三遊亭朝橘(落語家)

静岡県沼津市出身初の落語家/2004年11月三遊亭圓橘に入門/五代目円楽一門会所属、真…

三遊亭朝橘(落語家)

静岡県沼津市出身初の落語家/2004年11月三遊亭圓橘に入門/五代目円楽一門会所属、真打/東京都中央区在住、中央区芸人ユニット「中央区寄席演芸課」リーダー/ラジオ➡日曜21:30~『もにゃと朝橘』(K-mix)第3金曜22:00~『はろー!らじおし亭』(中央FM)/既婚・二児の父

最近の記事

褒められもせず、苦にもされず

2024年5月23日、新宿二丁目・道楽亭の席亭 橋本さんが亡くなられた。 落語ファンの方々はもうご存じかと。 SNSは便利だ。 Xで悲報を目にしたその日は何も言葉に出来ず。 泣くでもなく狼狽えるでもなく、 あまり経験のない虚無感に浸されていた。 ようやく落ち着いてきたので思い出を振り返りたく。 私がまだ前座の頃にオープンしてた気がする。 わりと早い段階でうちの萬橘兄さん、 当時はきつつき兄さんが会を始めてたのを 何かで見聞きしたのを覚えている。 だからなのか、自分の前座時代

    • 豊かさとは何かと聞かれたらこの店を紹介すれば良い

      【コロナ禍】などという 愚にもつかない言葉が 飛び交うようになってもう大分経つ。 それを理由にした公演中止・延期、 幾多の後ろ向きな連絡を受けてきた。 そんな最中に仕事の依頼をしてきてくれた 貴重な方も存在する。 「ラジオに出てくれませんか」 あの時の喜び、ご依頼主様に ちゃんと伝わってたかな。 そんな方が最近、第二の人生を 実にその人らしくスタートした。 K-mix・静岡FM放送。 沼津に生まれ、中学生の頃には 夜中にこっそり枕元に置いたラジオに 聞き耳を立てるのが習慣の

      • 自由帳13頁目「ふいに来ては去るあいつ」

        昨日、何の気なしに物を持ち上げたら 左肩にピキッときた。 (やったか…?いやまさか…気のせいかもよ) 自分の甘さに反吐が出る。 通算何度目かしら。 四十肩、降臨。 いつも決まって左肩。 個人差あるかもしれないし、 もしくは四十肩あるあるかもしれないが とにかく私の経験上、 四十肩は本当に何の前触れもなく現れる。 さっきまで普通に物も持てたし スムーズに服を着られたのに 次の瞬間、肩の動きに痛みが伴う。 上げられなくなる。 気の合う仲間同士の軽口やいじりに対し いつもなら笑っ

        • 自由帳12頁目「カメラ越しのお話」

          1月24日、日曜日。 宣材写真を撮った。 宣材ってのはチラシに載せたり SNSのアイコンにしたり、 要するに私のオフィシャルな写真。 ネットで拾ってきた画像を しれっとチラシに載せる人いるけど それはマナー違反、覚えといてほしい。 コロナで仕事も無い今、 商品のパッケージだけ新しくして どうすんの?と思うかもしれない。 でも撮るなら今な理由が出揃った。 まず痩せた。 去年の今頃より約20㎏減。 そして髪型を変えた。 詳しくは上の記事からどうぞ。 今まで使用していた宣材との

        褒められもせず、苦にもされず

          自由帳11頁目「熱量」

          10月4日、日曜日。 私の日常と大分かけ離れた空間に 出向いてみた。 Msmile BOX渋谷という劇場。 STARMARIEというファンタジーを表現する パフォーマンス集団、だそうな。 そのSTARMARIEの ライブを鑑賞するのが目的。 このSTARMARIEのメンバーの一人、 中根もにゃさんという方と 今月からラジオを始めることになった。 番組名『もにゃと朝橘』 そういうわけで一度観てみようと。 アイドルの方のライブに行くのは初めて。 パブリックビューイングで モー

          自由帳11頁目「熱量」

          自由帳10頁目「老い」

          先日、PCを買い替えた。 自分の落語会をネットで ライブ配信することになるとは 本当に思ってもいなかった。 こんな状況じゃ仕方ない。 やむなく始めたものでも、 やるとなると欲も出るもんで。 旧PCの挙動は見ていて 可哀想なくらいだった。 電源入れて操作出来るようになるまで およそ1分。 スリープ状態から元に戻るまでも 大体同じくらいかかる。 まるで年老いた馬に鞭打って 無理やり立たせて荷を運ばせるかのよう。 鞭で打たれると長年の習慣で 馬は閉じていた眼をゆっくり開けて ヨロ

          自由帳10頁目「老い」

          自由帳9頁目「どうも苦手で」

          私を知る人は皆、 「めんどくさい」という言葉を 私にぶつけてくる。 自覚もある。 めんどくさい人間だと思う。 ものの考え方、捉え方 そしてそれらの出力の仕方の全てが めんどくさい。 そんな奴の言う事なんか 気にする必要はない。 それと私がこれから書くことは 誰かの行動を否定しようとか そういうんじゃ全くない。 ただ、私にはできませんというだけ。 それを念頭に置いて読み進めて頂きたい。 足場の組み立てはこれくらいで良いだろうか…。 ジョギングする人が苦手である。 走る事自体

          自由帳9頁目「どうも苦手で」

          自由帳8頁目「毛」

          引っ張れば痛い。 伸びれば適度に切ったり剃ったり。 上手く整えばそれだけで気分上々。 思春期の人間を どれだけ悩ませてきたか。 毛というやつは実に面白い。 以前、noteに散髪のことを書いた。 何しろくせがひどい髪質なので それなりに悩んできた。 おかげさまで 当分悩まずに済みそうだけど。 ヒゲは私を今も悩ませる。 落語家は基本、 ヒゲを伸ばしてはいけない。 だからマメに剃る、いや 噺家ならあたるというべきか、 とにかく処理が必要になるが 体質的にカミソリ負け しやすい

          自由帳8頁目「毛」

          自由帳7頁目「無知を知る」

          身の程を知ること、 自分の至らなさを認識することは とても大切だと思う。 そしてとても月並みな物言いだが 人間、死ぬまで勉強だと思う。 クイズ番組というものが 嫌いじゃない。 好きと言うほど夢中でもない。 ちょうどやっている時に テレビをつけてたら観る程度。 観ながら無言で答えを考える。 テレビの向こうの出演者より 早く分かると、 かみさんに聴こえるギリギリの声で ボソッとつぶやく。 正解だった時の賞賛の声が欲しくて。 不正解だった時の惨めさったらないが。 趣味というほ

          自由帳7頁目「無知を知る」

          自由帳6頁目「男らしさ」

          皆さんに問いたい。 「そんなに外に出たい?」 その全てを、コロナのせいに出来た。 私は元来、家に居るのが好きだ。 コロナの前から 巣ごもり生活のノウハウを 熟知している。 外に出てはいけない。 仕事が無くて当たり前。 ずっと家に居れば良い。 思えばそれは自分にとって 理想の生活でもあったのかもしれない。 ただ一つ、無収入であること以外は…。 6月になり、寄席が再開した。 私も自分が出演する一門の寄席や 落語会が戻りつつある。 喜ぶべき事だ。が、 感染リスクという部分では

          自由帳6頁目「男らしさ」

          自由帳5頁目「手触り」

          スマホを使うようになって 何年経ったか思い出せない。 それくらい、スマホが 我が身に浸透した。 誰が作ったか知らないけど 本当によく出来た道具だと思う。 私が触れてきた電話は 最初が黒電話。 中学生くらいまであれだったと思う。 高校生の時、自宅に FAX付きの電話がやってきた。 離れた人と、切手もハガキも無しに 文章を瞬時にやり取りできる凄さ。 あの感動は今でも忘れない。 友人に無駄なFAX送ったもんだ。 携帯電話を初めて持ったのが 大学4年の時。 周りに比べて遅かったは

          自由帳5頁目「手触り」

          自由帳4頁目「世界は発見で満ちている」

          たまにテレビなどで 「主婦が考えたアイディア商品」 のような物が紹介されたりする。 百均で売ってる便利グッズが どこかの奥様のふとしたひらめきから 生み出されたりしてるらしい。 何百年と続いている落語でも 「何故今までそこに気付かなかったのか」 という斬新なギャグやオチ、 一部ストーリーの改変が 常に誰かの手によってなされている。 落語家みんなで寄ってたかって 落語をこねたり引っ張ったり 叩いたりのばしたり。 だからこそ続いてきたんだろうし 落語家の数だけ落語があると よく

          自由帳4頁目「世界は発見で満ちている」

          自由帳3頁目「無観客は嫌だ」

          最初に明記しておくが、 落語の話ではない。 もうすぐ一歳一か月になる娘のこと。 「可愛い盛りですね」とよく言われる。 盛りと言うとピークがあって その後落ち込むかのようで 内心不愉快である。 娘は日々、可愛さの自己記録を 更新し続けている。 記録は破られるためにある、を 熟知しているかのようだ。 守りに入らず、常に新しい可愛さを 追求する娘のストイックさには 頭が上がらない。 そんな娘のことで一番の悩みは やはり食事である。 離乳食を始めて以来ずっと、 なかなか完食しない

          自由帳3頁目「無観客は嫌だ」

          自由帳2頁目「お願いされてないランキング」

          誰にも依頼されてないし どこにも需要はないのに、 勝手に何かのランキングを 頭の中でこしらえることがある。 別にコロナで暇になったからではない。 コロナの前から結構暇だ。 何年か前には 「もし今、古今亭志ん朝師匠が 一席だけ稽古つけてくれるとしたら お願いしたい噺ランキング」 で大いに悩み時間をドブに捨てた。 一人で考えるのがもったいないので 楽屋で人に聴いてみたら みんなそれぞれ答えが違って 楽しかった。 今年の2月頃、 脳内で盛り上がったのは 「今後その魚一種類しか

          自由帳2頁目「お願いされてないランキング」

          自由帳1頁目「窓辺の先」

          「ねえ、ノートやったら」 かみさんにそう言われたのが今日の午後。 何のことかと聞けばnoteなるものがあると。 どんなもんかと思ったらブログと何が違うの? 「noteは記事を売れるらしいよ、 一つの記事で100円とか」 ああそう。 もうずっと無収入だもんね…。 にしてもチマチマした話だことよ。 傘張り浪人の如き様相。 何もしないよりは良いか…。 文章を書くのは大好き。 仕事としてやった経験も一応ある。 静岡新聞という地方紙で昨年、 「窓辺」というコラムのコーナーの 連載をさ

          自由帳1頁目「窓辺の先」