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【外資系うさぎの雑感】その5.あの"パワハラ会議”の議事録を書いてみた

どうも、外資系うさぎのちょこさんです。

早速ですが、意気揚々とコンサルファームに入社した人が最初に直面する壁って何だと思いますか。

仕事のスピード、仮説ベースの思考スタイル、フラットかつストレートなコミュニケーション…、色々あると思いますが、具体的なタスクとして直面し自分の力不足を大きく実感するきっかけになるのが議事録作成だとちょこさんは思います。

新卒アナリストの最初のジョブは、とにかく議事録を書いて手直しされて議事録を書いて手直しをされて議事録を書いて手直しをされて…の繰り返しになります。

ちょこさんもレビューに出した議事録が全く見覚えのない文面になって返ってきて三度見くらいした経験や、レビュー依頼が来た議事録にもともと書いてあった文字数以上の指摘コメント付けて返してジュニアを半泣きにさせてしまった経験など枚挙に暇がありません。

若手の各位、会議への出席と議事録千本ノックを通じて、上司の会議運営の手法や、構造的な文章を書くスキル、公的な文書を残す必要性、などを存分に学んでください。

我々コンサルの表面的な成果物は報告書という紙切れであることが多いです。
大事なのは中身とはいっても、表面が見るに堪えないものだと中身にたどり着いてもらえないのが現実です。

文書作成は本当に大事なスキルです。
RPGで最初に覚えるくせにラスボスまで欠かさずお世話になれる魔法のようなものですね。

というわけで、今回は議事録書きのコツについて語っていきたいと思います。

なおこのシリーズ、基本的に全文無料でお届けしますが、もしいいねと思っていただけましたら、おやつのチョコレート代としてカンパをいただけるととても嬉しいです。



パワハラ会議の議事録を書いてみたら…

2020年で一番バズった会議といえば、あの"パワハラ会議"ですよね。

というわけで、あの"パワハラ会議"を題材に議事録を書いてみたので、それの解説をしながら議事録作成のコツについて語っていきたいと思います。

果たして"パワハラ会議"は会議として成り立っているのか、という疑問も大いにあると思いますが、まぁ平和な会議だと思って参加したら突如吊し上げが始まった、なんてそう珍しいものでもないので、どんなときでもちゃんとした議事録が書けるように、これを題材としましょう。

え、コンサルファームって毎日あんなパワハラ会議が発生してるんじゃないかって?
やだなぁ、そんなことないですよ。
どんなに激詰めされても命までは取られないので、大丈夫です。
どうぞ安心して入社してください。

"パワハラ会議"未履修の方はぜひ該当シーンだけでも見てみてください。
アニメだと26話、コミックスだと6巻です。


そして記入したものがこちら

百聞は一見に如かず、ということでまずはサンプルを御覧ください。

ちなみに、"パワハラ会議"は一般的な会社における定期的な管理職会議の場で起きたものである、と前提を仮置しています。
議事録もそれにあった粒度で書いてあります。

ではどうぞ。

基礎情報

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議事内容

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議事録を作成する目的

議事録の目的は大きく分けて下記の3つになります。

①参加者への共有および合意の取得
一番大事な目的がこれです。
この会議の目的は何で、誰が参加し、何が決定されたか、を文書として参加者に共有し、全員が内容に事実相違ない旨を合意する必要があります。
※会議中の採決は全会一致である必要はないのですが、多数決なり社長の鶴の一声なりで、決定した事項に対し参加者は合意し従う必要があります。

②参加者以外への共有
次に大事な目的です。
出席対象者ではない人、今回出席できなかった人に対し、「この会議ではこういうことになりました」と伝え、内容を理解してもらうためのものです。
今回のケースであれば、この議事録は下弦の鬼の上位の職である上弦の鬼に「こうなりました」と共有されるかもしれません。

③社内の正式な資料として記録を残す
これは用途次第ではありますが、会社のガバナンス上、重要な会議については正式な資料として議事録が一定期間保管されます。
場合によっては何かしらの監査などを受ける際に証跡として利用されることもあります。
今回は社内会議を想定していますが、体外的な会議である場合、後で言った言わないの泥試合になることを避けるためにも、議事録は正式な資料として残しておいた方が無難です。

議事録を作成したら、関係者に展開し、内容に認識相違ないことを確認したうえで、最終的に内容の確定となります。

これが重要な経営会議などであれば、出席者全員が内容に同意し押印するなどするでしょうし、プロジェクトの定例会議であれば、参加者全員にメールなどで「認識相違ある場合は○日以内に返信ください」などと添えて回覧し、期限が来たら内容確定として会議体管理ようの共有フォルダなどに格納するような運用が一般的かと思います。

記載内容の粒度ですが、上記①〜③の目的を果たせれば十分であるため、詳細すぎる議事録を作成する必要はないです。
必要事項を簡潔にまとめましょう。
※もちろん、詳細な発言録の作成が必要となるケースもありますが、多くのケースでは今回のサンプルのような粒度で十分です。

このあたりは慣れやスキルが必要な領域なので、何度も書いてレビューを受けて、早い段階で自分なりの書き方を確立してしまうことをオススメします。

ちょこさんもだいたい↑のような感じで自分なりにテンプレ化した議事録を作っています。


議事録の構成要素

では議事録には具体的にどのような内容を含めるべきか、確認していきましょう。

最低限、①会議の基礎情報、②決定事項、③未決定事項、④ToDoの4つは必要です。

①会議の基礎情報
名称、開催日時、出席者、議題(アジェンダ)を記載します。
名称は、○月度経営会議、プロジェクト週次定例、xxxヒアリング、などその会議のタイトルをシンプルに記載します。
出席者欄には、出席対象だったものの出席できなかった人についても記載しておきましょう。
そしてアジェンダ、これが一番大事ですね。
どんな会議も、事前に「この会議では何が話され決定されるべきか」が明確に決まっている必要があります。
もしアジェンダが決まっていないような会議があったらそのような会議は許されないのでキャンセルしましょう。
これを見ている各位も、一体この会議は何のために開催されているんだ…とただ過ぎ去る時間に虚無を感じた経験はありませんか?
この世から全ての無駄な会議を駆逐しましょう。

再掲となりますが、記入例はこちらです。

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ストーリー上、下弦の鬼はこの会議の目的を知らされていなかったようですし、無惨様もわざわざ事前に用件を伝えるような手間のかかることはしないと思うので、アジェンダは議事録作成者の方で補完した、という体にしています。

特にここは大きな疑問もないかと思います。


②決定事項
これがメイン項目です。
アジェンダに沿って、会議中に決まった事項を客観的かつ簡潔に記載しましょう。
ちなみに、明示的な採決などが無くとも「ではこれでOKですね?次の議題に進みます」のように明らかに決定とされた、と判断できるものは、それも決定事項として書いてしまって大丈夫です。
万一違っていたら回覧の際にその旨コメントしてもらえば良いのです。
このあたりをきれいに整理するのは記入者の腕の見せ所です。

今回は細かい解説は割愛しますが、ここでちゃんとした構造化ができていないと「このような議事録は見るに耐えない」とレビューで下弦の鬼のような目にあうことになります。
未経験者が苦労する理由のうち大きなものが、この構造化スキルの不足によるものと思います。
※個人的な経験では、きれいなプログラムを書ける人は文章の構造化もすぐに慣れる傾向にある気がします。

記入例はこちら。

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ここが一番難しいところです。

この議事録では
・決定事項(結論)
  ・決定事項の理由、補足
    ・更に詳細な補足
インデントごとに記載する内容を決めて、それに沿って内容を埋めるようにして作成しています。

あるあるなNG例としては、結論→理由→詳細説明の順番ではなく、詳細な発言の記録→結論に至った背景→理由→結論と時系列順に書くケースや、アジェンダによって結論→理由、と理由→結論、を混在させてしまったりするものが挙げられます。

慣れないうちは
・決定事項(結論)
  ・理由
    ・補足
の3段構えで書くというルールを決めて、常にこの構造で文書を作成するなどしておくと、自然と構造化が身についてきます。

これ以上の構造化スキルを身につけたい場合はロジカルシンキング力を鍛える必要があります。
修行あるのみです。


③未決定事項
これも地味に大事です。
え、決まってないことも書くの?って思った各位、こういうのも必要なんですよ。
当初予定していたアジェンダで結論が出なかったもの、つまり、この会議のあと持ち帰りで追加作業が必要だったり、次の会議で改めてアジェンダとして取り上げる必要があるものについても、明確に記載しておくことが望ましいです。
そうでないと、未決定という情報が闇に埋もれそのタスクに誰も対応しなくなる、という悲劇が起こります。
よく聞きませんか?
誰かがやってると思ってた、みたいなシチュエーションって。

記入例はこちら。

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無惨様は当初、下弦の鬼は解体すると言っていたはずですが、結果的に下弦の壱を気に入り粛清することなく新たな任務を授けています。
つまり、この会議の場では、下弦の鬼が完全に解体されることはなく、下弦の壱に起死回生のチャンスが与えられたことになります。

よくよく考えると、「最後に何か言い残すことは」と発言の余地を与え、下弦の弐に対しても「具体的にどれほどの猶予を」「今のお前の力でどれほどのことができる」とちゃんと事と次第によっては挽回の場を与えようとしているんですよね。

無惨様、意外とちゃんとマネジメントしてたんじゃないか、とちょこさんは思う次第です。

というわけで、決定事項としては下弦の鬼は解体する方針であるものの、直ちに解体されるわけではなく、またそのタイミングにも言及されていないことから、具体的な解体の時期は未決定、と結論づけました。

この結果がどうなったかは、ぜひ映画版で確認してください。


④ToDo
ここには、次回の会議までにやっておくべきこと、決定事項に関連するもののうち短期的に実施が必要なものなどを記載します。
通常の会議では、未決定事項があれば次回その決定をするために、判断に必要となる情報を収集しておく、などが挙げられますね。
このような具体的なタスクを切り出す際は、誰が、何を、いつまでに、をセットで決めておく必要があります。
担当者が決まっていないと誰もそのタスクを引き取りませんし、担当者が決まっていても期限が決まっていないとタスクを開始してくれません。
人ってそういうものです。
ちょこさんだって期限決まってないタスク振られたら優先順位ものすごく落とします。

記入例です。

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この会議ではToDoはそんなに無くて(そもそも生き残ったのが1人だけなので)、あとは決定事項にしたがって粛々と無限列車編に向けた準備をするのみなんですよね。

強いていうなら、「下弦の鬼の解体タイミングを検討する → 鬼舞辻(次回定例まで)」というタスクを切り出すこともできるのですが、ちょっと無惨様にそのようなタスクを割り当てると自分が粛清されるおそれが…。

というわけで、すみません、忖度しました。
※こんなことも現実にはままあります。強さが…欲しい…。


⑤その他
①〜④までちゃんと記載できていればそれで十分ですが、他に会議中に重要な発言があったなど、記録に残したり関係者に共有する必要がありそうなものがあれば適宜記入しましょう。
今回は、無惨様からの注意事項や叱咤激励やがあった、ということで議事録の共有を受ける人に対して「みんな気を引き締めようね」と周知する意味でもこのように書いてみました。

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会議中に突然、偉い人からのお説教タイムが発生するのもよくあることですが、発言が過激になる人も少なくないので、そのような場合は要点まとめて言葉もきれいにしてから議事録に載せましょう。


今回のまとめ

というわけで、あの”パワハラ会議”についての議事録を作成し、議事録の目的、構成要素について解説しました。

最後に、納期についてですが、一般的な社内会議であれば実施翌日に関係者に「これで内容確認ください」と周知できれば上等です。
まぁ、翌日に展開するのであれば当日中に上司からレビューにうけて手直しもしないといけないのでそんなに余裕はないのですが。

慣れてきたら、会議の開催時間と同じ時間で一回ドラフトを作って上司に見てもらう、というスピード感を目標にしてみてください。
30分の定例会議などであれば30分でドラフト、その後1,2回レビューうけて関係者に展開ですね。

ちょこさんは軽い会議であれば自分で司会進行しながら手元でメモとって、(体裁は割と雑ですが)会議終わった瞬間に「じゃあ議事録おくっておきましたので見ておいてください」とかやってたりします。

タスクはなるべく早いうちに自分の手から離してしまいたいですね。


オススメの一冊

議事録作成に限らず、結論から話す、数字を使って話す、など若手コンサルが必ず修得する必要があるソフトスキル一式がわかりやすくまとまっています。
コンサルに限らずビジネスパーソンとしても身につけておいて損はないスキルばかりですので、ぜひ読んでみてください。


続編出来ました。
こちらでは今回の会議で決まった事項に基づいた、あの作戦のプロジェクト計画書を作成しています。


それでは皆様、次の会議からは是非今回紹介した議事録作成の方法を参考にして実践してみてください!

取り上げてほしいトピックや、このアニメのこんなシーンを議事録化してほしいなどありましたら是非コメントなどお寄せください。
質問箱もどうぞ。


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