見出し画像

夏の終わりに愛をもらう

夏の“To Do List” が何一つ片付かずに、九月も上旬が過ぎ去ろうとしていた。そんな自分に自信を失いかけていた頃、ご無沙汰していた知人から立て続けに連絡があった。

中学・高校時代の友達、大学時代のサークルの先輩、そして以前の職場の人。


中学・高校時代、そして大学時代の自分が・・・悲しいことだが好きではない。理想から程遠い現実に鬱々とし、日々無様にあがいたりもがいていた事が思い出される。なのに、その頃のそんな私と出会った人が、今日に至るまで私と関わり続けようとしてくれるのはどうしてか不思議な気さえする。はるばる電車に乗り小一日も割いて・・・。そう当たり前のことではない、と思う。

それぞれが私に久しぶりに会いたいと言ってくれて、ランチをしながら「お年頃」ならではの苦労話満載の近況報告をし合う。共感させられるもの、違和感を覚えてしまうもの、聞く話の内容は様々だが、そんな暫しの時間の終わりには、微かだけれど今後の手強い人生に立ち向かう仲間同士のような意識が互いに芽生え、私自身も、気付けばより前向きな気持ちになっている。


ところで、上の写真は、昔の職場の方より頂いたお花だ。「余ったから」と、畑の収穫物の葉野菜を頂くことになっていたが、それに添えてくださったのだ。その日中はあいにく目一杯予定が入っていた為、朝8時半なら、という我儘な待合わせを前夜に約束。そんな慌ただしい約束にも拘らず、恐らく早朝から畑に向かい咲き乱れる花を摘み、水切りをし、丁寧にペットボトルの下半分を切り取って生けた状態のままブーケに仕立て上げてくれていた。

朝から汗が滴るような連日の猛暑だった。待合い場所に、タオルを首に無造作に巻いたまま額に汗を滲ませた艶やかな笑顔の彼女、新聞紙に包まれた瑞々しい青野菜、生命力が溢れみなぎるような鮮やかな花々の色ーーー無償の愛を感じずにはいられなかった。励まされた。


悩みながら生きていた過去の自分から、今更ながら、不意にご褒美を貰ったような気がした。夏の終わりに、やっと。


この記事が参加している募集

夏の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?