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【読書記録】推し、燃ゆ。(宇佐見りん)

「推し」という単語が頻発します。悪しからず、、

推しがいる身として、前々から読みたいと思っていた一冊。基本的に文庫を買うので、この機会に手に取った。

読む前、ちょうど友だちと「推しを推すこと」について話していた。何かを応援する、とは趣味のような娯楽のような、ポップでライトな感じがある。
でも、単純ではないどちらかというと複雑なもの・こと・気持ちが混ざり合うことも多い。

物語の主人公・あかりの推しが、炎上した。それでも彼女にとって彼は彼だし、推しは推し。
彼女の推し方を、「分かるなあ」と思いながらも、自分はそうではないな、とあくまで客観的に読んだ。お金と時間をつぎ込む方法は、今の私の生活スタイルにそぐわない、というだけ。人の数だけ推し方はある。

推しを解釈する、という考え方は何だか自分に通ずるものがあった。分かりたいというか、分かっている気になりたいというか。
私の場合も相手はアイドルで、とはいえ彼らも人間で。ちゃんとそれを分かった上で、見せてくれる部分を応援する。自分にとって不都合があった時も、オタクをする以上そういうことはつきものだよな、と冷静でいる。ただ狭い範囲であっても、推しを分かっていたいと思ってしまう。

昔読んだ本の登場人物が、恋愛感情を抱いている相手に対して、「たとえ犯罪者になっても理由によっては友だちでいる」という
ニュアンスのことを言っていて。当時も今も、私はこういう思考を持って彼らと向き合っているのだと思う。

メインテーマとは逸れるかもしれないけど。主人公のあかりは、特異っぽく見えるようでいて実は身近な性質の持ち主ではないか、と思う。自分はどうして普通にできないんだろう、と悩む人がいたら、「普通」という言葉に惑わされないで、と言いたい。

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