戦争孤児だった祖母の話
私が幼かった頃、祖母の家の食器棚に、卵の形をした桃色の文鎮がありました。私はその文鎮が何故か気に入り、よく光を透かして遊んでいました。そんな私の様子を見兼ねたのか、ある日、祖母が言いました。
「これは、空襲で焼け崩れた家に残っていたものなんだよ。もしばあちゃんが死んだら、あげるからね。それまではばあちゃんが持ってるね。」
私はその時、「空襲」が何なのかよく分かりませんでした。しかしよくよく見ると、確かにその文鎮には黒く焦げたような跡があったのです。
それから月日は流れ、去年