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日中の結婚・育児観〜中国には出産してもバリバリ働きたい女性が多い!〜


世間を騒がせている福原愛選手の騒動ですが、中国・台湾・日本の繋がりが深い話題ですので本noteでも触れたいと思います。

といっても、騒動そのものに対してではなくそれぞれの国の価値観や風土、文化の違いに着目します。



正反対の反応

まず一つ目に気になったのが、日本と中国のネット上での反応の違いです。

よく知られているように、福原選手は中国で大変人気があります。卓球といえば中国と連想されるように、中国人にとってはかなり身近なスポーツですが、そんな中で日本人である福原選手の人気は中国人選手をも上回る勢いがあります。

2005年(当時17歳)、福原選手は中国のスーパーリーグへの挑戦を決断します。過酷な練習に加え、異国の地で中国人選手らと寝食を共にしながら実力をつけ活躍しました。

やがて中国語もマスターし、チームに溶けこんでいる様子が知られると、徐々に中国の人々から認められていきました。その頃から、中国では”妹的な存在”として認識されていったようです。

多くの日本人もTVなどで福原選手の幼少期を目にしたことがあり、親近感や妹的なイメージを持っている人も少なくありません。中国でも同様の理由で支持を集めていることに加え、福原選手が中国人にとっては大切なスポーツである卓球の選手であることも理由のひとつだと考えられます。

今回の騒動が話題になった時、日本では驚きの声と共に落胆の声が多いようでした。福原選手のこれまでの経歴と今回のことは別物で、悪いものは悪いと考えている人が多いようです。

一方で中国では、怒りの矛先は夫である江氏に向けられていて、福原選手を励ますような声が多く見受けられるのが印象的です。

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こちらは福原選手のウェイボーのアカウントですが、最新の投稿に対して23万いいねがついていたり、フォロー数も500万人を突破していたりと人気が伺えます。

さらにコメントを翻訳してみると、

「苦しんでほしくない」「あなたはファンに愛されている」

などと書き込まれており、福原選手を心配している声が多いことがわかります。


連日の報道を見て、中国でこれだけ愛されていることに驚いた日本人も少なくないと思います。中国人にとって”卓球の愛ちゃん”は、日本人が想像している以上に、中国に根付いているようです。




育児に対する考え方

次に、それぞれの国の育児に関する考え方を見てみましょう。

日本で福原選手のことが話題になった際「幼い子どもを台湾に残している」という点に嫌悪感を抱いたという声も多く聞かれました。

日本は明治時代の「家制度」が無くなったとはいえ、夫の家に嫁ぐという感覚はまだ抜けきれていません。例えば、現行の法律では婚姻の際女性か男性どちらかの姓に統一しなければなりません。しかし、選択の自由があるにも関わらず、結果的に96%の人が男性側の姓を選択しています。

子育てに関しても、「ワンオペ育児」という言葉があるように、母親が中心となって育児するケースが多く見られます。もちろん、夫や家族の力も借りますが、子供のことが一番わかるのは母親であるという感覚は根強いものがあります。

一方で中国では、家族で育児をするという感覚が強いようです。

こちらの記事によると、共働き世帯の68.5%が祖父母やシッターと共同で育児を行っているといいます。子どもの日常的な世話(着替えや食事など)はもちろんのこと、しつけや勉強などの教育的な世話にも関与しているようです。

中には、祖父母と母親・父親との考え方の違いによる衝突も問題になっているようです。しかし、祖父母と共同で育児をするということは、働く母親にとってはありがたく、生活への満足度が高いという結果もあるようです。

また、日本とは違い、保育施設が整備されておらず、託児への不安から祖父母に預けた方が安心という考えもあります。


台湾も同様の文化を持っています。

台湾の共働き夫婦の育児には積極的に祖父母が関わり、家族全員で育児をするのが当たり前のようです。

もちろん、台湾でも核家族化が進んでいるので、祖父母と同居していない家庭も多く存在します。結果的に夫婦や母親中心で育児するケースでも、意識としては日本よりも家族で育児するという感覚が強いのかもしれません。



ママの考え方

最後に、日本と中国の育児に対する女性の考え方について見ていきます。

面白い調査がありました。


『中国人ママの育児に関する意識調査2016』という調査です。0〜2歳の子どもを持つ中国人の既婚女性を対象に、育児に対しての考え方や価値観を聞いているものです。(参考として、2014年と2015年に日本の既婚女性に向けて行った意識調査のデータと比較しています)

その中から興味深いものをいくつかご紹介します。

まずは、子どもの教育面について

できるだけ完璧に育児をしたい」と回答した中国人ママは90%なのに対して、日本人ママは32.5%と58ポイントの差がありました。さらに、「育児雑誌やサイトを子育ての参考にすることが多い」、「自分の子どもの発育や能力が他の子どもに負けていないか気になる」、「子どもの教育にはできる限りお金をかけたい」と回答している中国人ママはいずれも80%を超えているのに対して、日本人ママはいずれも50%以下という結果です。

中国には、勉強や学問に対して高い意識を持っている人が多くいます。教育熱心なムードはさらに過熱しているようで、競争力や勝ち抜く力を養うべく幼児の頃から教育に力を入れる人も少なくありません。

日本人の母親に比べ、中国人の母親は子どもの教育に熱心な人が多いようです。



次に、母親である自分自身についての考え方です。

特に顕著に違いが出ているのは、「女性は子どもが産まれてもずっと仕事を持ち続けるのが良い」という質問です。日本人ママの回答率が47.3%なのに対し、中国人ママは85%がYESと回答しています。

さらに、「高い業績をあげて社会的地位や金銭的成功を獲得したい」という質問に対しても、72.8%の中国人ママがYESと回答しているのに対し、日本人ママは25.9%と、その差は約70ポイントです。

教育熱心な環境で育ってきた中国人ママは、当然自身も勉強に力を入れて取り組んできています。男女問わず、自分の力で培ってきたもので勝負したいと考えている人が多く、女性の場合出産や育児という節目を経たとしても、さらなるキャリアアップに強い関心と高い意識を持っている人が多いのではないでしょうか。




今回は、中国の深い卓球文化と日中の結婚や子育てに関する話題をご紹介しました。特に、出産や育児の場面においては、生活や考え方の違いが顕著に現れます。読者の皆様も特に興味深いテーマかもしれません。

さらにこんなことが知りたいなどというご要望がありましたら、お気軽にコメントいただければと思います!

最後まで読んでいただきありがとうございました!


















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