【ディスクレビュー】朝比奈隆指揮、大阪フィル、ブルックナー:交響曲全集(キャニオン)

画像1

四半世紀ぶりの再会

1997年3月に朝比奈隆指揮、NHK交響楽団のブルックナー:交響曲第8番を聴いた後、図書館でこの全集を聴いたが当時絶賛された第8番(1994年東京ライヴ)も含めてガッカリし、それからずっと遠ざけてきた。

先日、ある方のInstagram投稿で上がっていたのを見て、第1番からamazonmusicで聴いている。第1番~第3番と第6番はセッション録音。
第2番の前半楽章は素晴らしい。墨絵風のタッチで侘しい情感が吹き抜ける。第6番も凝集力のあるアンサンブルで小さく見られがちな曲を強靭に描き切る。評価の高い第3番はオーケストラと指揮者のタイミングのずれが目立つ。
ライヴ録音のナンバーでは、第9番の骨太の構えからロマンのにじむ雄大さが破格の内容。オーケストラの精度もこれは高い。一方で以前記した指揮者とオーケストラの確執の頂点、つまり1992年欧州演奏旅行の直前に演奏された第7番はかなり荒れている。

本全集はタワーレコード×オクタヴィアの企画でいまボックス購入できる。リリース前に「レコード芸術」2021年12月号で西村祐の先行レビューが載ったが第7番について演奏上の不備を指摘しながら、背景に踏み込んでいない。この評論家は他のアイテムのレビューでも分析の甘さが目立つ。
ライター失格だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?