人間拡張技術によって影響を受けるユーザー属性とプロダクト事例
人間拡張に纏わる事業やプロダクト開発を試みる方にとって『どのような方向けに作れば良いのか?』という悩みが企画の初期段階で訪れます。
「人間拡張の概念は分かったものの、プロダクトが使われるシーンやユーザーのイメージが沸きづらい」というのは多くの企業様から聴くお悩みです。
そこで今回は、”エンドユーザー起点”で、どのような人間拡張プロダクトが開発されているかを事例と合わせてご紹介します。「誰の」「どんな課題」を充足しているのか?といった視点から見て頂くと、プロダクトのアイデアを生み出すヒントになるかもしれません。
身体拡張技術によって影響を受ける人々
①高齢者や障がいのある方
マジョリティ(≒健常者)の当たり前が通用せず、そのことが課題になっている方々へ、身体機能や心理的な疎外感を補助する役割として、人間拡張技術は大きな可能性を秘めています。UX体験が重視される昨今、機能的な側面だけでなく、心理的に充足されていない部分へアプローチするプロダクトも増えています。
【事例】音を身体で感じるユーザーインターフェース[富士通㈱]
聴覚機能をテクノロジーで代替し、健常者と同じような体験ができるプロダクト。聴覚障がいのある方や、聞こえが悪くなった高齢者にも使えます。
【事例】スーパーヒーローになれる義手[OpenBionics]
②重労働者
危険な場所での作業や体への負荷が高い作業、人間の身体的な制約でこれまで出来なかった作業も人間拡張技術の進化によって実現できつつあります。ロボットやAIで完全に代替したり自動化できない領域(人とテクノロジーの融合が必要な領域)において、需要が広がっています。
【事例】”着る筋肉” を実現するパワードスーツ[㈱イノフェス]
【事例】災害救助で使用するARグラス[Longan Vision]
煙が立ちこもり視界が見えづらい火災現場などの環境下でも、サーモグラフィや光学技術といった先端技術を組み合わせて物体や人を可視化させるARグラスです。
③スポーツ選手やアスリート
【事例】身体の動作をテクノロジーで体感し、パフォーマンス向上を目指すプログラム[MOVETEX㈱]
サイバーダイン社が開発する装着型サイボーグと分析装置を使い、従来できなかった『感覚を鍛える』トレーニングで、アスリートのパフォーマンス向上を実現するサービスです。
認知拡張技術によって影響を受ける人々
①ビジネスマン
労働人口の減少やビジネス環境が変化するスピードの速さも相まって、新たな知識をキャッチアップしたり、素早く業務を処理する能力は、これまで以上に求められることになるでしょう。
生産性向上を狙いに、情報の吸収・処理のプロセスを補助する技術の1つとして人間拡張が着目されています。
【事例】自分がその場にいながらバーチャル空間と融合した世界が体験できるデバイス[Microsoft]
【事例】鼻より優れた嗅覚を備えたウェットウェアチップ[Koniku]
②学生や教育者
個々の状況に合わせた教育サービスを提供し、学習パフォーマンスを上げるニーズも高まっています。子供だけでなく、リスキリングを行う大人達もその対象となります。
【事例】相手の感情を読み取りコミュニケーションを促進する感情解析AI[Affectiva]
教材に対する反応を感情解析AIで分析し、生徒の学習のつまづきや集中力の途切れをリアルタイムで把握できるデバイスです。インタラクティブな教育が可能となります。
③認知やメンタルを患う方
認知症をはじめ、認知機能や物事の解釈に歪みが生じ、生活に支障を来している方も一定数いらっしゃいます。ご本人だけでなく、医療従事者にとっても、その方の疑似体験をし、医療サービスの質を向上する際の一助として、人間拡張技術のユースケースが模索されています。
【事例】自身と他者の身体を入れ替える共感型VR[BeAnotherLab]
身体性仮想現実システム(EVR)と神経科学の知見を活用して認知的な錯覚を生じさせ、他人の目や身体を通じて世界を体験することができます。
医療分野だけでなく、相互理解や思いやりを促進する技術としてチームビルディングの文脈でも活用できるでしょう。
おわりに
我々は、人とテクノロジーの融合というアプローチをとり、
というビジョンに向かって事業を展開しています。
人間拡張技術に興味を持つ人が増え、それに纏わるプロダクトが増えれば、これほど嬉しいことはありません。
人間拡張専門メディア『HumanAugmentationLabo』では、ホワイトペーパー等の発行を通じて、人間拡張のプロダクト開発をする上で、企画のヒントになるような情報を提供していますので、人間拡張についてより深く知りたい方は、ぜひご活用ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?