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雨を好きになる方法(男性限定)

 出発前の雨と一週間の天気予報を確認した私は思った。

 ☆不安すぎる☆

 夏真っ盛りの八月において、雨など降ってはいけないのだ。手元のデータ(妄想)によると、五日連続雨が降ることは観測史上初の出来事らしい。

 間違いない。私は雨に、幼なじみの葉月雨ちゃんに好意を寄せられている。

 二十年に渡る人間生活を思い返してみたが、雨ちゃんの重すぎる愛を受け続けていたのは明らかだった。なんたる失態。気づいてあげられない自分のバカバカ!

 七五三はすべての日で雨が降っていたし、「三」に至っては11月だというのに大雪というホワイトチョコレートまで貰ったくらいだ。靴、バイク、自転車、洋服など、絶対に雨に降られたくない初日には必ず雨が降った。私が何か用事があると外に出るときは、それまでの晴れ模様が嘘のように黒雲が立ちこめ、冷たい水滴が顔周りを不快にした。

 間違いない。雨は私のことが好きだ。そうに決まってる!

 そこでヒロインとしての雨の設定を考えてみた。

 名前は「葉月雨」。身長は160㎝くらい。幼なじみ。元々はポニーテールだったが、なぜかバッサリとショートカットにしてしまう。「なんで切ったの?」と聞くと、「関係ないでしょ!」と言われてしまう。私は、私の好みの髪型に合わせて切ったことを友達から聞いているので、わざと聞くことで素直で無い雨をからかっている。本当は

 ・・・

 最高。天気を擬人化しただけで、ここまで雨をプラスに捉えられるとは。

 と、とにかく私はこの葉月雨ちゃんに好かれている。だけど、皆さんもご存じの通り、私は晴れが好きなのだ。晴れが良い。晴れ以外考えられない。毎日晴れのことばかり考えてしまう。晴れ先輩のことが好きだと伝えたいけれど、晴れ先輩は真剣に取り合ってくれない。挙げ句の果てには「雨ちゃんと付き合いなよ」といじってくる。私にとってその言葉は聞きたくないものだ。

 ・・・

 悪く、、、ないなぁ。むしろ最高のシチュエーションだなぁ。

 雨ちゃんに好かれていて、私は晴れ先輩のことが好き。

 私と雨と晴れ先輩の三角関係に目が離せない!!!
 と、無理矢理自分を納得させ、雨の中でのツーリングを受け入れることにした。雨最高!

追記:晴れ先輩はロングヘアで、チアリーディング部所属です。

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