(読書)千度呼べば
新川和江
(内容紹介)
抒情詩の可能性をひたむきに追い求め、
豊かに紡ぎ続けて70年になんなんとする詩業の、
全作品中から選びぬかれ、
劇的に配列された41篇の恋の情景。
かなわぬ恋、
破れた恋の切なさ哀しさ、
こんなにも苦しくて、
こんなにも甘やかな「あのひと」への思いを
鮮烈に歌いあげる。
日本語という美(うるわ)しき
言霊(ことだま)の
幸(さきわ)いを、
この一冊に込めて。
☆☆☆
彼女の名前は
教科書で見た覚えがあるのだけれど
彼女の詩は覚えていなかった。
ある時 ある人に
彼女の詩を教えてもらって
しん、と心にしみて
ずっとそのまま時間が経った頃
また彼女の名前を目にして
しん、とした心が波立って
もっと彼女の詩に触れたくなって
詩集を購入した。
つぶやきのような 囁きのような
哀しみのような 薄笑いのような
激情のような 凪のような
懐かしさのような
新しさのような
さわってはいけないような
踏み込んでくるような
抱きしめられたような
突き放されたような
。。。
色々な心持ちにさせられる。
中でも好きなのが「ふゆのさくら」
☆☆☆
ふゆのさくら 新川和江
おとことおんなが
われなべにとじぶたしきにむすばれて
つぎのひからはやぬかみそくさく
なっていくのはいやなのです
あなたがしゅろうのかねであるなら
わたくしはそのひびきでありたい
あなたがうたのひとふしであるなら
わたくしはそのついくでありたい
あなたがいっこのれもんであるなら
わたくしはかがみのなかのれもん
そのようにあなたとしずかにむかいあいたい
たましいのせかいでは
わたくしもあなたもえいえんのわらべで
そうしたおままごともゆるされてあるでしょう
しめったふとんのにおいのする
まぶたのようにおもたくひさしのたれさがる
ひとつやねのしたにすめないからといって
なにをかなしむひつようがありましょう
ごらんなさいだいりびなのように
わたくしたちがならんですわったござのうえ
そこだけあかるくくれなずんで
たえまなくさくらのはなびらがちりかかる
上の写真ははりねずみ🦔のレイトン♡
5ヶ月頃。お風呂上がりでくるまれている。
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