古典鑑賞 (一) 呉昌碩 臨石鼓文
月刊書道誌 太源 2023.05月号掲載
2023年4月号より、随意部の参考古典が一新されました。これを機に、改めて課題の古典を鑑賞し、どのような美がある作品なのかを感じ取りましょう。しっかりと鑑賞した後に臨書することで、学び取れる表現にも深みが出て来ると思います。
篆書の基本は、太さが一定の線を水平・垂直に。線と線は等間隔に…等といったものがあります。もちろんこれは大切なことですが、これに捉われ過ぎると、機械的で生命力を感じない作品になりがちです。しかし、本作からは非常に伸び伸びとした躍動感を感じます。それはいったいどこから来るのでしょうか。
つぶさに見てみますと、線には自然な程度の太細、線と線の微妙な接触、滲み、かすれ、等が感じられます。 もちろん、これは私の感想であり、絶対的なものではありません。皆さんも自分なりに古典作品を鑑賞し、その魅力を味わいましょう。
作者 呉昌碩 (1844~1927年) 清朝末期から近代にかけて活躍した。詩・書・ 画・篆刻全てに精通し、「四絶」と称され、清 代最後の文人ともいわれる。
※更にもう一段階
元の石鼓文と比較してみて、呉昌碩が臨書を どのように捉え、自分の作品に昇華させていっ たかも鑑賞してみましょう。
参考文献
・二玄社 中国法書選60 呉昌碩集
・二玄社 中国法書選2 石鼓文・泰山刻石