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宗教の歴史は長く、どこから始まりかも諸説存在するとしても結果的に伝統宗教として成熟して世界宗教になり得たのがキリスト教・イスラム教・仏教に収斂されたと考えます。その三派に影響を与えたのがユダヤ教とヒンズー教です。
宗教の問題は精神と個のアイデンティティを意味します。個から複数、そして民族レベルに発展する流れで結果的に寛容とは程遠い分裂からの侵食を嫌う闘争、その拡大版が戦争という形に特化されます。紀元前と紀元後、紀元を境に少なくとも明確な資料に則れば四千年以上人類の歴史から戦争が無くなる事はありません。しかも根源的に精神を安定させていく為の宗教が諍いの元にあり、価値観の違いから引き起こされる矛盾が全てなのだと思い至ります。

そこで、その人類史と宗教が密接である点を基本に先程来の代表的な宗教に共通するのは性差の捉え方についての共通概念が大枠で似ている点に気づきます。
女性の位置付けです。
キリスト教では女性による倫理道徳にもとる行為が発覚した時、所謂キリスト教原理主義では火炙り、石礫を加えて良いとされます。
イスラム教では女性は存在自体が罪深いものとされます。理由は男性の理性を狂わす為、男性が理性を保てるように人前での肌の露出を避ける為の衣装の着用がマナーとなり、そこに原理主義が適用されると更に外出すらも抑制されます。
仏教は釈迦が悟りを開いた折、当初は女性が弟子になる事を認めていませんでした。前述のイスラム教と同じ思考に拠ります。しかし教えを請いたいとする女性の人数が増えて女性部的な女性専門の仕切りを作ります。

世界宗教に発展していく上記三派における女性という存在だけで罪深いのだとする原理主義は時代を経ながら、緩和され生活に馴染む形で柔軟な有り様へ科学実証の理性的なプラグマティズム(行動主義)を経て、現在に至っています。
ですが、原理主義に近い概念が完全に消失しているかと問われればそういう事にはなりません。
確かにリベラル的な進歩主義が近現代に女性の地位向上に果たした役割は大きく、ついこの間のごとく雇用機会均等法の施行等、世界は女性を男性と同様の社会的地位と存在感の認識をコンセンサスに置く事に成功させています。

しかしながら何故、ルッキズムからなる男女とも性差の魅力がビジネスマターとされるのでしょうか。
ルッキズム産業の代表格がエンタメ業界です。
若い女性であれば‘きれい’‘かわいい’を強調して疑似恋愛に昇華させます。
ライブというコンテンツの前では既に非現実空間を提供するのが商品ですので、没入させる意味合いでは観客は凡そ理性を失われた世界になるのが、逆に言えばイベントとしては成功とみます。
パフォーマンスの一環に目の前にお目当てのアーティストがいれば触れたくもなるでしょう。この場合、服装関係なくそうした衝動に駆られて不思議ではありません。男女共に好きなものには触れたくなる生理的欲求から離れるものではないからです。
なので舞台と観客席と分かれてそのエリアの中で双方は疑似恋愛という関係性を成立させれば良いはずにも関わらず、エリアを飛び出すパフォーマンスを繰り出すという事は、トラブル事態も想定すべきとそこは主催者側の配慮の問題に他なりません。

女性という性を割り切った風俗産業に務める女性への視点をどのように考えるかという問題もあります。
この背景は個人によって捉え方が様々異なるので、差別や侮べつ的な眼差しをもし持たれるとするならば、宗教原理主義はそこに各人の倫理として存在しているものだと覚ります。

つまりどのような背景があるにせよ、他者が各人が個人の立場を理解するには推し量れないハードルがあり、寛容になることの難しさに行き着くのです。
そしてジェンダーという文言で全てをフラットに各人が人権を重んじている社会になっているとも思えず、一層パワハラ、セクハラだの社会的人間関係はもつれているのが現状の様相に見受けます。

成熟した社会では、自ずと人口が減るのは仕方のない事と百年前から社会学的にも検証されています。
その理由にもある宗教的なものから離れていく行為が加速する程、顕著になるのだと推察されるのです。

要は不条理なパラドックスから抜け出す事が如何に困難か、いささかニュース報道とメディアアプローチからストレスを感じます。

こんなとき、小津安二郎監督の名言を私は素朴な参考としています。

どうでもよいことは流行に従い、
重大なことは道徳に従い、
芸術のことは自分に従う

【インフォメーション】
下関名画座 次回上映作品ご案内

■上映日程 
第16回 2023年9月17日(日) 
「第三の男」(1949/イギリス/105分) ※吹替版上映
原作:グレアム・グリーン   
監督:キャロル・リード
出演:ジョゼフ・コットン 
   オーソン・ウェルズ 
   アリダ・ヴァリ
音楽:アントン・カラス    
内容
第二次世界大戦直後、米英仏ソの四か国による分割統治下にあったウィーンに親友のハリー・ライムを訪ねてきたアメリカ人作家のホリー。だが、ハリーの家に着くと守衛からハリーが交通事故で死亡したと告げられる。腑に落ちないホリーはウィーン中の関係者にあたり、真相究明に奔走する・・・    
■タイムスケジュール
1日4回上映実施いたします。 
①10:30  ②13:30  ③16:30  ④19:30
それぞれ上映後は5分程度の作品解説あり。        
■チケット 
前売り1,100円 当日1,300円
※映画チケット購入者には当日有効の駐車場3時間無料
※シーモール1Fインフォメーションカウンターで販売中
■問合せ 山中プロダクション(09082474407)







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