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短歌連首「月桃」
ちむぐくる 梅雨明け待たず散る花よ
紡ぐいのちにあの夏は燃ゆ
慰霊の日 六月二十三日が
今年も来たるふるさとの夏
極東のハブと呼ばれたこの島に
有刺鉄線、夏、ゲート前
見渡せばどこも誰かの土地だった
どこも誰かの暮らしがあった
台風は毎年のように来るけれど
あなたは二度と帰ってこない
辻褄を合わせるように雨が降る
誰にも見せない涙もあって
軽率ないのちの値踏み死にたさに
同調はせず 我れは島人(しまんちゅ)
頬撫でる風はあの夏から来たる
永遠に響けよ、ふるさとの歌
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