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【コンサル業界研究】監査法人って何してるの?①監査法人の仕組み解説編

どうも、外資系うさぎのちょこさんです。

最近、こんな感じで質問箱で監査法人のコンサル部門に関するお便りをよくいただくので、ちょっとこのあたりを解説してみようと思います。

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ご参考までにちょこさんのご経歴は↓にまとめてあるのでそちらもお読みくださいな感じですが、過去に何年か監査法人のいわゆるコンサル部門に在籍していましたので、そのあたりの経験を元にしたお話になります。


その前に毎度おなじみいつものコピペです。
この記事も有料設定していますが、全文無料で読むことができます。もしいいねと思っていただけた場合は、ちょこさんの大好物のおいしいチョコレートを一粒調達するための費用としてカンパいただけると大変うれしいです。

では本編どうぞ。


◆監査法人のコンサル部隊って表現は実は正しくない

いきなりでアレなのですが、監査法人のコンサル部隊って実は表現はちょっと適切ではないんですよね。

じゃあ何なのって言うと、監査法人はいわゆるコンサルティング的なお仕事のことをアドバイザリーと呼ぶならわしがあります。

このあたりも詳しく解説しだすとnote数本できてしまう気がするので端折るのですが、昔は監査法人が監査もコンサルも色々やっていた闇鍋みたいな時代がありまして、さすがにそれじゃあ第三者性が確保できないしよくないよねってなって監査法人の会社とコンサルの会社が分離したっていう歴史があります。

そんなこともあって、今でもBig4は監査をやる法人とコンサルをやる法人に分かれているんです。
※FASとかTaxは割愛します。

で、タテマエ上は監査法人がやっているのはあくまでアドバイザリーであってコンサルじゃないんですよ、ってことになってます。
まぁ実際もちゃんとアドバイザリーとコンサルってやることの色が結構違っているので、このあたりはあとあと解説します。

ちょっとだけ脱線して業界の歴史など

そんな感じで監査法人はコンサルで部隊を切り離すことになったのですが、ここらへんでちょっとみんな大好きなあの会社のことにも触れておきます。

むかしむかしそのまたむかし、具体的には1990年代までは今のBig4はアーサーアンダーセンという監査法人を加えてBig5と呼ばれていたのですが、なんていいますか、ちょっとそのアーサーアンダーセンがやらかしまして、その結果、信用失墜などの影響をうけて解散となり残った4社が新たにBig4と呼ばれることになりました。

ちなみにこのアーサーアンダーセンはBig5の中でどのような立ち位置だったかというと「ククク...奴はBig5の中でも最強...」といった感じです。
当時世界最大の会計事務所がやらかして解散...しびれますね...。


さらにちなみに、アーサーアンダーセンがやらかすちょっと前にそこのコンサル部隊がスピンオフしてまして、2001年に会社の名前を変えてるんですよね。

そうです、その会社こそがみんな大好きアクセンチュアです。

雑にまとめると、アクセンチュアも昔々は監査法人だったんですね。


とまぁ、色々書きましたけど、便宜上今後も監査法人のコンサルみたいな書き方を続けますが、記憶の片隅ではアドバイザリーが適切と認識しておいてください。
監査法人のコンサルはアドバイザリー、いいね?


◆監査法人とは

前置きが長くなりましたが、監査法人のコンサル案件の特徴を解説する前に監査法人ってそもそもどんな奴らなの?ってところに少し触れておこうと思います。

あまり馴染みないですよね、監査法人って。

ちょこさんも最初は監査法人って大量のダンボール箱を持って怪しいことしてる会社に突入して不適切会計に関係ありそうな秘密の書類を片っ端から回収してくるようなお仕事だと思ってたフシがあります。

まぁ、実際に大量のキャリーケースを持ち込んで監査手続に必要な書類を正式な手続きを経てお借りしてくるってのは結構ありましたけども。

昨今のペーパーレスブームでこういった若手の下働きみたいなのも少しずつなくなっていくんでしょうね。


というわけで、とりあえず監査法人の仕組みについて図解してみたのでまずはこちらをご覧ください。

なんとなく監査法人のコンサル部門受けてみようかなーって思ってる就活生や転職活動中の各位はこのあたりしっかり抑えておくと今後の活動が少し捗るかと思います。


まずはそもそも監査法人って何で必要なの?ってところからです。


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で、ここに監査法人が現れると...。


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そうすると最初の図はこうなります。

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と、まぁこんな感じに、上場企業が市場からお金を調達するために財務報告書類を公開しているのですが、ルール無用の残虐ファイトがまかりとおってしまうとどの会社もみんなズルをするので、「みんなこんな感じで会計処理して報告してね」ってルールが決まっています。

で、そのルールのとおりにちゃんとやってるかをチェックするのが監査法人のお仕事です。
※世の中にはさらに「監査法人がルールどおりにちゃんと監査をやってるかチェックする」組織もあります。

今回の図解では一言で「上場企業」とまとめましたが、どのような会社がどのような監査を受けないといけないかは会社法とか金融商品取引法とかで決まっているので、興味のある各位はぜひ調べてみてください。


「みんなこんな感じで会計処理して報告してね」の補足
監査系のアカウントをフォローしてるときおり見かける言葉かもしれませんが、日本においては以下の4つの基準が認められていて、外資系企業や海外上場している企業は日本会計基準以外のものを使うこともあります。
・日本会計基準(J-GAAP)
・米国会計基準(US-GAAP)
・国際会計基準(IFRS)
・修正国際基準(JMIS ※IFRSを日本向けにガラパゴス化したもの)


このセクションをまとめると、監査法人は企業から依頼をうけてその企業の財務報告書類が選択した会計基準どおりに作られているかを監査するための組織です。

期末前後になると会計系アカウント各位がものすごく忙しそうになるのは、企業の財務報告内容が適正か色んな書類をみたり計算したりしながらチェックしているからです。

これが巷で聞く会計監査とやらの正体です。


◆大手ファームの組織構造

監査法人の仕組みについて解説したついでに、Big4各監査法人がどういう組織構造になっているのかかるく眺めてみましょう。

なお、どこの監査法人もフロント側は基本的に大きくわけてこんな感じになってます。
・会計士が所属する部署
  - 金融系の人がいるところ
  - 非金融系の人がいるところ
・非会計士が所属する部署
  - IT監査/リスクマネジメント系の人がいるところ
  - 財務報告系アドバイザリーの人がいるところ
  - それ以外のいろいろやる人がいるところ

では、大きいところから順に見ていきましょう。

EY新日本有限責任監査法人の組織図

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出典:リクルートページ

組織図自体はシンプルでわかりやすいですが、EYって第n営業部って組織の作り方なのでぱっと見でわかりづらいんですよね。


有限責任監査法人トーマツの組織図

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出典:コーポレート情報

なんだかものすごく細かいのでフロントっぽいところだけ拡大してみましょう。

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うん、これはちょっとわかりやすいですね。
監査・保証事業とリスクアドバイザリーできれいに分かれています。


あずさ監査法人の組織図

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出典:リクルートページ

ここは監査事業部に全部まとめているような感じですね。
ただ中身が第n部制なのがややわかりづらいポイントです。

アドバイザリー本部というのもあるようですが、監査事業部配下に金融アドバイザリー部やIT監査部などがあるので、メインどころのアドバイザリーはこっちの人がやるように見えますね。

余談ですが、あずさのスペルはazusaじゃなくてazsaのようです。
こだわってますね。


PwCあらた有限責任監査法人の組織図

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出典:組織とガバナンス

もしかしたらここが一番わかりやすいかもしれません。
第n部制じゃなくてちゃんとどこがなにやっているかわかる名は体を表す組織名ですね。

アドバイザリー部署は金融、非金融のそれぞれ部門の中にいたり、インダストリーを超えた部門は組織図上その両者の間に位置しているようですね。


◆今回のまとめ

というわけで、監査法人って何やってるの?というお話とBig4監査法人の組織図を眺めてみようというお話でした。

監査法人への就職、転職を考えている各位の参考になりましたらうれしいです。

監査法人って結構情報公開しないといけない決まりなので、こういう調べ物するとき楽でいいなって思いました。

このあとはシステム監査って何するの?とか監査法人のコンサルって結局何何者なの?ってあたりの解説をしていくことにします。


と、思いきや、そろそろ4,000字ちかくなってきたので、今回はこのあたりで一旦切り上げて次回にまわすことにしましょう。

解説系noteは読むのも疲れるかと思うので、ぜひ甘いものでも食べて次の投稿に備えてください。

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◆オススメの1冊

コンサル業界の歴史に関する本ですが、このnoteの前半で触れた監査法人とコンサルの関係についても記載されています。

監査法人とコンサルって切っても切れない関係なので、こういった話にも興味がある各位はぜひ読み物として読んでみてください。


というわけで、近々この続きを投稿しますので、wktkしてお待ちください。
⇨後編できました!


今後も取り上げてほしいトピックやご意見ご感想などありましたら是非コメントなどお寄せください。

質問箱もどうぞ。



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