【ブログ記事アップ】2023年4月30日/尾高忠明指揮、読響、ドゥ・メストレ〔hp.〕

以前触れたが、noteより前からブログ「アフターアワーズ」をやっている。
最近は忘れた頃の更新だが、4月30日に聴いた尾高忠明指揮、読売日本交響楽団(以下読響)の演奏会の簡単なレビューを記した。

尾高忠明は1995年秋、当時中等科3年生の筆者がクラシック音楽と出会った頃の読響常任指揮者。
初めて足を運んだ読響の演奏会は尾高の指揮するブラームスだった。

この後の2~3年、読響はもとより音楽監督だった紀尾井シンフォニエッタ(現在の紀尾井ホール室内管弦楽団)や日本フィルとの共演など尾高の指揮するコンサートを随分聴いた。
クラシック聴き始めの十代にとって低料金で聴けて、当たりはずれの小さいありがたい指揮者と感じていた。

しかし、人間とは勝手なもの。
親戚の伝手などでマゼール、バレンボイム、インバル、マリス・ヤンソンス、ゲルギエフ、テミルカーノフといった世界的スター指揮者の公演に行く機会が増えると失礼にも「尾高さんはもういいかな」。
少しずつ脚は遠のき、2004年5月のコンサート以降ほぼご無沙汰となる。
なお、この時が同年10月に逝去する園田高弘を聴いた最後の実演だった。

2014年7月、尾高が親友の井上道義の代役として東京フィルを指揮した時、プログラムを予定のショスタコーヴィチの交響曲第7番からラフマニノフの交響曲第2番に代えたと知って、作品聴きたさで6年ぶりにこの指揮者のコンサートに赴いた。

ラフマニノフは尾高にとってエルガーと並ぶ十八番。BBCナショナルオーケストラオブウェールズの常任指揮者時代にセッション録音した交響曲全集とピアノ協奏曲全集は、ラフマニノフのファンが多い英国で好意的に迎えられた。
常任を退いて10年後の2006年9月にはプロムスで披露している。

そして2023年4月、9年ぶりに聴いた尾高の演奏会のメイン曲目もまたラフマニノフの交響曲第2番。
今回は読響の表現力により、以前の演奏とは次元の違う各パートの立体的な陰陽、音楽の強靭さが滔々と伝わる。1時間に及ぶ大作ながら、フィナーレのラストが近づくと「もう終わりか」と惜しくなった。
※文中敬称略※

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