【北海道ツーリング】岩手って何があるの?(嘲笑)
素直に大洗からフェリー使えば良かった。そんな私、風と共に走り去りぬ、北海度ツーリング一日目、こんなことが起こった。
・楽しみにしていたのに、初日から雨に打たれる
・岩手県が南北に長すぎて、とんでもないメモを残す
・迂回路で迂回できず、更に迂回させらる
・せっかく風呂に入ったのにびちょびちょになる
そんな今日の出来事を今から詳しくお伝えいたします。
出発の一日前、バイトに行く用意をしていた私のもとへ、一本の電話があった。
「もしもし、フェリー会社の○○と申します。実は降雨の影響で、通常使用されます道路が通行止めになっておりまして、現在迂回路をご案内しております。ホームページの方で確認ができますので、事前にチェックをお願いします」(『電話録』津軽海峡フェリーのお兄さん)
私は「はあ」と答えることしかできなかった。ホームページを見てみたけれど、土地勘が無いからどこをどのくらい走るのかがいまいち分からない。
ま、数時間余裕もって出発するし平気でしょ!
と楽観した結果、私は痛い目をみることになる。
・出発
あー、疲れた。そんな風に思っても、まだ那須高原だった。出発して数時間、度重なる雨と眠気に襲われた私は、一日で東北道を縦断することの重大さを早くも感じ始めていた。
まず、雨がつらい。自宅から装備していた雨合羽はすでにその機能を失っており、内側に着たダウンジャケットがなすの煮浸しみたいになっていた。
次に、遠い。私が利用した川口JCTから七戸ICまでの距離は約900キロ。南だったら鹿児島くらいまで行けてしまう距離をぐねぐねとだらだらと走り続けなければならない。
そんなギリギリの精神状態で岩手県を迎えるとどうなるか。
私は次のようなメモ書きをスマホに残していた。
岩手はクソ。南北に長いだけで、ほかには何も無い。岩手なんて無くして、青森につながっていればいい。(『去りぬのメモ』P.12)
岩手の方ごめんなさい。これは私じゃ無いんです。私という肉体が勝手に運転をしていて、肝心の精神の方は、どこか暖かい場所に行っていたから本心ではありません。それにしてもホント何も無い。景色が単調。眠くなる。クソ田舎――
あぶない。あぶない。メモ以上の残虐な言葉を口走りそうになった。
・津軽海峡フェリーに乗る
と、とにかく事故とは無縁で大間フェリーターミナルにたどり着くことができた。出港は14時10分。到着は13時45分だった。
十分前行動ができて偉いね-。
などという褒め言葉で私が成仏すると思うなよ。
本来なら、12時ないし11時30分には着く予定だった。
では、なぜ、遅れた、のか?
それは、雨によって起こった土砂災害に原因がある。
お兄さん「もしもし、フェリー会社の○○と申します」
私「はい」
お兄さん「今どこにいらっしゃいますか?」
私「えーっと、むつ、ってとこです」
お兄さん「そうですか、実は、迂回路としてご案内していた道が通行止めになりまして、また新しい迂回路をお伝えしているのですが、どうされますか。今日は辞めて、明日の便に変更などもできますが」
(『許さない』迂回の迂回をさせられた男の証言P.231)
実はこれ、二度目の電話である。出発前に迂回路の案内をされているから、その迂回路の迂回を案内されている。しかも、プラス2時間はかかると言うでは無いか。ふざけんな! とうとう堪忍袋の緒が切れた私はこう答えた。
「今日のままで、オッケーです」
この瞬間、私のお尻はボロボロと音を立てて崩壊した。長時間の高速走行。降雨による集中力の低下。様々な要因がある中で、私は迂回路の迂回路である峠道を越えなければならないらしい。通常一時間でいけるところを三時間である。全く馬鹿げている。だけど、行くしかないのだ。悔しい。
迂回の迂回である謎の峠道を走りきると、ようやくフェリーが見えてきた。やった。「や」と「た」の間で服を着替えられそうなくらい間を開けて、喜びを表現した後、私はフェリーに乗り込んだ。
今思うと乗組員の方々に明らかに笑われていた。大雨、迂回の迂回。そんな悪条件の中、フェリーに乗る狂った旅人は私しかいなかった。
フェリーのバイク置き場には、私のSRだけが、ガチガチの亀甲縛りをされて喜んでいた。
きたーぜはーこだてー♪と歌いながら函館に上陸したとき、私の心には、「え?北海道行きたいとは言ってたけど、ホントに行くとは思ってなかったわ」と若干の困惑が生まれていたことをここに記しておく。
・函館に到着
私はすぐに健康ランドに向かった。「湯の箱こみち」である。入浴料600円で、広い脱衣スペースと清潔な浴場、ドライサウナが備わっており、北海道にある健康ランドとしてふさわしい佇まいをしていた。
外気浴をしている時にうすうす感じていたが、函館市内は雨だった。せっかくぽかぽかになったのに、と私はぐっしょりと濡れたカッパを羽織り、ラッキーピエロ峠下総本店といういかれたハンバーガーショップに向かった。
チャイニーズチキンバーガーはおいしかった。350円なのに、iPhone11と同じくらいの高さがあってボリューム満点だ。サイドのミートソースとチーズがかかった高カロリーポテトを食べると、本物ウーロン茶という主張の強い飲み物が余計おいしく感じられた。
宿泊先は上磯ダム公園キャンプ場。これが素晴らしかった。到着したときはすでに8時を回っていて、何も見えなかった。だが、翌朝、晴れたとき、ダムがそばにあることが分かった。なんて素晴らしい景色!
コーヒーを飲みながらぼんやりしていると、おじさんが私に話しかけてきた。旅慣れていそうな信頼感のある方である。
「これからどこに行くんですか?」
「えー、神威岬ってとこです」
「なるほど。いいですね。私はこれから帰るんです」
「え! どこに帰っちゃうんですか?」
「奈良なんですけどね」
「えええ!!!(大げさに驚く私)」
「ゆっくり帰りますよ。暇なんで」
「へへへへ」
(『激録!北海道ツーリング』より引用)
なんて楽な会話なんだろう。驚くくらい心の消費が無くて、残るのはぬるい連帯感だった。これが旅先での会話ってやつか。住み着いていたねこに癒やされながら、私は二日目の北海道に立ち向かう。
追記:引用元の書籍は全て実在します。
動画版もございますので是非ご覧ください。コメントして頂けると私の承認欲求が満たされますので頼むよ。お願い〜♡
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