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第1話 Japan Labelと初音ミク

プロローグ by秋元

「意識してなかったけど、Japan Labelは2012年に始まってるようなので、今年で10周年だった!
 改めて振り返ると、10年前に夜な夜な議論したことが今も糧となってるし、基本的には考えてることも、やってることも変わってない。カルチャーを多面的に調べて、カルチャーに寄り添って、カルチャーを支えているファンに敬意を払う。カルチャーに土足で入ったと思われないようにするには継続する。
 変わったことは、同業他社が増えたこと。カルチャーの多様性はより大きなチャンスでもあるわけで、以前よりも難しい状況だけど、楽しくもあるっていうか。」

Japan Label設立

秋元
 「前社在籍時に立ち上げたearth music&ecologyさんのアニメ/マンガとのコラボブランド”Japan Label”を、2017年に株式会社CHORDを設立時に事業を引き継ぎ、継続して運営することになりました。

 ブランド立ち上げ当時のターゲットは、”5年後にearthの顧客となる10代の女の子たち”でした。ローティーンへのブランドへの潜在的な認知度をあげ、将来の顧客となってほしい。そのために、来店やネット販売を通して意識付けができ、またローティンの心をつかむ為に提案したのが、その世代の共通の関心事である、“アニメ・漫画・インターネットとのコラボ商品”でした。

その際に、単純な商品化ではなく、”ガンダムのセイラさんがearthの服を着る」とか「ドラゴンボールのブルマがきそうな服をプロデュースする”など、アニメキャラがモデルになるというアイディアがあり、それが実践できる作品を検討することになります。」

コラボ作品の選定

秋元
 「アニメ作品とのコラボに際しては”描き下ろしイラスト”が必要ですが、いくら掛かるのか、そもそも誰に頼むのかも分かりませんでした。そんな時に、インターネット上における”初音ミク”の存在を思い出します。

 ”初音ミク”は音声合成のソフトとして認知していましたが、初期のニコニコ動画で、ネット発のヒット曲が出てきたことや、ピクシブで数々のイラストレーターたちによる二次創作イラストが描かれており、一定数のファンがいて、それが短期間で大きく成長していることに驚きました。

 同時に”初音ミクならイラストをお願いしやすいのかも”と思いつきます。こうしてJapan Label最初の商品候補として、”初音ミクにJapan Labelの服を着てもらう”企画が始動しました。

 様々な方のご協力のもと、当時”メラコンリック”のイラストで有名だったイラストレーター「ちほ」さんへイラストを発注、商品化することが決定します。」

<メランコリック>

コラボすることの意味

秋元
「第1弾商品は告知の段階から大きな反響を頂き、そして、これまでの客層よりも若年層の中高生たちに多く反響をいただきました。準備期間の関係で”初音ミクをモデルにする”コンセプトは第2弾商品で展開することになりましたが、発売当日は開始早々に多数のお客様ご来店頂き、完売商品続出!店員さんもこれには驚いていたようです。当日は販売スタッフの方もツインテールにしてくれて、ショップ全体で初音ミクを表現。当初目的としていた、ターゲット層の若返りを実感できた瞬間でもありました。」

ちほさんによる描き下ろしイラスト。「なんでネギを持ってるの?」という質問が少なかった時代です。

秋元
「並行して第2弾商品の企画がスタートします。イラストレーターの雨さんには、最低限のコンセプトのみを説明し、さらに”自分が着たいもの”を描いてもらった結果、完成したイラストに描かれていたポンチョ、ショートパンツ、バッグを実際に商品化することになります。さらにイラストが公開されると、”同じヘッドホンが欲しい!”という反響がSNSで多くありました。」

雨さんによる描き下ろしイラスト。この絵の反響が、以降の方向性の確信に繋がりました。


 この一連のアクションこそ、初音ミクらしいというか、初音ミクの文化というか、クリエイターが発信したものをファンが喜んで受け入れてくれる。初音ミクカルチャーの一端を担えた瞬間だと感じています。

 他にも似たような事象として、作品中にでてくるバッグが実際に女子高生の間で流行った、ということがありました。キャラグッズではなく、キャラクターがもっているものを買うということ、つまり、「好きなキャラクター・好きなアニメの存在が感じられるもの」も求められているということではないでしょうか。

 これが今の株式会社CHORDの商品開発につながっていきます。先日、おそらくアニメ好きと思われる方が、「アニメだとわかるグッズよりも、わかる人だけがみて『同志だ!』とわかるグッズが欲しい」とツイートしているのを見かけました。まさにこれだな、と。
「マス(大衆)へ提案しても受け入れられ、コア(ファン)へはスタイルを提示する。」これがキーになると考えています。

秋元
株式会社CHORD 代表取締役
http://chord-web.jp/
https://echoecho.thebase.in/

なかむら
秋元氏から話を伺い、noteを書く人。


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