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ウクライナ情勢に不安を抱える若い世代。核戦争への恐怖など、気持ちを整理するには?

 ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領が核兵器を使う可能性をちらつかせています。核戦争が起きるのではないかと、不安を感じていませんか。核超大国の米国と旧ソ連がにらみ合った冷戦後の若い世代には、「核兵器が使われるかもしれないと初めて本気で不安になった」と受け止める人もいるようです。(宮野史康)

プーチン核兵器使用示唆、、、
やりかねないよね。
本当に怖い、、
(東京都の主婦・34歳)

ええーーーー。
本当に使うのかな??
まさか無いでしょ、って思ってたのに侵攻したからもう分からん、、、
(東京都の会社員女性・34歳)

 学生のころから知る友人からこんなメッセージが届いた。確かに広島の友人も最近、元気がない。聞けば不安から寝不足という。

 安全保障を核兵器に依存する世界は「何かあれば核兵器を使うぞ」と脅し合う世界にほかならない。必然的に恐怖の上に成り立っている。当たり前に思っていた暮らしが、危うさにさらされている。そんな感覚が広がっているのかもしれないと取材を進めると、他にも「怖い」と感じている人たちがいた。

 東広島市の団体職員、川崎梨乃さん(30)は、1歳の長男の将来を思うと胸騒ぎがするという。仕事先でも家庭でも、ウクライナ情勢が頭を離れない。広島の被爆者の祖父の思いを継ぎ、核兵器廃絶のために取り組んできたが「核兵器が使われたら、ヒロシマの思いが踏みにじられる」と無力感に包まれるそうだ。

 「核戦争が急に現実味を帯びてきた」と話すのは、東京都の会社員男性(33)。核攻撃を受けたときの対処法をインターネットで検索したと教えてくれた。広島市の会社員女性(28)も、欧州にいる友人が心配で夜遅くまで頭がさえる。スマートフォンでニュースを追ってしまうという。

 プーチン大統領は2月24日の演説で「ロシアは世界で最も強力な核保有国の一つだ」と強調した。28日には、核兵器運用部隊を戦闘警戒態勢にしたとしている。国連のグテレス事務総長は3月14日、「かつては考えられなかった核戦争が、今では起こり得る」と懸念を表明した。

 ウクライナの緊迫した情勢が日々伝えられる中、平和活動に取り組むNPO法人のANT―Hiroshima(広島市中区)にも、核戦争の恐怖を訴える電話がかかってくるようになった。これまでに広島県内外の男女6人に対応。核兵器の被害を解説する本を送ったり、反戦を訴える催しへの参加を提案したりしたという。

 渡部朋子理事長(68)は「核兵器は使われないと思い込んでいた人が、自分ごとと捉え始めているよう。冷戦時代を知らない世代にとっては初めての経験かもしれない」と話す。

 非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長は1日、自身のインスタグラムを更新し、「不安を感じるのはごく自然なこと」と発信した。

 ICANが核戦争を防ぐために取り組んでいると強調。破滅的な想像にばかりとらわれないよう呼び掛け、パニックを防ぐ心の保ち方を紹介している。

 フィン事務局長が示すポイントは、次の4つだ。

 

  ウクライナの情勢が人々の不安を呼び起こす一方、米国との核兵器共有の議論を求める安倍晋三元首相(山口4区)の発言が注目を集め、日本の核武装を求める声がネット上などで上がっている。

 渡部理事長の危機感は高まる。「核兵器による威嚇が私たちにどんな恐怖をもたらしているか。今こそ直視してほしい。核兵器の使用を防ぐ手だては廃絶しかありません」。被爆地から核廃絶を訴え続ける重要性を説いている。