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自由帳7頁目「無知を知る」

身の程を知ること、
自分の至らなさを認識することは
とても大切だと思う。
そしてとても月並みな物言いだが
人間、死ぬまで勉強だと思う。

クイズ番組というものが
嫌いじゃない。
好きと言うほど夢中でもない。
ちょうどやっている時に
テレビをつけてたら観る程度。

観ながら無言で答えを考える。
テレビの向こうの出演者より
早く分かると、
かみさんに聴こえるギリギリの声で
ボソッとつぶやく。
正解だった時の賞賛の声が欲しくて。
不正解だった時の惨めさったらないが。

趣味というほどの蓄積も無いが、
そんな経験の中で
自分はわりと知識は有ると
勝手に思い込んでいた。
常識クイズ的な問題で
頭を抱える人たちのことは、
芝居が上手いか
よほど物を知らないかどっちかだと
決めつけていた。

先日、かみさんからふいに
「巌流島って何県にあるの?」
と質問された。

答えられなかった。
理由は知らないから。
巌流島で何があったかも、
どういう字で書くかも
知っているのに
現在の何県にあるか、
その知識が欠落していた。

多分その時は思案した挙句
「…岡山県、だったかなあ…」
と答えた気がする。
しかも理由が
「姫路とかある辺りに
巌流島もあった気がする」
だったような。
それすら間違っている。
姫路なら兵庫県だ。

巌流島は今の何県にあるか。

正に剣豪の一刀の如く
出会い頭に両断された。
鮮やか過ぎて悔しさもない。

何で巌流島の所在地を
自分の頭にインプットせず
ここまで生きてきたんだろう。
多分、誰にも果たし合いを
挑まれてこなかったからだと思う。
そういう意味では
幸せだったのかもしれない。

さておき、改めて気付く
自らの無知。
しかも誰もが知ってそうなことを
知らないまま生きてきた。
スターウォーズを知らない。
バックトゥザフューチャーは
最近初めて金曜ロードショーで観た。
今からパート3が楽しみで仕方ない。
名探偵コナンも知らない。
美女と野獣もアラジンも知らない。
そういや落語家になった時、
寿限無を知らなかった。
今は知っている。
あ、でもコロナのせいで
忘れてるかもしれない。

一歳二か月になる
うちの娘のことを、
日々新たな発見があって
楽しいだろうな、と
羨ましく思っていたが
とんでもない。
自分だってまだまだ
知らないことだらけ。
ということはつまり、
40過ぎのおっさんなのに
スターウォーズにワクワクする
可能性がまだ残されている。

そう思うと、
自らの無知を知るのは
とても有意義なことだと分かる。
久しぶりに人生に対して
前向きな気持ちになれた。
巌流島の所在地に
興味を持たなかった自分を
褒めてやりたい。

ここまで
「そういや巌流島どこにあるんだ?」
と思いながら読んで下さった方、
私と同じ理屈で
人生に前向きになって頂きたい。

ちなみに何があったか知らない人は
さすがに居ないと思う。
アントニオ猪木vsマサ齋藤の
時間無制限ノールールデスマッチが
行われた場所。
常識である。



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