見出し画像

嗚呼・・・熟年婚活 プロローグ

結婚することを目標に意識的な活動をすることを意味する「婚活」

「『婚活』時代」
中央大学・家族社会学 山田正弘教授/白河桃子著

「婚活」=結婚活動をはじめてみたものの・・・
活動の数だけ出会うほぼほぼワントーンの殿方たちとのエピソード。
次、はい、次。
撃沈はいつまでつづく・・・?

熟年婚活に至るバックグラウンドはこちらをちらりと
読んでほしい。

「お電話で話せますか?Mさんの件で。。」
と、
LINEマニアの婚活アドバイザーからLINEメッセージが届く。
ん?なにやら緊急で話したいことがあるようだ。
しかも不穏な空気が読める。。
すぐに折り返したかったが、仕事がたてこんでいて
LINEのメッセージもなかなか返せないでいた。
早くしゃべりたくて勇んでいたのだろう、
しばらくすると、テキストで要件が送られていていた。
「本日、M様の仲人からご連絡があり、
 交際終了を希望する。とのことです。。。。。。」
「先方の仲人さんも、かなり困っていますが
私も悲しみと怒りです!」
と双方のアドバイザーも困惑している。

M氏というのは、登録している結婚相談所を通じて
4カ月前にお見合いした63歳、バツイチ、子どもなしの男性。
結婚相談所的な流れとしては、
お見合い後お互いにOKになり、「交際中」のフェーズになって
お互いを知るためのデート、電話やLINEしあったり
お茶したりお食事したりということを重ねて
結婚相手としてどうかを見極める。
結婚相談所としては、この期間をだいたい3か月間としている。
3カ月くらいで、アドバイザーからの確認やプッシュがはいるわけだ。

私は、この結婚相談所に登録している男性と
55歳のときから何十人とお見合いしてきたが、
ほとんどは、お見合い時で「ごめんなさい」。
お見合いの1時間では、相手の話がほとんど聞けなかったなぁ
というような方は、お見合いをOKの結果にして
「交際中」の1回目のデートに進むのだが、
やはり1回または2回目で「ごめんなさい」。
となる。
ところが、M氏とはななななんと!8回もデートが続いたのだ。
気づくと3か月が経っていて、
お互いのアドバイザーがそれぞれに
相手に対しての気持ちを確かめる。
私もアドバイザーの貴子さん(仮名)に聞かれる。
「Mさんとはどんな感じ?rocoさんが、相手の方のことをひとことも
嫌だと言わず、こんなにデートが続いているのは初めてのことじゃない!」
と浮かれている。

そして、私は、次に吐かれた言葉に耳を疑うことになる。

「あちらのアドバイザーからは、M氏はrocoさんを気に入っていて
他には誰ともおつきあいしたくない。
と言っていると聞いてるから、次に会うときは、
M氏からプロポーズさせちゃうから!」

「え?プロポーズ?! 誰が、誰に??」

M氏については、
嫌なところ、合わないところなど
あるにはあるが、まずは許容してみよう。
と私も長年の失敗から学び、
これまでお断りしてきた大勢の男性のように
「まさか、、」というようなところがあっても、
片目つぶってみて、耐えられそうなら受け入れてみることに
したのだ。
驚くことに今どきガラケー保持者だったり、
体型やファッションや持ち物の地味すぎるセンスだったり、
ちょっと・・・と思うところはあるけど、
どんな話題でも話ができて、途切れない。
頭がいい人なんだろうな。と感じる。
要するに、どんな話でも弾むのだ。
だからといって、
私は彼に対して、ときめきや、特別な好意を感じた瞬間は
一切なし。

「また会いましょう。」
と言われれば、
うれしい!もちろん!♡
という気持ちは全くないが、
会いたくないわけではないから、誘われれば会ってもいい。
というかんじなのだ。
婚活しているんだから、結婚相手としてどう感じるかが
フックよ。と、半ば無理やりイメージしてみる。
このひとに、ゴハンつくってあげたいかしら?
このひとと、毎日いっしょに美味しく食べれるかしら?

   ・・・・・・・・

知り合いの人。
これ以上の感情は生まれてこない。

だから、このタイミングで「プロポーズ」されても困る。
「プロポーズしてもらうから、rocoさんはYES.
と答えてほしいの。OKってことでいいよね?」
と、理解不能なことを私に投げかけるアドバイザー貴子さん。
「プロポーズって、その返事って、
事前に仕込んで"言わせる”の?!」
予想もしなかった不本意な提案に、困惑の極み~!
おかしいでしょ!
と反論してみるも、これが婚活ビジネスということのようだ。

貴子さんが、アドバイザーらしいアドバイスを
めずらしく言ってきた。
とにかく1回「決めて」前に進んだ方がいい。
「決める」と二人の向き合い方が変わってくる。
「決めた」ことによって、感じ方も付き合い方も変わってくる。
お互い信頼できるようになって、
素敵なカップルになれると思う。
万が一、やっぱり無理なら断ればいい。
決めないと、rocoさんのことだから、
ずるずる会っているうちに、やっぱりココが嫌だ。
とか思うようになって、
他にもっといい人がいるんじゃないか。という気持ちになって
断るパターンだと思うのよ。

ん、、、、図星かも。
そう思った。
貴子さんに言われたこと、よく考えた。
考えて考えて、自分の胸によく聞いてみて、
長年同じパターンで、自ら出逢った男性から去ってきた私。

「もう、変わらなきゃ。」

とうとう意を決して
「Mさんと、結婚を前提に本格的なおつきあいをお願いします。」
と、貴子さんに伝えた。
「承知しました!♡」
私の意思は、アドバイザーを通して即行
M氏に伝わったはずだ。

私も、生まれて初めてこんなセリフを自分の口から発し
一切のときめきもワクワクも起こらない男性と
結婚するつもりになる。
というこの不思議さを、
人生初めてのチャレンジと思いながら、
何かと心の準備を始めていたところだった。

そこに、突然の「交際終了」の伝達。

は?


思考が止まり、そしてぐるぐるぐるぐる・・・
交際終了の理由は?

「rocoさんのことは、本当に素敵すぎる女性だと思っている。
 素敵な人過ぎて、、、
 僕には幸せにできる自信がなくて。。」
結婚相談所もしばらく休会します。
ということ。
以前の奥様をご病気で亡くされていらっしゃるけど
何か、、うまくいっていないまま亡くなられたようなことを
おっしゃっていて、トラウマなのかも?

と伝えられ、ますます、ぐるぐる、ぐるぐる・・・

本当は、これで「終わり」=終了
なのだけど、われわれはいい大人で、
8回もデートしていて、最後のデートもM氏のプランどおりの
コースと内容で穏やかに楽しく、問題なく過ごしたわけで、
「終了」にするにしても、
一度会って話すべきなのでは?
と思い、アドバイザーに伝えると同意してくれた。
私からM氏に連絡を入れた。
会ってお話しませんか。
というと、「連絡いただけてとてもうれしい。私からも
お話ししたいことが色々あります。」
ということで、2,3日後に会った。

ドトールコーヒーに座るなり、
「私の前の妻のことなんです。」と切り出すM氏。
すると、
なんと、なれそめの話から語りだす。
えー?! そこから?! ま さ か・・・・
要点をお話いただければ十分なのでは?
と内心困ったな~と思いながら、黙っておうかがいすることに。
大学の先輩と後輩でクラスがどうのなどから始まり、
どういうデートをしたとか、うまくいったとか、うまくいかなくなったとか、ご丁寧に本当に全部、、奥様が息を引き取られるまでのストーリーを
語られてしまったのだ。。。
そして、この話のポイントは、亡くなられた最後の日のシーンで、
このときのことがM氏にとって非常にショックだったとのことで、
彼女を幸せにすることができなかった。
と締めくくり、これがトラウマになっていて、
私のことも幸せにする自信がない。とおっしゃるのだ。

えーーっと、婚活していたんですよね?
と問いただしたくなってしまった。

50代、60代になると、
誰でも親の介護や死と向き合わなければならない。
私も50代のほぼ10年間は、父母の介護とお別れがあり
自分のための休日は皆無、
休日という休日はすべて実家に戻っていた。
介護と、父母ができなくなった実家や生活の世話などで
頭も体力もいっぱいだった。
M氏も、
2人暮らしになっていたお母さまの介護にご尽力されていて
実は、私に交際終了を言い渡す直前に
お母さまを亡くされたのだ。

熟年婚活には、30代の婚活では思いもしないような
いろんなシビアな現実が伴う。
親の介護は重いテーマで、介護しながらの婚活は
なかなかうまくいきにくいかも。
私もどっぷり介護中の婚活はうまくいかなかった。
お見合いして、この方いいな。と思っても
お相手からお断りされやすかった。
やっぱり、2人で楽しく過ごしたいですね!
という話題に本気で入っていけない現実があるから。

タイミング。

これが熟年婚活のポイントだと思う。

私は、せっかく人生初めての決断をばっさり斬られて
私も仕切り直し!
どうしたいのか、どうするべきなのか、
今後の人生は老後というフェーズに向かっていく・・
この驚きの事例により、
婚活を考え直すことにし、結婚相談所も「休会」にした。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

すっきりしたいところだったのに
サブスクが勝手に更新されてしまい
婚活アプリの方が「活動中」で、
なんとなく日々「いいね!」や「メッセージ」が入ってくる。
しかし、こちらも気に留めたくなるような男性はめったにいないため
だいたい流し見ということになる。
契約期間まで1か月半くらいだったので、
本当にこれが最後!と腹をくくり
アプリで何人かにアプローチしてみて、マッチングした何人かと
メッセージのやりとりをしはじめるが、
一人、二人、、とすぐに「ごめんなさい」した。
三人目は近年離婚された67歳バツイチのまともそうな方だったので、
すぐにお会いしてみたが
自画自賛と強いこだわりをお持ちの方で、帰宅してNGとさせてもらった。。
四人目は、メッセージのやりとりがふにゃふにゃしていて
会話が先に進まない・・・やる気なさそうだな。。。
五人目は、お子様なし65歳バツイチ男性。
メッセージが調子いいような控えめのような、、はっきりしないけど
会いたそうだったので、「会いましょうか?」
と言ってお会いしてみた。
申し訳ないが、生理的に難しいのと、
他にもネガティブに気になることがいくつかあり
気分が悪くなり、お店を出たあとすぐにブロックさせていただいた。
六人目。40代で死別されて大のオトナの男子2人息子さんと3人暮らしの方。
いままでの私なら、スルーするような方だったが
私もさまざま学んで・・・
見た目とか、ファッションとか、センスとか、
そういうのは目をつぶり、
その方がプロフィールでご自分のお好きなことなど書かれた内容が、
訪れたことのあるアメリカやヨーロッパの都市を
気に入って、ぜひまた訪れたい。旅したい。
というもので、「いいな」と感じ、私からアプローチした。
やりとりから非常に控えめで真面目かつ内気な方なのがわかり、
イメージしていたかんじではなさそうだった。
会わないとわからないな。と、お会いすることにした。
ごくごく普通の、静かなサラリーマン。というかんじの方で
嫌なことは特にないのだが、その後も続けたやりとりや
その方の立ってのおすすめの湘南ドライブにも応じてみたのだが、
ライフスタイルが内向すぎて、私は困惑ばかり。
お相手にとっては、私は自立していて様々な経験があって
頼もしいらしく、なんでも「rocoさんに教えてほしい!♡」と言ってくる。

いい人に間違いないと思いつつ、
リズムやテンポが合わなすぎるし、お優しい性格は悪いわけではないけれど
この方の優しさは、「逃げ」の優しさだと感じ、
お付き合いは難しいと感じた。。。

これで、50代が終盤になる前に
ステディになれる方とは出会ずに、結婚活動をやめることにした。

47歳のときに、「婚活」始めるぞ!と
婚活アプリなどに複数登録したのがはじまり。
数えきれないほどの男性とお会いしてみた
奇想天外な、「婚活」と称する熟年男性の現実を知りつつ
自分の現実もどっぷりと知ることになった。
さまざまな婚活あばれハナシの数々、
女子トークは女子はきっと「あー、そうそう」とうなずき、
男性のみなさんは、「あ、、、勉強になる・・・」と
複雑な反応になるのかも。
これも思い出で、人生勉強!










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?