見出し画像

シンギュレイトが「信頼」を大切にする理由

こんにちは!シンギュレイトnote編集部です。

シンギュレイトは「信頼」をキーワードに組織開発を支援するサイエンスカンパニーです。といわれると、疑問に浮かんでくるのが、「なぜ”信頼”を重視した組織開発を行うのか」ということ。(これを書いているnote編集部員も思っていました)

そこで、今回はシンギュレイトが信頼を重視する理由を代表の鹿内にぶつけてきました。

鹿内が認知神経科学の研究者を経て、データサイエンスを扱うビジネスサイドに軸足を移して、事業開発を行ってきた中に答えがあったのです。

話し手:鹿内 学,博士(理学)シンギュレイト 代表

信頼とは

僕(鹿内)は、人を「信頼」することによって、イノベーションに溢れる社会をつくりたいと考えています。

今回は、なぜ「信頼」に着目したのか、ここに焦点を当ててお話しします。(イノベーションに溢れる社会を作りたい、理由はまた別の機会に)

ここでいう信頼とは、社会心理学における一般的信頼のことで、「不安があったとしても、その不安を乗り越えて他者に任せること」を意味します。これが本来の信頼(Trust)の意味であり、世界価値観調査という世界的な調査でも使われている指標です。

なぜ、イノベーション創出において、信頼が重要だと考えているのか。それは、「信頼」が人と人との新しい関係と新たな関係性を生み出すものだからです。

初めて出会う人といきなり仕事をするのは不安ですよね。また、プライベートで知り合いだとしても、仕事の場での働きを知らない相手と仕事をするのも多少の不安があると思います。こういった相手に対する不安を乗り越えるのが信頼です。信頼が新しい関係を生み出し、新たな関係性を作り出します。

信頼についての詳細はこちらの記事をご覧ください!

信頼とのつながり

私は博士号を取得後、京都大学などの研究機関で、約10年間、認知神経科学の基礎研究に従事していました。その当時に感じていた課題が「若手が新しい研究を始めることが難しい」という環境に対する課題です。

研究を始めたくても論文の数などの実績がないと、研究予算が得られなかったり、申請書が通らなかったりする状況で、研究を始めることが困難な環境でした。特に新しい学際的分野では実績を作ること自体が難しく、若手にとってはさらに厳しい状況。私もその1人であり、言葉では言い表せない閉塞感を感じていました。また、研究そのものもグローバルに見れば新しいこととは言い難いものもあるような状態でした。

そんな研究員時代に、日本における信頼研究の第一人者である山岸 俊男さんと出会います。ただ、そのときの僕は脳の研究者であり、山岸さんの研究分野とは違っていたため、「信頼」についてもそこまで気に留めることはありませんでした。

その後、新しいことのできない閉塞感をアカデミアの世界に感じていたこともあり、2015年からビジネスの世界へと軸足を移すことになります。そして、ビジネスの世界でも同じ閉塞感を感じることになるのです。

入社した会社は業界大手の人材会社で、これまでに様々な新規事業を生み出している会社でした。しかし、新しいことと言ってもグローバルに成功したものをローカライズして新規事業として出しているパターンも多く、本当に新しいことはなかなかできない状況だったのです。僕自身、新しいことをやりたいと思った時に、「事例を出して」と言われることも。でも、新しいことなので当然事例なんてありません。

それでも新しいことをやりたいと思った時に、頭の片隅にあった「信頼」という2文字が浮かび上がってきたのです。そして「信頼しかないな」と思いました。これが新しいこと(=イノベーションを起こすこと)と「信頼」がつながった瞬間です。

信頼と安心

一方、信頼と対になる概念は「安心」です。人はみな不安な気持ちを抱えてます。ともすれば、自分が安心できる状況を作り出そうとするものです。会社のなかでも、事件事故を防ぐために「ルール」をつくることがあるでしょう。これも「安心」を作る動きです。

しかし、「安心」に寄った組織を作っているとイノベーションは起きません。

思い出してみてください。何か新しい施策を持ちかけても「私では判断ができないので、持ち帰って上司と検討します」と言われたり、「現在のフェーズではリスクを考えるとできません」と返されたりしたことはないでしょうか。こういった組織は「安心」の概念で動いています。失敗を恐れ、失敗しないためにリスクある行動はしない。ですが、リスクのないところにイノベーションはありません。安心を優先する組織からは、「新しいことをやろう」とするイノベーションは生まれてこないのです。

ここ数年、「心理的安全性」に注目が集まっています。心理的安全性は対人関係において、リスクある行動を取ったときの結果に対する組織にある「場」の概念のこと。「無知、無能、否定、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうか、という概念です。僕は心理的安全性が出てきた当初、「マネジメント側に都合のいい概念だな」と感じていました。

また、「心理的安全性を作りだそう」と働きかけることで、仲が良い”だけ”で成果が出ないチームになったり、心理的安全性を傘にして組織批判をする弊害などが起こったり、マイナスの影響も散見されているのが実情でもあります。

信頼は未来を創る

これまで話してきた理由から、シンギュレイトは、安心ではなく「信頼」を大切にしています。

改めて信頼の意味をお伝えすると、「不安でも、その不安を乗り越えて、他者に任せること」です。”不安”があることが信頼の前提であり、安心とは大きく違う部分。イノベーションを生み出せるリーダーは「新しい関係の他者を信頼し、任せること」で、新たなコトやモノを創造します。

他者を信頼することは「安心」とは真逆の動きですから「不安」がつきものです。でも、その「不安」を乗り越えて信頼することで、新しいつながりが生まれる。そのつながりは、新しいコトやモノを生む。この連鎖が、イノベーションを、未来を創っていきます。

だからこそ、僕は「信頼」です。


最後まで、お読みいただきありがとうございました!もし今回のnoteが、「参考になった」「面白かった!」と思った方は、ぜひ記事への『スキ』とフォローをお願いします!

本記事は、シンギュレイトが毎週配信しているメールマガジンに掲載している代表鹿内のコラムを、シンギュレイトnote編集部が加筆修正したものです。

メールマガジンでは、毎週、代表鹿内が「日々の組織開発/マネジメントのヒントに」をテーマに、日々考えていることや学んだことをメールマガジン登録者の皆さまに紹介するメールマガジンを配信しています。

その他にも、組織開発やピープルマネジメントに役立つ記事やセミナーの紹介なども不定期で配信中です。ご登録いただいても、いつでも解約可能。以下のリンクから、お気軽にご登録くださいませ。