鉄砂(てっしゃ)
   ・鉄釉(てつゆう)
   ・灰釉(はいゆう)(かいゆう)グレーっぽい
   ・志野釉(しのゆう)白っぽい
   ・織部釉(おりべゆう)緑っぽい
絵付け:・色絵(いろえ)
    ・染付け(そめつけ)
    ・金欄手(きんらんで)

■文様


・唐草 蔓(つる)をデザインしたもの。風呂敷の模様

・祥瑞(しょんずい)青海波、七宝、格子などの連続した幾何学文様を細かく描き込んだ文様。中国明代末期の茶陶染付の器の底に「五良大甫 呉祥瑞造」の銘があるところからこの名称が付けられました。もともとは中国の最大の陶窯である景徳鎮(けいとくちん)でよく使われていた絵柄

・木賊(とくさ)植物の木賊(とくさ)をモチーフにしたたてに線描きしたシンプルな文様。常緑のシダ植物で湿地に自生している木賊(とくさ)


・捻(ねじ)放射状に区切られた枠や縞を捻り曲線の区切りにした文様。

・網目(あみめ)漁業で使用する網をモチーフにした柄。ふぐ刺しの大皿

・唐子(からこ)唐(中国)の子供を描いた文様。

・赤絵(あかえ)万歴赤絵万歴(ばんれき)は中国明王朝万歴帝が保護した五彩磁器。景徳鎮の官窯で焼かれた高級な焼物(呉須手は民窯)

麦藁(むぎわら)麦藁を表現した、太さの異なる線の縦縞模様。天に向かって伸びた穂を刈り取った後の麦に見立てた文様で、色の組合せで様々なバリエーションあり

・雲錦手(うんきんで)春秋を代表する桜と紅葉をとりあわせた文様。「吉野山の桜は雲かとぞ見え 竜田川の紅葉は錦の如し」の意。尾形乾山の作品などに多く、異なる季節を一緒に楽しむ欲張りな文様。

・青海波(せいがいは)扇型を交互に重ねて波を表した模様。名前の由来は舞楽の「青海波」という曲の衣装にこの文様が描かれていたことから由来。
また、元禄時代の漆職人で青海勘七という人がこの模様を描いたことからともいわれている。

■つくり


上手物(じょうてもの):一品ずつ丁寧につくられたもの。工芸品、御用窯
下手物(げてもの):日用の雑器。大量生産されたもの。上部で素朴
民窯



      

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