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組織開発におけるコミュニケーション・データの価値とは?自己申告データでは足りない理由と活用・分析方法を解説!

組織の本当の姿は自己申告データだけではわからない。
鍵はコミュニケーション・データにあり!

こんにちは!シンギュレイトnote編集部です。

人事データの活用は進んでいますか?人事データには様々な種類があり、評価などの個人データから、従業員数など組織データまで、上げるときりがありません。

その中でも、注目したいデータが「コミュニケーション・データ」です。コミュニケーション・データとは、1on1での会話や、ビジネスチャットなど、人と人とのコミュニケーションに関わるデータのことです。

コミュニケーション・データは分析が難しく、活用を進められている企業も多くはありません。だからこそ、コミュニケーション・データをうまく活用できれば一歩進んだ組織開発ができるようになります。

今回は、コミュニケーション・データの価値と重要性についてお話します。


働く中で蓄積されるデータ

組織には図表1のように、数多くのデータが存在することが分かっています。

「働く中で蓄積されるデータ」を、4象限に分類しプロットしています。

最も身近で、活用しやすいのが左下の組織・社員データでしょう。これらは自己申告データに分類されます。サーベイやアンケートなどでデータを蓄積し、分析している企業も多いでしょう。

一方で右上のデータはどうでしょうか?これらのデータは行動・意思決定データと呼ばれます。自己申告ではなく、行動・意思決定そのものを価値あるデータとして扱うのです。行動・意思決定データは「蓄積されているけれど、分析・活用まではしていない」という企業が多いのではないでしょうか。

しかし行動・意思決定データには、自己申告データではわからない社員や組織の本当の姿があらわれるのです。

自己申告データの限界

なぜ、自己申告データでは組織の本当の姿がわからないのでしょうか?そこには2つの理由があります。

1. 自分自身のスタイルを誤って認知している可能性がある

まず図表2をご覧ください。図表2では、

  • 「話す時間が長いか、聞く時間が長いか」という会話スタイル

  • 「動き回るか、特定の場所にいるか」という行動スタイル

を取り上げ、これらアンケート結果と実際の行動データで比較しています。

この実験の結果によると、なんと会話スタイルでは35.5%、行動スタイルでは43.1%が自己認識と実際の行動が一致していなかったのです。

つまり私たちは、自分の「スタイル」を誤って認知している可能性があります。そのため自己申告データでは、正しい姿を捉えきることができていない可能性が高いのです。そして、このような誤った認知に基づいて回答されたデータを使って、改善施策を打ち出しても意味がありません。このように自己申告データでは限界があるのです。

2. データの取得頻度が低い

また、自己申告データは取得頻度が低いです。パルスサーベイといった頻度が高いものでも週1回が限度でしょう。しかし、組織や人は刻一刻と状況を変えます。データ分析する頃には、データ取得時と現在の状況が乖離してしまう事も考えられます。

しかし、不確実性が高く変化の早い時代に適応していくためには、よりスピーディーな対応が求められるのです。自己申告データの頻度では心もとないといえるでしょう。そこで、活用していきたいデータがコミュニケーション・データです。

コミュニケーション・データの価値

コミュニケーション・データは、1on1や会議での会話や、ビジネスチャットなど、人と人とのコミュニケーションに関わるデータのことです。また行動データは、オフィスへの入退出、出退勤時間などを指します。

コミュニケーション・データや行動データは、自己申告データと違い、自己認知に基づいて回答するものではありません。そのため、誤った認知が介在せず、組織を正しく認識できるデータを取得できます。

また、取得頻度も非常に高いのが特徴です。特にコミュニケーション・データは、コミュニケーションによって蓄積されるため、リアルタイムで貯まっていきます。そのため、自己申告データと違って、社員の状況をより素早く正確に捉えられるのです。

このように、コミュニケーション・データは自己申告データでは得られない、正確さと即時性を備えています。これこそがコミュニケーション・データの持つ価値なのです。


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本記事は、シンギュレイトが毎週配信しているメールマガジンに掲載している代表鹿内のコラムを、シンギュレイトnote編集部が加筆修正したものです。メルマガ登録はこちらから。