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【コンサル業界研究】総論③デジタル市場で戦略ファームvs総合ファームの競争が激化(後編)

どうも、外資系うさぎのちょこさんです。

今回は前後編として、コンサル市場の規模や、昨今の主要なトレンドについてまとめていっています。

前編では、下記について解説しました。
・コンサル市場の規模およびサービス種別内訳から見るトレンド
・戦略ファームvs総合ファームの競争が一層激化
・実行支援まで取りに行きたい戦略ファーム

前編はこちらからどうぞ。

後編では、前回解説しきれなかった総合ファームの動向および今後の市場の見通しについて語っていきたいと思います。

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では、本編続きです。
どうぞ。

戦略制定からの一気通貫のサービスを目指す総合ファーム

前回までのお話では、デジタルトランスフォーメーションをテーマとして戦略ファームが実行支援まで、総合ファームが戦略制定まで乗り出そうとしている、という流れでした。

あれ、もともとそのあたり全部できるファームってありませんでしたっけ。

そうです。

あるんです。

アクセンチュアというファームが。

ここもいろんな見方ができますが、総合系ファームの動向を乱暴に一言でまとめると、「アクセンチュアに追いつき追い越せ」という至上命題が出てきます。

では、当のアクセンチュア、2013年に他ファームに先駆けデジタルコンサルティング本部を設立しました。
今ではさぞ大所帯となっていることでしょう。

…と思いきや。

2020年2月に組織再編があり、ビジネスの成長をけん引したデジタルコンサルティング本部を解消し、4つの新本部に発展的再編を行う、と発表されていました。

デジタルトランスフォーメーションが当たり前となる時代、全てのコンサルタントがデジタルテクノロジーへの知見を持つことが求められると言えるでしょう。
この組織再編が今後業界にどのような影響を及ぼすのか、注目です。

では、他のファームはどうでしょうか。


業界に激震が走った総合ファームによる戦略ファームの買収劇


今回はテーマである戦略制定と関連があるBig4にスコープを絞ります。

Big4のコンサルエンティティでは多少の違いはあれど、マネジメントコンサルティング、テクノロジーコンサルティングの大きく2軸に別れたサービス体制をとっています。
もともと会計系ファームはその出自から業務系IT系案件に強いということもあり、デジタルトランスフォーメーションへもスムースに対応できているようです。

ここでは、いかにしてBig4が戦略コンサルティングのコンピテンシーを獲得してきたか、を解説することにしましょう。

まず、ビジネスの成長には、オーガニック、インオーガニックの2種類の方法があります。
オーガニック成長とは、自社の経営資源のみでの成長を指します。
要は自力で頑張るってことですね。
一方で、インオーガニック成長とは、自社の経営資源のみによらない、つまり他社との提携や買収による成長を指します。

当然、Big4各社ともゼロから戦略コンサルタントを採用して育てて案件も開拓して、と悠長にやっているわけにはいかないので、インオーガニックに手っ取り早く買収する、という戦略に出ます。
いいですねぇ、M&Aの決定、買収先の選定、まさにトップマネジメント案件、これぞ戦略コンサルティングです。

先程少し触れましたが、主要戦略ファームのうちカーニー、ローランドベルガー、ADLなどTier2と呼ばれるファームは、日本法人で100-200人、グローバル全体でも2,000-3,000人の規模です。
対して、BIg4は国内でもコンサルだけで2,000-3,000人、グローバルだとグループ全体で300,000人規模です。

ここまでくると資本の力には抗えません。
そしてついに、Big4による戦略ファームの買収が始まり、特にPwCによるブーズ・アンド・カンパニーの買収劇により、コンサルティング業界に激震が走ることとなりました。
業界に興味のある方は目にしたこのある名前かと思いますが、ブーズは1914年に設立された経営コンサルティングの先駆けともいえるファームを源流とし、Tier2の主要戦略ファームとして高い知名度を誇っていました。

その100年の歴史をもつブーズが2014年、PwCグループに買収・統合され、現在ではPwC Strategy&というブランド名でPwCグループの戦略コンサルティング部隊として、戦略制定から実行支援までの一貫した支援を実現すべく既存のPwCコンサルティングメンバーとともに活躍しています。

同様に、2013年にデロイトがアメリカの戦略ファームであるモニター・グループを買収し、2018年からは日本法人においてもモニター・デロイトというブランド名で、デロイトグループの戦略コンサルティング機能を担っています。

なお、モニター・グループも買収当時はグローバル全体で1,000人規模のファームです。
300,000人の規模を誇るBig4の一角が、僅か1,000人の戦略ファームを買収することでサービスラインの強化が実現できるということは、戦略ファームのコンサルタントがもつバリューはそれほどまでに高いものであると言えるでしょう。

次に、EYは2014年に同じくアメリカの戦略ファーム、パルテノングループを買収し、現在ではEYパルテノンというブランドを掲げ日本においても2018年に活動を開始しています。

このパルテノン・グループも当時1,000人程度の規模だったようです。

…なんだか同じようなことを3回書いたような気分になりましが、本当に同じようなことを3回書いていたようです。

驚くことに、Big4のうち3グループまでもが、2013年、2014年に戦略ファームを買収し、中でも老舗中の老舗であるブーズがそのブランドに幕を下ろしたことは、コンサルティング業界の歴史に大きな転換点が訪れた、と言っても過言ではありません。

あれ、Big4ってもう1グループあるはずですよね。

…はい、あるのですが、KPMGはこのような買収劇には参加していなかったようです。

KPMGコンサルティングにはマネジメントコンサルティングのサービスラインにストラテジー&オペレーションという組織があり、戦略制定/組織再編の支援を行っていると紹介されています。
オーガニックな成長を選択したものと推測します。


そして今後はどうなるのか

こうして、2010年代では、総合ファームが戦略コンサルティングのコンピテンシーを獲得し、戦略ファームは実行支援機能を強化した、と両者の戦略は一見対照的であれど結果として目指す姿は近いものであり、今後さらにデジタルトランスフォーメーション市場を舞台として競争が激化していくでしょう。

先が見えないCOVID-19の影響下で、企業は大きな変革を迫られています。
今はまだリモートワークの推進をはじめとした社内体制の整備で手一杯の状態でしょうが、デジタルテクノロジーを活用した新しい製品、サービスをいち早く開発し、来るPost COVID-19の時代にふさわしい顧客体験価値を提供できなければ、早々に市場からリタイアする運命となるでしょう。

マネジメントレイヤー別に整理すると、トップマネジメントはデジタル戦略、新しい顧客体験価値の創造、ミドルマネジメントはデジタルベースの業務設計、ITプラットフォームの構築、ロワーマネジメントはデジタルオペレーション、データアナリティクス、などが主要な課題となります。

次の戦場はここです。
今後もますます各社の動向から目が離せないですね。


最後にもうひとつニュースを紹介します。

2020年4月に富士通がDXを推進する新会社を設立しました。
日本の伝統的SIerも、このデジタルトランスフォーメーションの戦場への進出機会を虎視眈々と狙っているのではないでしょうか。

もしかしたら、2025年頃には、デジタル市場では戦略ファーム、総合/ITファーム、SIerの三つ巴の戦いが当たり前の世界になっているかもしれません。

これだから乱世は面白い


今回のまとめ

と、いうわけで、前後編にわたりコンサル市場の規模、その内訳から見るトレンド、戦略ファーム/総合ファームの動向についての解説でした。

今後コンサルティング業界へのチャレンジを考えている各位、かつての伝統的なコンサルティングフレームワークのように、もはやデジタルテクノロジーに対するリテラシーはコンサルタントとして必ず修得すべき知識となります。

せひ今のうちに、興味のある業界のリーディングカンパニーがどのようなデジタル戦略を取っているかや、各ファームのマーケットの分析など、この先生きのこるための情報をあつめ、自身へのインプットとしていってください。

デジタルトランスフォーメーション界隈は変化が非常に激しいので、なるべく最新の書籍を早めに読むことをおすすめします。
例えばこんな本とか比較的新しめですね。


最後になりましたが今回のまとめスライドです。

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次回予告

さて、今回はちょっと内容が長くなってしまったので、次回は軽めのテーマにしたいと思います。

具体的なファーム名の紹介や、人数や売上など数値情報の整理など行っていく予定です。

それでは、次回もお楽しみに!


以下、カンパいただいた方向けにちょこさんお勧めのチョコレート屋さんのリンクを貼っておきます。
今回はバレンタイン向けです。

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