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大人になるのも、悪くない。そう思わせてくれる人たちがいる。〜クォーターライフ・クライシス〜


寝ころびながらボーッと見ていた、
化粧品会社のインスタライブ。

よせられるエイジングの悩みコメントに、
ひとつひとつ丁寧にこたえていた
メガネの女性が、つぶやいた。

「でも、大人ってけっこう楽しいよ」

押しつけるわけでもなく
ポロッととこぼれただけの言葉は、
それがまぎれもなく、彼女の
本心であることを意味していた。


いいな。
思わず涙がこぼれた。

大人を、心から楽しんで生きる人たちの存在は
暗闇を照らすあたたかい光だ。


私がそう思うようになったのは、2つの出逢いがあったから。

子どものままではいられない焦り




カタチだけの成人を終えて、
長かった大学生活にも終わりが見えはじめた、
冬の頃。

なんか、ヤバい。
未熟な自分に、焦りがつのる。

まわりはみんな、立派な大人になるための階段を
着実に登っていってるのに。
私だけ、自立したカッコいい大人には
なることもなく、止まったまんま。



そんなとき、たまたまやっていたテレビドラマに、心をガッツリ掴まれた。
小泉今日子・中井貴一主演。

「最後から二番目の恋」との出会い。




三十、四十、五十代の大人たちが、
一生懸命走って焦って、スッ転ぶ。
傷ができたら、見せあって笑いあって。
そしてまた「どっこらしょ」って立ち上がり、
バタバタ走りだすような物語が、なんだかとても心地よかった。

ハタから見れば、仕事に恋愛に子育てに、
経験も実績も時間も、キレイに
積み重ねてきたような人たちなのに。
転べば痛いし、情けなくて、涙もでる。

「大人も結構、ジタバタするんだ。」
カッコよくなくたって、
出来ないことがあったって、いい。

そう思ったら、肩のちからがスッと抜けて
楽になった。



若さを失うことへの焦り


だけど。
時間は、あっという間に流れてく。
気付けば大学を卒業して、十年の月日が経っていた。

周りはというと、転職、起業、出産に子育て。
SNSをひらいてみれば、
別世界の出来事みたいな
キラキラした笑顔があふれてる。

スマホを閉じたこっち側では、
税金だとか介護だとか、お肌の問題、
以前の服が似合わなくなる問題。
大人の面倒くさーい部分てんこ盛りで
もう、イヤになってくる


十年前とはちがう焦りが、
積み重なって、どんどん心はしぼんでいく。

あーこんなことなら
大人になんてなりたくなかった!



とりあえず、外側だけでもアップデートしようと、
美容情報を漁っていたのが、
次の巡りあわせのキッカケだった。

WHOMEEフーミー」との出会い。



それは、情熱大陸やプロフェッショナルにも出演する
ヘアメイクアップ アーティスト、
イガリシノブのコスメブランド。

WHOMEEは、インスタグラムで
定期的に、動画をあげたり
生配信を行っている。

イガリさんだけではなくて、
アシスタントさんや、PRの人たちも
一緒になって、商品の魅力や開発秘話、
メイクツールの使いかたを、基礎から裏技まで
わかりやすく、教えてくれる。


なかでも私が楽しみにしているのは、
所々にはさまれる、人柄をフルに感じる雑談。
「また言ってる~!」と、毎回爆笑しながら
あたたかい気持ちをもらっているファンは、
私だけではないはずだ。

どのスタッフさんも大好きだけど、
注目は、凄腕の企画開発者であり
PR担当でもある、庄司麻美さん。
(2023年2月現在では移動されたそうです)

庄司さんの配信には、
たくさんの悩みコメントがよせられるけど
豊富な知識や技術を使って
次々と、的確なアドバイスを返してくれる。

冒頭で、私が見ていたのも
庄司さんがでていたインスタライブ。

クマ、シミ、たるみ。
たまたま年齢に対する
不安の声が殺到していた時、
「大人も楽しいよ」と言いながら
自分の失敗や経験を、面白おかしく
ネタにして話してくれた。


クォーターライフ・クライシス



イガリさんや庄司さんは、私にとって
オトナの先輩だ。

加齢とか老化とか、若さだけが正義で、
歳を重ねるのは絶望だとでもいうような
そんなことばが社会には溢れているけど。

そんななかで、
大人を楽しんで生きてる先輩たちの存在は、
暗闇のなかの灯台のような、
このうえない、希望になる。

それを知ったキッカケが、
私の場合は彼女たちだったけど。

あらためてもう一度、社会を見渡してみたら
大人を楽しそうに生きるオトナたちって、
意外とたくさんいるんだなって、気が付いた。



アラサーといわれる年齢の頃に
人生に思い悩んだり、
周りと比べて焦ったりすることを
クォーターライフ・クライシスと呼ぶらしい。
厄年の概念にも似ている。

もっと成長していくために。

もっともっと、人として
大きな花を咲かせるために。

そのためには、もしかしたら
苦しむ時期も必要なのかもしれない。



若さが一番だなんて言われたりするけど、
守られる側にいるのはラクな気もするけど、
責任はすくない分、あのころは
自分の力でみえる世界が、とても小さかったと思う。

年を重ねると相対的に、
関わってきた人の数が、増えていく。
いろんな事情や立場の人々を知ることで、
持てる視点が増えていく。

子どもの頃には分からなかった
保護者や先生、近所の人、同級生の家族、
店員さん、怒る人、酔っ払いとか。

沢山の人間の視点を知ると、
物事には、沢山の捉え方があるってわかる。

小さな世界に捉われずに、
居心地のいい世界を、自分の足で
探しに行くことだってできる。

経験を積めば、
トラブルに対処する力もついてくる。
何度も失敗してみることで、
次はなにに気を付ければいいのか、
どんな時に失敗するのか、
自分のなかで統計がとれる。


歩いていたら、車に水をはねられたり。
知らない不機嫌オッサンに当たられたり。

例えばそういう、不意打ちでくる
避けて通れないアンラッキーも、
自分で自分の機嫌をとって、
ストレスを最小限に抑える
対処ができるようになっていく。

美味しいものを食べる、お酒をのむ、
カラオケ、ランニング、エンタメ鑑賞。
人によっては、
おもいっきりネタにしたり、
怒りや悲しみをアートに昇華させてみたり、
デスノートを書いてみたり(笑)

自分にあった機嫌のとり方を、
いろいろ試して探してみるのも、
オトナならではの楽しみだ。


消えないシワや
治りづらくなってきた傷あとだって
もしかしたら、勲章かもしれない。
眉間にシワができるぐらい、集中して頑張ったよね。
この傷も、一生懸命走ってきた証だよね。




ちいさい頃は、十年、二十年経てば勝手に
立派な大人になってるもんだと思ってた。

だけど大人なんてものは、きっと
突然なれるワケじゃない。

あの頃から地続きで、ずーっとつながってきて
いまこの年齢の、ワタシがいる。

子どものころに思い描いていたような
大人の姿とは程遠くても。

こんな自分も、悪くない。
そう思える瞬間が、たくさんあるよ。


先輩たちみたいな、
大人を楽しむオトナになるには、
まだまだ修行が足りないかもしれないけど。
今日からまた続いていく、
十年後、二十年後の自分に、
大いに期待しちゃおうかな。


#熟成下書き

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