上出長右衛門窯の道行/"MICHIYUKI" by CHOEMON

九谷焼窯元の新作開発の紆余曲折するストーリーをリアルタイムでお伝えしています。旅は… もっとみる

上出長右衛門窯の道行/"MICHIYUKI" by CHOEMON

九谷焼窯元の新作開発の紆余曲折するストーリーをリアルタイムでお伝えしています。旅は道連れ世は情け。これまで秘密にしていた新作とそのアイディア、プロセスを上出長右衛門窯六代目・上出惠悟が綴っています。皆様、是非ご同行下さい。 頂いたサポートは今後の新作開発費に充てさせて頂きます。

マガジン

  • 上出長右衛門窯の道行

    現在進行中の新作開発の紆余曲折するストーリーを、テキスト、写真でお伝えしています。旅は道連れ世は情け。これまで秘密にしていた新作とそのアイディア、プロセスを上出長右衛門窯六代目・上出惠悟が綴っています。皆様も是非ご同行下さい。時々「道行」限定イベントも行う予定です。

  • 【干支水滴 卯】の道行

    毎年作っている「干支水滴」の2023年、卯年の道行。 造形のヒントになった驚きの道具とは?サンプルを重ねてできた形と蘇るボツ案。

  • 【干支水滴 寅】の道行

    毎年作っている「干支水滴」の2022年、寅年の道行。 アイデアから何度もサンプルを重ねた制作秘話と販売スタート、そしてラストの残念なお知らせと上出の反省までの全18話をお読みいただけます。 http://www.choemonshop.com/choemon/eto-04-01.html

  • 【干支湯呑 笛吹 寅】の道行

    「干支湯呑 笛吹 옛날 호랑이」の道行です。 品名をハングル文字にした理由とは?韓国の昔話にまつわるエピソードをデザインに込めた「寅年の笛吹湯飲」を綴るお話。昔話「カササギの恩返し」と「窯(かま)」にまつわる秘密をご紹介。 リアルタイムではなく後日の振り返りの為、詳細な製作過程はありませんが、干支湯呑 笛吹 寅をお使いの方に是非お読み頂きたいです。 http://www.choemonshop.com/choemon/eto-04-05.html

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上出長右衛門窯の道行がはじまります

こんにちは。上出惠悟(かみでけいご)と申します。 私は石川県にある九谷焼の窯元である上出長右衛門窯(かみでちょうえもんがま)の六代目として、現在20名程の職人、並びにスタッフとともに日々九谷焼の製作、そして販売を行っています。活動内容については、下記の記事に詳しく掲載されておりますので、宜しければご覧ください。 さて、このnote「上出長右衛門窯の道行(みちゆき)」は、私たちがこれから発表しようとする新製品の製作過程をリアルタイムで、皆様にお伝えしようという試みです。

    • 【窯まつり・絵付】の道行#11「歴史とつながる」

      こんにちは。上出惠悟です。 今年2月に始まった今回の道行もそろそろ終盤です。これまで絵付場で活躍する3人の女性を紹介して参りましたが如何でしたでしょうか。上出長右衛門窯で働いている私達がどんな人間で、どうしてここで働いているのか、少しでも身近に感じて頂けていたら嬉しいです。 ここで初めて読んでいる方に少しだけご説明すると、このnote「上出長右衛門窯の道行」は、私達がこれから発表しようとする新製品の製作過程を、あえて隠さずにリアルタイムで皆様に公開しようという試みです。紆

      • 【窯まつり・絵付】の道行#10「もっと練習を」

        こんにちは。上出惠悟です。 いよいよ第2回目の轆轤(ろくろ)まつりが始まります。今回からはコロナ前と同じフリー入場制になるので、是非多くの方にお越しいただきたいです。16回を数える窯まつりに比べればまだまだ手探り状態ですが、轆轤師を中心に職人たちは張り切って準備をしています。轆轤まつりはこれまで華やかな絵付の影に隠れている轆轤に光を当てようと企画されました。改めて考えてみれば、回転する台の上に乗せられた粘土が、人の手によってあらゆる形に変化する轆轤という技術は非常に面白いも

        • 【窯まつり・絵付】の道行#9「奥出のサンプル」

          こんにちは。上出惠悟です。 突然ですが、皆様は墨の匂いはお好きですか? 多くの大人にとって墨や硯はもうあまり触れることのないものかも知れませんが、私やその他の九谷焼作家にとっては、墨はかなり身近なものと言えると思います。墨は焼くときれいに燃えてなくなるので絵付の際に下描きに使いますし、木箱への箱書きや熨斗書きなどかなり頻繁に活躍します。 それに加え、私は最近になって水墨画を始めました。水墨画は言うまでもなく墨の濃淡だけで描く古典絵画で、日本では雪舟や等伯や狩野派が有名で

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        • 上出長右衛門窯の道行
          上出長右衛門窯の道行/"MICHIYUKI" by CHOEMON 他
          ¥500 / 月
        • 【干支水滴 卯】の道行
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        • 【干支水滴 寅】の道行
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        • 【干支湯呑 笛吹 寅】の道行
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        • 【エフゴマグ】の道行
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          ¥100

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          【窯まつり・絵付】の道行#8「犬も恐れる20代」

          こんにちは。上出惠悟です。 現代の「働く」という感覚からは随分ズレているかもしれませんが、職人の仕事は生きることの延長線にあって欲しいと私は考えています。それを教えてくれたのは昨年亡くなった轆轤(ろくろ)師の河田の姿です。河田は何十年も長右衛門窯の敷地内で畑を耕して野菜を育てていました。轆轤仕事を終えれば暗くなるまで畑仕事をし、休日も窯に来てはよく土を触っていました。腕に技術を持っている職人という生き方は、全てがその人の営為の中にあるようで、それはとても理想的で誇り高く見え

          【窯まつり・絵付】の道行#8「犬も恐れる20代」

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          【窯まつり・絵付】の道行#7「一手間+一手間」

          こんにちは。上出惠悟です。 突然ですが、皆様はこれまで悲しみをどう堪えて乗り越えて来られたでしょうか。 ニュースを見ていると度々悲しい事故や事件が報道されます。特にこの季節は夏休み中の子供達が犠牲になることが多く、親御さんの想いを考えると居た堪れない気持ちになります。それでも私達は深く傷付いたその方の心に、自分の心を重ね合わせる事しか出来ません。私達の心はそして身体も、誰かと成り代わることは出来ない、それもまたこの世の無情だと最近感じています。 「デンデンムシノ カナシ

          【窯まつり・絵付】の道行#7「一手間+一手間」

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          【窯まつり・絵付】の道行#6「基本と応用」

          こんにちは。上出惠悟です。 私の住む石川県は日本で最も多く雷が発生する地域だそうです。雷の研究者にとっては非常に良い環境だというような事を以前に耳にしたことがあります。しかし雷を嫌う犬にとっては最悪な環境だと言えるかもしれません。私が飼っている二匹の小さな犬達も異常に雷を怖がっていつもぶるぶると震えて可哀想です。特に兄のかめちよは雷が鳴ると恐れおののき、我を失ったかのように高いところへ登りたがるので、四国のブリーダーさんから引き取って石川に連れて来たことを何だか気の毒に感じ

          【窯まつり・絵付】の道行#6「基本と応用」

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          特別企画【窯まつり】の道行(後編)

          今年で16回目となった窯まつりをもっとディープに楽しんで頂くための深掘り企画(後編)。共に2016年入社の職人で、窯まつり実行委員のメンバーである柴田と山崎がその成り立ちや変遷についてを、上出長右衛門窯六代目・上出惠悟に訊いてみました。 前編はこちらからお読みください。 窯まつりにも訪れるコロナの波 「皆ですごく知恵を絞った」 山崎:たまさかってたまたまとか偶然って意味ですが、あまり日常では使わないですよね?どういうタイミングで思いついたんですか? 上出:うーん、具体

          特別企画【窯まつり】の道行(後編)

          特別企画【窯まつり】の道行(前編)

          今年で16回目となった窯まつりをもっとディープに楽しんで頂くための深掘り企画。共に2016年入社の職人で、窯まつり実行委員のメンバーである柴田と山崎がその成り立ちや変遷についてを、上出長右衛門窯六代目・上出惠悟に訊いてみました。 窯まつりのはじまり 「長右衛門窯は売れなくなっていった」 山崎:そもそも、どうして窯まつりを始めようと思ったんですか? 上出:長右衛門窯は昔から業界のおまつりである九谷茶碗まつりにお店を出してたのね。茶碗まつりは今も窯まつりと同時期に開催されて

          特別企画【窯まつり】の道行(前編)

          【窯まつり・絵付】の道行#5「普通ができない」

          こんにちは。上出惠悟です。 実は窯まつり限定品としてこれまでお客様からの要望が最も多かったのは丼鉢でした。うどんやラーメン、天丼、親子丼などを食べるためのものです。窯まつりで売り場に立っていると「丼ってないの?」というお声を何度も聞きます。そんな声を頂いていたにも関わらず、これまで作って来なかったのは上出長右衛門窯が割烹食器を作ってきた窯元だからです。ご存知の通り、今では「割烹」という料理人に向けた食器だけに留まらず様々なご提案を積極的に行なっていますが、そのルーツは窯のア

          【窯まつり・絵付】の道行#5「普通ができない」

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          【窯まつり・絵付】の道行#4「伝えること」

          こんにちは。上出惠悟です。 金沢に上出長右衛門窯のお店(その名も金沢長右衛門)ができたことで、これまで以上に私達のことを多くの方に知ってもらう機会が増えました。また外国の方も驚く程に多く旅行されているので、コミニュケーションの仕方も今後変わって来ることを実感しています。これまで日本の方に対しては「九谷焼のことを知っている」もしくは「聞いたことがある」という大きな前提がありましたが、外国の方にはそれがありません。オーセンティックなものを作り続けて来たのであれば然に非ずかもしれ

          【窯まつり・絵付】の道行#4「伝えること」

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          【窯まつり・絵付】の道行#3「窯まつり限定品のデザイン」

          こんにちは。上出惠悟です。 ちょろちょろと田圃に水が張られるといよいよ窯まつりがやって来ます。毎日寒暖の差が激しく気候がいつもと違う感じがしますが、まつりが開催される5月2日から5日は過ごしやすいお天気が続くようにと願うばかりです。 窯まつりの企画や運営は窯まつり実行委員が進めますが、直前にもなれば窯のスタッフ総動員で、お客様を窯へお迎えする準備をします。大変な作業ですが、職人たちはどこかわくわくと楽しそうな雰囲気です。春のおまつりは夏や秋とは違う喜びがある気がします。今

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          【窯まつり・絵付】の道行#2「なぜ人の手で作るのか」

          こんにちは。上出惠悟です。 2019年の夏にEN TEAの丸若裕俊さんに「楽しい会」だと連れて行かれたお店で私は2人と出会いました。場所は白金にあるお店。 1人は千葉麻里絵さん、GEM by motoというお店で長年お店に立ちながら、全国の日本酒の蔵元を巡り日本酒にまつわるプロデュースや書籍の出版などを精力的に行っている方です。最近、独立されてEUREKA!という素敵なお店を西麻布に昨年の11月にオープンされました。 そしてもう1人が山下貴嗣さんです。2010年頃より世

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          【窯まつり・絵付】の道行#1「心の絵」

          こんにちは。上出惠悟です。 2018年のパリ、ポンピドゥーセンター(国立近代美術館)で私は1枚の油絵に目を奪われました。それは「La quai de Paris in Rouen」という絵で作者はアルベール・マルケ(1875年-1947年)。大きな橋のかかった埠頭を描いた風景画でした。日頃絵を見て、巧いと思うことはあっても、好きだと感じる絵に出会うことはあまり多くありません。私は何と良い絵だろうとしばらく動けなくなりました。 日本での知名度はそれ程大きくなく、この時初めて

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          【干支水滴 卯】の道行#11「もう一つのゴール」

          こんにちは。上出惠悟です。 寒い季節になると週の半分以上は着ているスウェットがあります。「世界一、正統なスウェットシャツ」という高い志を掲げ、「吊り編み機」という今は殆ど稼働していない古い編み機から生まれる「LOOPWHEELER」のスウェットです。代表の鈴木諭さんと初めてお会いしたのは2019年の春だったと思いますが、私はそれまでスウェットやジャージ、そしてスニーカーはスポーツマンが身に着けるものだと思っており、スポーツとは縁遠い私が着るとどこか落ち着かなさがあって仕方な

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          【干支水滴 卯】の道行#10「ウサギのゴール」

          こんにちは。上出惠悟@コロナ療養中です。 最近有り難いことに、活動について褒められることが多い気がしています。もちろん褒められるのはとても嬉しいことですので、まだ私を褒めていない人はどんどん褒めてください。またもう褒めたよという方は何度でも受け付けております。なんて。しかし、活動が評価されるのは幸せこの上ありませんが、この現象の中には「よいしょ」も含むと怪しんでいます。 お世辞と判っていてもつい喜んでしまうということもあります。例えば「上出さん、東京芸大なんですね、凄いで

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