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信州温泉旅情(別所温泉・鹿教湯)②

信州、古泉の旅2日目、別所温泉から鹿教湯かけゆ温泉に向かいます。
初日はこちら。

愛染あいぜんかつら

硫黄の香りも心地よく、久しぶりの「朝風呂」。いざ露天風呂と、張り切って外に出るも、あまりにも寒くて、入れず…。

終始お風呂は、ほとんど貸切状態

朝食は、野菜たっぷりで、健康的なメニュー。ほんとこれで十分です、感謝していただきます~

サラダはたっぷり 湯豆腐が体に染み入ります

食事処から中庭が見えるのですが、左は民家とつながっているような感じ。この斎藤旅館、事の始まりは、畑を掘っていたら、温泉が湧いて、そこから民家を改造、増築を重ねて、旅館にしていったとか。畑掘ったら、温泉!という山梨の「石和温泉」みたいな経緯ですが、庭に温泉湧いたら、何かやらずにはいられないかも。

小高い丘のような中庭 

朝早ければ、昨日の参拝行列はなさそうなので、まずは北向観音を訪ねます。ここを有名にしている一つに、「愛染あいぜんかつら」なるものが境内にあるのでした。

正面本堂 さすがに人はまばら
境内には多様なお堂が存在

愛染カツラって何?ということですが、この巨木が「愛染かつら」。かつらという木で、これを題材に、直木賞作家の川口松太郎が小説『愛染かつら』を書き、その映画がヒットしたのでした。川口松太郎は北向観音のすぐ隣にある「かしわや」という老舗旅館に宿泊しながら、この桂の木を眺めそこから着想したということで、これは昭和10年の話。分からないわけです。

葉っぱはハート型なのだそうですが、真冬で落葉
思えば、久しぶりの正月のお寺
寅さん、朝からは啖呵売たんかばいはやらないだろうな
眼下にはもやに包まれた塩田平

「国宝、素晴らしいですよ」

お次は、昨日、拝見できなかった安楽寺の国宝。
金田一さんの「素晴らしいですよ」の一言で、来てしまいました。

安楽寺 山門へ
経蔵
本堂からさらに山の上に向かう階段を上がっていきます
現れました!三重塔

こちら、建立年代が定かでないが、鎌倉末期が定説。なぜ、国宝かというと、木造の八角の三重塔は、奈良や京都にもあったという記録はあるが、すでに喪失。この八角三重塔が現存する日本で唯一の塔なのでした。

大きさが伝わらないのが残念です 一番上の尖った部分まで19m弱
目に見える部分には釘は一つも見えません
分厚い屋根はよく見たら、
薄い板をミルフィーユのように精緻に重ねています
波型の木材以外は、柱に板や角材 鎌倉時代にどうやって設計したのか

この国宝、一言でいうなら、「直線で作る曲線美」
というところでしょうか。現在の技術で、作れと言われても簡単に作れないのでは。600年、700年経ってもびくともしない木造建築。
ということで、長野県で最初の国宝に、唸りながら、下山。
途中に、「高野槙こうやまき」という木を発見。愛染かつらと並んで、祈りの別所五木と言われているらしい。

高野槙 希望の木 松の様な葉ですが、枝ぶりは全然違います
こちらもかなり長身な常緑樹

桂といい、槙といい、知らない木ばかり、勉強になります。

再び、別所線で上田へ

素敵な参道に別れを告げ、
再び別所温泉駅へ

ちなみに昭和51年封切の「男はつらいよ」の駅舎。屋根も壁もパステルブルーではなかった。

駅前にはタクシーの車庫? 鄙びてます (松竹㈱クラッシック HPより)
途中、「中塩田」駅もこんな駅舎でした たまりませんね~
鉄橋を渡れば「上田駅」
ここにも真田「六文銭」(六文銭は三途の川を渡る渡し賃、命がけで生き抜く証)

駅前、雰囲気はどことなく「小諸」に似ていますが、新幹線が止まる分、余計に開けているというところでしょうか。

人生に乾杯!

上田市街地から鹿教湯かけゆ温泉へ

上田駅に来ましたが、日中は暖かく、明らかに去年と比べても全然違います。さて、今は、上田駅の中心市街地これから、バスで南に1時間強下り、鹿教湯温泉を目指します。

歓呼資源豊富な上田市(上田市HPより)

上記の地図をご覧の通り、上田市は広い。北はラグビー合宿とスキーの菅平も上田市、南は山を挟んで、松本市に接しています。鹿教湯温泉行きのバスは1時間に1本もなく、バス発車まで1時間半ほどあり、市街地の教会巡りをタクシーですることになりました。

バラエティー豊富な小教会

正月で訪問も出来ず、タクシーを使ってざっと外観のみ拝見。まずは上田新参町しんざんちょう教会。元々はカナダの宣教師さんが始めた教会で、こちらは、昭和10年に建てられたそうで、木造の可愛らしい造りです。

上田新参町しんざんちょう教会
明治30年カナダのメソジスト系の教会としてスタート 福音の種まいてくれて感謝します! 

お次は、お寺のような作りの教会、元々お寺だったと思われますが、1932年(昭和7年)に聖別とされています。

 「上田聖ミカエル及諸天使教会」 中を拝見できず残念 床は畳ではなく板張りのようです
聖ミカエル保育園も併設 強そうな名前なんです ミカエルはサタンと戦う天軍長 
諸天使教会なだけに、天使が飛んでます~

最後は駅から最も近い上田教会、こちらは、また普通の家のような教会。

教会の形も「みんなちがって、みんないい」

旧丸子線に沿って、鹿教湯へ

さて鹿教湯温泉までは、千曲バスで1時間10分。昔であれば、上田丸子電鉄の「丸子線」で、丸子駅からバスで行ったようです。当時の丸子線も回想しながら、鹿教湯に向かってみます。

丸子線(上田丸子電鉄の記憶より)

上田駅を出発したバスは、しなの鉄道(旧信越本線)に沿って上り、「大屋」駅前を経由して、千曲川を渡ります。

千曲川通過 

丸子線は上田東という市内からスタート。信越本線と並行して進み、電鉄大屋駅で、折り返して、千曲川を渡るという粋な路線。

信越本線をばく進するD51 これは見たかった!(上田丸子電鉄 長野電鉄 FPより)

大屋からは旧丸子線に沿う国道152号で、丸子駅まで。途中のバス停の駅名も丸子線とほぼ似たような名前。

「丸子町駅」(上田丸子電鉄の記憶より)

丸子町駅は、東信、下諏訪方面と鹿教湯、美ヶ原高原など観光地への玄関口として、バスが頻繁に発着していたようです。

丸子駅跡 確かに大きな終着駅の雰囲気あり
鹿教湯温泉行の乗合バス(上田丸子電鉄 長野電鉄 フォトパブリッシングより)

バス停も現在「丸子駅前」となっており、ここからは、依田川を渡り、内村川沿いの国道を登っていきます。

川沿いにいくつかの集落が点々と存在 
鹿教湯温泉到着

鹿が教えた「鹿教湯」温泉

こちら、漢字の通りの分かりやすい由来、下記の公式サイトでちょっとした漫画で経緯をご紹介。

宿に荷物を置いて、山手の方に散策路があるので、少しばかり散歩。

そこかしこに「鹿」
「紅葉橋」昭和40年竣工 ワイヤー細いですが、かわいい「吊り橋」

紅葉の季節が一番、お客さんの入りが多いとか。
開湯1200年以上で、国民保養温泉地指定も受けているので、江戸時代からの湯治場、リハビリ療養に来ている方も多く、この道も皆さん使われているのではないかと思います。

歩きやすい散策路
なかよし地蔵
散策路脇の渓谷は意外と深く、河床まで10m以上
これだけの歴史のある温泉地だと必ずある「薬師堂」
その先には、屋根付きの橋とお堂

こちら「文殊堂」。「鹿が教えた」その心は、文殊菩薩が鹿に変して?教えたということで、これが建てられるようになりました。

こちらの本堂も長野県県宝 築300年以上
境内を下ると屋根付きの橋「五台橋」

屋根付きの橋が鹿教湯に二つありますが、全国でも珍しいそうです。確かに屋根の分だけ重量がかさむので、架けるのは簡単ではない。よく見ると両側に渡してある桁の部分は一本のかなり太めの木材。しかも、真ん中のあたりが太くて、構造的にも考えられていることが分かります。なかなかの橋!

鹿教湯の写真スポット 五台橋から薬師堂を望みます
こちらの渓谷の部分が源泉エリア 白い建物は共同浴場「文殊の湯」

この外湯は新しい建物で「文殊の湯」こちらの裏に昔の源泉跡があります。

横穴の源泉跡
中は荒れ果てていて、ちょっと残念 鹿の絵だけあり

温泉街へ戻る湯坂を登っていると、バックしてくる軽トラ。荷台には、丸い氷の筒。こちら、1月末まで「氷灯ろう」のイベントをやっており、その準備のトラックでした。お客さん呼ぶ季節ごとのイベントですが、おじいさんが準備しており、本当にお疲れ様です。

氷灯ろうは後ほど拝見!
坂を上がり切るとなかなかいい感じの旅館、まだ健在
こちらの老舗旅館も松が屋根を突き破ってます!
最後まで「鹿」

本日の宿は「望山亭 ことぶき」

全15部屋の中規模の旅館 門松でのお出迎え
部屋も廊下はいたって綺麗

日が落ちないうちに、5階の露天風呂に向かいます。

部屋にも、廊下にも、お正月の生花 

こちらのお湯は、鹿教湯温泉のいくつかの源泉からのブレンド混合泉。源泉温度は47℃、PH8.1、弱アルカリ性低張性の温泉です。一般的な温泉のようですが、これがまた違うのでした。うたい文句どおり、一言で言うなら、「やわらかいお湯」という表現以外に見当たらない。

屋上露天風呂は板張りで石鹸・シャンプーは禁止 冬にはちょうど良い温度
いつまでも浸かって居られそうです~
囲いが高いですが、外の眺めは、鹿教湯温泉が一望

夕飯は食材にこだわる懐石料理

この宿を選んだのは、食材にこだわった料理が売りということで、一人では食べないであろう料理コース。年始で家族での旅でもあるので、奮発しました!と言いたいところですが、そこまで奮発する必要もなくリーズナブル。

一品一品凝ったものばかり、まず前菜3点
酢の物(蟹・北寄貝・帆立  薬用人参スープ 信州サーモンに鮪(今にも咲きそうな梅付き)

別所温泉で高麗人参が売っていたのですが、何でここに!?と思っていましたが、上田のこの地方でも作っているらしい。韓国ものほど強烈ではないですが、確かに人参スープ。

豚豆乳鍋
さわら春香焼き 
上田の地元でしか作られていない「緑だいこん」

汁物、そば、デザートと、全て載せきれなかったですが、一番驚いたのは、この「緑だいこん」。別所でも緑の大根おろしが出てきたので、青首大根かなと思っていたら、ココでしか採れない地元野菜でした。大根の天ぷらは初めてでしたが、苦みもなく、とにかく甘い。上田の隠れた名物じゃないでしょうか。

「氷灯ろう」&外湯「文殊の湯」

氷灯ろうの企画は知らずの訪問でしたが、雰囲気良さそうです。

湯坂を降りていきます
しばし、ご一緒に散歩しましょう
この世とあの世を結ぶ橋
薬師堂へ
今年は暖かくて、氷が解けるのが早いそうです
くらやみを一巡してきて、「文殊の湯」でひと風呂浴びます

外湯は、近くの宿の宿泊の方、近隣の方など、結構な賑わいです。大きめの浴槽は、旅館と同じくらいの温度、もう一つの小さい方の浴槽は結構熱くて、43℃くらいはあるでしょうか。
広い湯船に浸かって居ると、お隣には饒舌の船越英二風のおじさん。話が盛り上がってきたところで、そのおじさん、突如、熱い小さい湯船に入っている柄本明似のあんちゃんにツッコみ、
船「そっちは、熱くて入れねーなー、沸かしてるんだろう」
柄「こっちが、源泉なんだよ、そっちが水で薄めてるんだよ」
船「えぇ~、そんなことねーえだろう、鹿教湯ぬるいんじゃねえの?あんた地元の方?」
柄「まあ、地元だよ。こっちは、タンク経由してないから、そのまま飲めるんだから」

という感じで、雲行きが怪しくなり、
「まあまあ、イイじゃないですか」と行司に入る始末。
(ここ、湯治場なんだから…、と心で呟きながら)
確かに熱くて、そのまま、湯口から飲んでみました。ほのかな硫黄臭。

露天風呂もあり、その後はお気楽に浸かりました (ながのwebこまちより)

ということで、気になるので、受付の方に小さい湯船を聞いたところ、やはり「源泉直ですよ」とのこと。
源泉温度がそんなに高くなくても源泉が近いせいか、熱い!のでした。
確かに脇に源泉跡があり、外湯の文殊の湯を謳っているんだから、沸かすことは無いよな、ということで、やはり有名温泉場の外湯は間違いないのでした。

ということで、鹿教湯の夜は更けていくのでした

2日目、おしまい。 最終日、上田に再び戻り、上田城近辺を歩きます。
(つづく)

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